医療機関用リーフレット テキスト版 A4版、全4ページ (ここから1ページ) リーフレットタイトル 補助犬ユーザーに安心して医療機関を受診していただきましょう! ■身体障害者補助犬とは 身体障害者補助犬(以下、補助犬とします)は、目や耳、手足に障害のある人のサポートをする盲導犬、介助犬、聴導犬のことを言います。 身体障害者補助犬法に基づいて、必要な訓練を受けています。また、ユーザーは補助犬の衛生・行動管理をしっかりと行い、社会のマナーを守って清潔にしています。 3種類の補助犬の説明(補助犬のイラスト入り) 盲導犬 見えない、見えにくい人が安全に歩けるようにサポートします。障害物を避けたり、立ち止まって曲がり角や段差を教えたりします。ハーネス(胴輪)をつけて盲導犬と表示しています。 介助犬 手や足に障害のある人の日常生活動作をサポートします。ものを拾って渡したり、指示したものを持ってきたり、脱衣の介助などを行います。介助犬と表示しています。 聴導犬 聞こえない、聞こえにくい人に必要な生活音を知らせます。玄関チャイム音、メールやFAXの着信音、赤ちゃんの泣き声、自動車のクラクションなどを聞き分けて教えます。聴導犬と表示しています。 身体障害者補助犬法 (平成十四年法律第四十九号) (不特定かつ多数の者が利用する施設における身体障害者補助犬の同伴) ■第九条 前二条に定めるもののほか、不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は、当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。ただし、身体障害者補助犬の同伴により当該施設に著しい損害が発生し、又は当該施設を利用する者が著しい損害を受けるおそれがある場合その他のやむを得ない理由がある場合は、この限りでない。 (ここまで1ページ) (ここから2ページ) 見開きタイトル こんな工夫で気持ちよく、受診していただいています。 医療機関:神奈川県相模原市緑区 さとう歯科クリニック 佐藤文彦院長(写真右) 盲導犬ユーザー:山岸加奈子さん(写真左) 山岸さん: 補助犬には診察室の通路にマットを敷いて待機させ、診察台まで誘導していただいて受診しています。さとう歯科クリニックさんは、来院の際に靴を脱ぐので、補助犬の足も拭くなど衛生管理に努めています。診察時には通路で私の診察が終わるのを静かに待っています。 こちらに来院したご縁から、院長には内科の先生にもご紹介いただきました。その際、診察対応可能時間などを相談しましたが、このように、お互いに安心できるよう話し合うことができればよいと思っています。ただ、健康すぎて内科の受診はしていませんが(笑)。 佐藤さん: 盲導犬の同伴のお話を頂いた当初は、補助犬の特段の知識はありませんでしたが、まずはやってみて、もし何か問題が生じればその時は改善していけばよいと考えました。 山岸さんが来院される際には、他の患者さんに「今から盲導犬ユーザーの方がいらっしゃいます」と説明しています。こうした配慮が患者さんにも伝わっているのか、クレームなどが生じたことはありません。 まずは受け入れてみることが重要と思います。考えすぎずに、改善すべきことが生じた場合には、ユーザーさんと話し合うことで解決できるのではないでしょうか。 (写真あり) 補助犬は、通路で待機しています。仕事として伏せて待っているので、機器の音や他の患者さんに反応することはありません。 (ここまで2ページ) (ここから3ページ) 医療機関:千葉県市川市菅野 東京歯科大学市川総合病院 木川正博さん(事務部参与、写真左) 柴尾裕加里さん(訪問看護ステーション管理者、写真右) 盲導犬ユーザー:浅井純子さん 木川さん: 以前盲導犬ユーザーの方が外来に来られた際に、盲導犬はインフォメーションでお預かりしますという対応をとってしまい、強いお叱りをいただきました。補助犬ユーザーの受入に当たっての知識がなかったので、盲導犬の訓練事業者の方にお越しいただいて受入方法を詳しく教えていただき、受入のための準備や院内での周知を図りました。受入可能エリアの設定は院内で細かく議論しました。法律上の受入義務があるのにそれを果たせなかったことを深く反省し、補助犬について正しく知ろう、学ぼうという姿勢で取り組み、外来の受入態勢を整え、その経験を浅井さんの入院に繋げることができました。 柴尾さん: その後、浅井さんの入院の際、私は病棟の看護師長として対応しました。個室をご利用いただく、散歩はボランティアさんが行う等、浅井さんと調整させていただきました。病棟のスタッフは他の患者さんの反応を心配していましたが、事前の周知等を徹底したため、問題は生じませんでした。初めてのことで不安もありましたが、浅井さんと盲導犬との絆を強く感じ、盲導犬も浅井さんの手術をスムーズに行うためのチームの一員として頑張ってくれました。 浅井さん: 入院はその場ではすぐにOKが出ませんでしたが、病院側の懸念事項を一つずつ調整していきました。 犬用ベッドや掃除用シート等あらゆるものを病室に持ち込み衛生管理を行いました。個室の利用は経済的な負担となりますが、大部屋には様々な患者さんがいらっしゃいますし、ユーザーとして補助犬を管理する観点からも必要と思います。 私は、医療機関で同伴拒否にあったことはありません。「法律で受入は義務付けされていますが知らない人が殆どです。いま知っていただいたので、今からでも遅くはありません。今から宜しくお願いします。ありがとうございます」という感じで言ってご対応いただいています。 (写真あり) 東京歯科大学市川総合病院で掲示している周知の貼り紙。同伴エリアは制限しており、不可エリアは検査部(特に放射線部門)、手術室、透析、ICU、救急外来など。 受入のポイントまとめ 受入の具体的な方法については、補助犬の訓練事業者等の専門機関やユーザー本人との相談の上で検討することが有効です。 感染・衛生管理上、同伴エリアの制限が必要な場合は、その旨をユーザーに説明し、院内スタッフへも情報を共有しておくことが必要です。 他の患者さんへの周知も必要です。補助犬法により、ユーザーには補助犬の健康・衛生・行動管理の義務があり、医療機関には補助犬ユーザーの受入の義務があることなどを周知します。 入院の場合などは、ユーザーの入院生活における留意点、どのように補助犬の衛生管理をしていただくのかなど、お互いにコミュニケーションをとって調整することが重要です。 (ここまで3ページ) (ここから4ページ) 医療機関における補助犬ユーザー受入のポイント 質問1 他の患者さんに補助犬が迷惑をかけてしまうのでは? 答え1 全ての患者さんに安心して来院いただくために、補助犬ユーザーの受入について周知とご説明(補助犬の同伴が法律で認められていること)いただき、正しく理解をしていただくことが重要です。ご説明すれば気にする方は案外いないものです。 ただし、アレルギーがあるなどの患者さんがいらっしゃる場合には、時間をずらす、場所を同じにしないなどの工夫が必要です。 質問2 補助犬のために十分なスペースが必要では? 答え2 補助犬はユーザーとともに行動し、待合室などではユーザーの足元に伏せて待っています。 質問3 排泄はどこでするのでしょうか? 答え3 補助犬ユーザーの管理のもと、適切な場所で排泄するようマナーを身につけています。 排泄の際には、バリアフリートイレや屋外のスペースを使わせていただく場合がありますが、ペットシーツやワンツーベルト(袋にベルトをつけた排泄処理用の道具)を利用しますので、周囲を汚すことはありません。 質問4 犬は汚いのでは?アレルギーが心配です 答え4 補助犬ユーザーには衛生管理が義務付けられているので、心配ありません。 ・ノミ・ダニが体につかないよう健康管理しています。 ・毎日のブラッシングなどで毛が舞うことのないように衛生管理しています。 質問5 手術室などには衛生管理上補助犬の同伴はできないのですが。 一般の来院者やお見舞いの際に面会者が利用できる場所は補助犬同伴を受け入れることが原則です。ただし、一般の来院者や面会者も感染・衛生管理上立ち入りができない場所には、同伴を制限することが認められています。同伴を制限する場合には、その理由をユーザーに説明することが重要です。 受入については、院内の全スタッフに周知を徹底しておくことも必要です。 院内の関係者の連絡会議等により、受入方法の検討や情報共有を行いましょう。 安心して、補助犬ユーザーを受け入れてください 〜補助犬ユーザーに使用管理の責任が義務付けられています〜 (補助犬のイラストあり) ユーザーは、補助犬の健康・衛生・行動を管理しています より詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。 「補助犬ユーザー受け入れガイドブック 医療機関編」(2019〜2020年度厚生労働科学研究「身体障害者補助犬の質の確保と受け入れを促進するための研究」成果物 https://www.mhlw.go.jp/content/000903303.pdf (リーフレットではURLの代わりにQRコードを掲載) 「身体障害者補助犬の効果的な普及啓発及び訓練並びに認定の平準化に関する調査研究」(R4厚生労働省障害者総合福祉推進事業) 事務局:社会システム株式会社 (ここまで4ページ) リーフレットはこれで終わりです。