令和元年度障害者総合福祉推進事業 身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究 報告書 令和2年3月社会システム 株式会社 目次 ★1.事業概要:1ページ 1.本調査研究の目的:1ページ  2.調査研究の結果概要:1ページ ★2.本調査研究の目的:3ページ ★3.事業の実施内容:3ページ  1.実施内容:3ページ  2.実施の流れ:4ページ ★4.調査等の結果:5ページ  1.身体障害者補助犬に係る啓発活動の実態把握調査の実施:5ページ   (1) 自治体等による取組み実態の把握:5ページ  (2) 補助犬使用者及び非使用者から見た取組みに対する意識の把握:26ページ   (3) 受入れ側認識、実態、課題の把握:37ページ   (4) 理解促進の取組みに対する課題の整理:47ページ 2.理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的な普及啓発活動のあり方の検討:49ページ  (1) 受入側に向けた理解促進のための啓発活動のあり方の検討:49ページ  (2) 障害当事者に向けた補助犬の使用拡大のための普及活動のあり方の検討:50ページ  (3) 身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブックの作成:62ページ ★5.分析・考察:80ページ ★6.検討会、ワーキングの実施状況:81ページ  1.検討会の設置、運営:81ページ  (1) 検討会の設置:81ページ  (2) 検討会の運営:82ページ  (3) 検討会議事録:82ページ  2.ワーキングの開催:117ページ  (1) 実施概要:117ページ  (2) 議事概要:117ページ ★7.成果の公表計画:118ページ 1ページ ★1.事業要旨 1.本調査研究の目的 身体障害者補助犬(以下、補助犬とする)は、平成14年に「身体障害者補助犬法」の施行により、各施設等での受入が義務付けられたものの、未だ補助犬同伴による施設利用等に対する理解が浸透していない実態から、受入拒否などの実態が見られる。そこで、自治体が実施している補助犬の使用に対する普及・啓発の実態、障害当事者の意識、受入事業者の認識などをアンケート調査等を実施して把握し、ここから整理される課題を踏まえた上で、補助犬の普及・啓発のあり方を整理し、普及活動については試行を行った上で、自治体の皆さまに向けた「身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブック」を作成することを目的に実施を行った。 2.調査研究の結果概要 (1) 補助犬の使用の啓発活動の実態把握 身体障害者補助犬(以下、補助犬とする)は、平成14年に「身体障害者補助犬法」の施行により、各施設等での受入が義務付けられたものの、未だ補助犬同伴による施設利用等に対する理解が浸透していない実態から、受入拒否などの実態が見られる。補助犬の使用の啓発活動に係る関係各者にアンケート及びヒアリング調査を実施し、その実態及び課題を把握した。 ■自治体アンケート(H.30の取組みの実態) ・補助犬の使用については「啓発活動」の取組みを実施している自治体が多く、ウェブサイトへの掲載、リーフレット配布、テレビ・ラジオでの広報、広報誌掲載、イベント等でのデモンストレーションの実施、生活衛生同業組合に対する周知、学校への出前講座などが挙げられた。 ・補助金活用においては都道府県と市町村の連携が図られていないことが課題として挙げられた。 ■障害当事者の意識 ・補助犬使用者は、啓発へのニーズとして、受入に対する理解や補助犬法の理解などを多く挙げ、テレビ・ラジオ等効率的に広く啓発が浸透する手法を挙げた。 ・補助犬非使用者は、補助犬の使用を考えていない人が7割を占め、理由として面倒を見るのが大変そうなどを挙げた。補助犬使用については費用、申請方法、サポート内容等の情報に対するニーズがあった。 ■受入側の認識(ショッピングセンター、ホテル、飲食店従業員等) ・補助犬使用者の来店実績は多くない、不定期での来店などが多い。補助犬使用者の受入については教育等は殆ど実施されておらず、課題として行政機関の指導の必要性や一般利用者の理解などが挙げられた。 2ページ (2) 理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討 ① 普及・啓発活動のあり方 【受入れ側に向けた理解促進のための啓発活動】 受入れ側の理解を得られやすいタイミング、手段で 広く理解を得ていくための手法の導入 受入事業者、自治体の連携による啓発機会の拡大 補助犬使用者受入れのポイントを効果的に示す 【使用希望者に向けた利用拡大のための普及活動】 さまざまなタイミングで ユーザー自身による普及 情報提供窓口や専門家の補助犬の使用に対する知識の深度化 普及活動の担い手と自治体の連携の必要性 ② 普及活動の試行 国立障害者リハビリテーションセンターなどにおいて、障害当事者に対して補助犬の使用についての普及イベント等を実施した。 ③ 身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブックの作成 自治体が効果的に補助犬の使用の普及・啓発活動に取組むためのガイドブックを作成した。受入拒否をなくし、法令遵守を推進するための啓発活動の取組み方、障害当事者の自立や社会参加を図っていくために必要な補助犬の使用を拡大する普及活動の取組み方などについて、事例を含めて解説した。 【ガイドブック構成】 序.このガイドブックを活用いただくにあたって 1.補助犬の使用について普及・啓発を進めるにあたって理解すべき理念 2.自治体の責任で受入拒否をなくし、法令遵守(コンプライアンス)を推進する 3.障害当事者の自立と社会参加を図る「補助犬の使用を拡大する普及活動」の実施は自治体の役割 4.自治体が中心となって「連携体制」を構築し、普及・啓発を推進する 5.普及・啓発活動に活用できるツール 3ページ ★2.本調査研究の目的 身体障害者補助犬(以下補助犬とする)は、平成14年に「身体障害者補助犬法」の施行により、公的な施設等での受入が義務付けられたものの、未だ補助犬への理解が浸透していない実態から、受入の拒否の実態が見られる。本事業では、自治体により現在実施されている補助犬に対する啓発活動の実態を調査して取組みの内容を把握した。 また、一方で、現在の補助犬実動数は1,074頭と未だ十分とは言えず、上述同様、障害当事者に対しても補助犬の使用がもたらす効果が十分に認知されていないと言える。そこで、使用希望の可能性のある障害当事者に対する実態調査を実施して、ニーズを把握した。 また、このニーズ調査を受け、使用希望者の掘り起こしを視野に入れた補助犬の利用につながる啓発のあり方について検討し、その試行を実施して検証した。 以上の実態調査、試行検証の結果を受けて、補助犬使用の普及活動及び一般市民及び受入事業者に対する啓発活動のあり方を検討し、自治体及び関係各者が補助犬使用の普及・啓発活動を行うにあたっての指針となるガイドブックを整理した。 ★3.事業の実施内容 1.実施内容 本調査研究は、以下の内容項目を実施した。 【実施内容】 1.身体障害者補助犬の啓発活動の実施把握 地方自治体及び、身体障害者補助犬の使用に係る関係者に対して、啓発活動の実態や使用にかかるニーズ、課題等をアンケート調査などにより把握を行った。 ■自治体による取組みの実態把握 ■補助犬使用者及び非使用者から見た取組みに対する意識の把握 ■受入側の認識、実態、課題の把握 ■理解促進の取組みに対する課題の整理 2.理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討 受入側となる地域市民に向けた理解促進のための啓発活動のあり方、使用希望者に向けた情報提供のための普及活動のあり方について、試行を含めた検討を行い、地方自治体の担当者に向けたガイドブックを成果として作成した。 ■広く地域市民に向けた理解促進のための啓発活動のあり方の検討 ■使用希望者に向けた情報提供のための普及活動のあり方の検討 ■使用希望者に向けた情報提供のための普及活動の試行 ■身体障害者補助犬の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブックの作成 4ページ 2.実施の流れ なお、調査及び検討は、検討会を設置し、検討会の精査を受け、以下の流れで進めた。 【流れ】 1.身体障害者補助犬の啓発活動の実態把握 (1)自治体による取組身実態の把握 (2)補助犬使用者及び非使用者から見た取組みに対する意識の把握 (3)受入側の認識、実態、課題の把握 (4)理解促進の取組みに対する課題の整理 2.理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討 (1) 広く地域市民に向けた理解促進のための啓発活動のあり方の検討 (2) 使用希望者に向けた情報提供のための普及活動のあり方の検討 (3) 使用希望者に向けた情報提供のための普及活動の試行 (4) 身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブックの作成 検討会の開催・運営で検討内容を精査 5ページ ★4.調査等の結果 1.身体障害者補助犬に係る啓発活動の実態把握調査の実施 (1) 自治体等による取組み実態の把握 1) 自治体アンケート調査 身体障害者補助犬育成促進事業に係る自治体を対象としてアンケート調査を実施し(特定非営利活動法人日本補助犬情報センターの「身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査」と連携して実施)、啓発活動にかかる取組の実態を把握した。 ① 回収状況 都道府県:回答済38、自治体数47、回答率81% 政令市:回答済18、自治体数20、回答率90% 中核市:回答済40、自治体数54、回答率74% 合計:回答済96、自治体数121、回答率79% ② 啓発等の取組の実施状況(2018年度) 2018年度に以下の取組を実施したと回答した自治体の割合は以下のとおり。 取組を実施している自治体の割合を、取組の種類別に比較すると、「啓発活動」が最も高く、都道府県・政令市・中核市とも半分以上の自治体が実施している。 それ以外の取組については、実施している自治体は半分以下となっている。特に、「育成計画」「連携体制」に係る取組を実施している政令市・中核市は極めて少ない。 表 取組を「実施した」と回答した自治体の割合2018年度()内は自治体数 ①助成政策:都道府県18% ( 7)、政令市39% ( 7)、中核市18% ( 7) ②理解促進:都道府県24% ( 9)、政令市22% ( 4)、中核市13% ( 5) ③啓発活動:都道府県89% (34)、政令市67% (12)、中核市50% (20) ④育成計画:都道府県26% (10)、政令市6% ( 1)、中核市8% ( 3) ⑤連携体制:都道府県0% ( 0)、政令市0% ( 0)、中核市10% ( 4) 6ページ 5ページの表 取組を「実施した」と回答した自治体の割合2018年度のグラフ 7ページ ③ 取組の具体的内容等 (1)助成政策 a.補助犬の健康管理費(予防接種、医療費など):実施自治体数16、健康診断、予防接種、医薬品代等の助成(福井県、愛知県、鳥取県、香川県、横浜市等)、県内のユーザー団体に基金を設立して助成(石川県)、所得制限あり(名古屋市、広島市) b.飼育のための必要経費(餌など):実施自治体数7、ドッグフード、犬用ガム、ブラシ等購入代金を補助(愛知県、仙台市、名古屋市、岡山市) c.その他:実施自治体数5、育成団体に対して補助(宇都宮市)、登録申請等の手数料を免除(名古屋市、船橋市等) →補助金を利用していない自治体が多くみられる。 8ページ (2)理解促進 a.市町村担当者向け:実施自治体数5、市町村職員向け研修など(埼玉県、横浜市、前橋市、浜松市)、市町村身体障害者団体指導者研修会で補助犬の給付について説明(高知県) b.受け入れ事業者向け:実施自治体数11、飲食店の衛生管理責任者や温泉旅館等への研修時に説明(栃木県、石川県、神奈川県等)、商工会議所が会員企業向けに発行している機関紙へ啓発記事を掲載(船橋市)、入店拒否があった飲食店街の全店舗に対し研修を実施(名古屋市)、医療従事者向け研修(兵庫県)、補助犬インフォメーションデスクを開設し、出前講習会、広報啓発活動を実施(静岡県)(新潟県が食品衛生指導員養成講習会の中で行政説明を実施。一般市民向けの取組として回答) c.一般市民向け:実施自治体数9、「ヒューマンフェスタ広島」にて補助犬貸与式や補助犬デモ等を実施(広島県)、障害に関する理解啓発イベントで介助犬のデモ等を実施(高知県)、一般向け補助犬啓発イベントと詳細な説明を行うセミナーを実施(浜松市)、障害者週間の啓発イベントで体験歩行やデモ等の実施(宇都宮市、船橋市)、手話の啓発講演会で聴導犬を扱う(豊中市)、民生委員や市民後見人、保護者等への研修会などの際に補助犬を扱う(尼崎市)(新潟県が食品衛生指導員養成講習会の中で行政説明を実施。一般市民向けの取組として回答) d.児童・生徒向け:実施自治体数4、県庁見学の小学生「こども記者体験」で補助犬の説明(長野県)、視覚障害者情報文化センター(市指定管理施設)において、小学校等から相談があった際に盲導犬ユーザーや歩行訓練士等を講師として派遣(川崎市)、市内小学校に盲導犬と育成団体職員を派遣し、盲導犬への接し方、視覚障害についての説明、歩行体験等を実施(宇都宮市) e.障害当事者向け:実施自治体数0、(高知県が市町村身体障害者団体会長会で補助犬の給付について説明を実施。その他の取組として回答) 9ページ f.補助犬使用者向け:実施自治体数0 g.その他:実施自治体数3、学校への出前講座(兵庫県)、市町村身体障害者団体会長会で補助犬の給付について説明(高知県)、市役所管理職対象の差別解消にかかる研修において事例として紹介(名古屋市) 【取組の背景・効果・課題】 ・補助犬の詳細な説明を行うセミナーは、参加者が少なく周知不足を感じる。 ・事業者向けに研修をしているが、従業員にまで理解を得られているかは分からない。 ・取組の背景としては、受け入れ拒否事例の発生(複数自治体)、希望者へ補助犬が給付されたこと、という回答が見られる。 (3)啓発活動 a.補助犬啓発用のウェブサイト掲載:実施自治体数16、和歌山県、岡山県、仙台市、さいたま市、函館市、いわき市など b.厚生労働省リーフレット等の配布:実施自治体数52、イベントで配布(香川県等)、希望する育成団体、市町村、事業者等に対して配布(京都府、千葉市など)、市の窓口に設置(相模原市、鹿児島市等)、厚労省作成リーフレット及び県作成の補助犬受入Q&Aを、食品衛生責任者講習会で配布し、旅館ホテル生活衛生同業組合を通じて同組合員に配布(愛媛県)、市内医療機関へのリーフレット等の配布(横浜市、和歌山市等)、他部署に依頼し、リーフレット等を飲食店の食品営業許可の際に配布(前橋市)、出先機関に配置されている、障害者差別解消等の業務に携わる職員が各地域の飲食店等の事業者を直接訪問し、補助犬法の趣旨を説明し、リーフレットやステッカーを配布(千葉県) 10ページ c.広報誌等への記事掲載:実施自治体数17、テレビ・ラジオ・広報誌・新聞広告等による広報(埼玉県、和歌山県、島根県、さいたま市、岡山市、前橋市、船橋市、豊中市、福山市、宮崎市等)、県発行冊子「障害福祉のしおり」に補助犬に関する説明を掲載(高知市)、5月22日の「ほじょ犬の日」に合わせ、県Facebook、Twitterにて記事を掲載(広島県)、商工会議所の会報誌やメールマガジンへ記事掲載を依頼(さいたま市、神戸市) d.その他:実施自治体数24、県民の日、県庁オープンデー、動物愛護週間、障害者週間等のイベント時に補助犬のブース・パネル設置や補助犬デモ等を実施(栃木県、埼玉県、岡山県、山口県、横浜市、川崎市、名古屋市、神戸市、福岡市、前橋市、姫路市等)、富山県視覚障害者協会とともに、県飲食業生活衛生同業組合に対して、組合員への補助犬の周知等に係る要望を実施(富山県)、市営バスへの広告掲載(デジタルサイネージ)(島根県)、障がいサポーター養成講座(障害特性を理解し障害者の手助けができる市民を養成する講座)において補助犬に係る内容を扱う(神戸市)、盲導犬育成のための募金活動に係る依頼を団体から受け、鉄道事業者に対し場所の提供の協力依頼(千葉市)、訓練事業者主催イベント等の広報協力(栃木県)、市新入職員採用時研修で盲導犬ユーザーの講話を実施(函館市)、市内の学校への出前講座(福岡市) 【取組の背景・効果・課題】 ・補助犬シールをすべての商工会議所に配布しようとしたが、配布数が足りずに断念した。周知啓発を行うためには、一定数の補助犬シールが必要。 ・障害者週間啓発イベントでステッカー・パンフレットを配布しているが、専門的な質問をされた際、即答が難しい。 ・興味関心のない人に対しても理解を広めることが課題。 ・職員が直接訪問し、補助犬法の趣旨説明とともにステッカー等を配布すると、詳細な説明ができて理解を得られやすい。ただし郵送等に比べ効率が悪い。 ・啓発イベントや自治体版リーフレット作成を行っているものの、補助金を活用していない自治体が見られる。 11ページ (4)育成計画 a.市区町村に対して調査:実施自治体数3、市町村を通じて翌年度補助犬給付希望者の有無等を調査(秋田県、群馬県、長野県) b.障害者団体に対して調査:実施自治体数5、県視覚障害者協会により補助犬希望者の有無等を把握(富山県)、県内の盲導犬利用者から補助犬希望者について情報提供を受けている(石川県)、福山ハーネスの会に年1回程度調査を行っている(広島県)、視覚障害者団体等に対し県の盲導犬給付事業の募集案内し盲導犬の需要を把握(呉市) c.訓練事業者に対して育成頭数調査:実施自治体数3、群馬県、埼玉県、熊本県 d.その他:実施自治体数4、訓練事業者から補助犬受入に係る希望の連絡(希望者数、対応可能頭数)(青森県)、補助犬インフォメーションデスクにおいて、個別相談への対応や給付希望者への情報提供、使用者等に対する衛生や行動に関する指導等を実施(静岡県)、市総合リハビリテーションセンターに介助犬、聴導犬の使用希望者対象の相談窓口を設置(認定相談事業)(名古屋市) 【取組の背景・効果・課題】 ・視覚障害者団体等に加入していない方の盲導犬の需要把握ができていない。 12ページ (5)連携体制 a.基幹相談支援センター:実施自治体数2、身体障害者補助犬相談事業(静岡市)、受け入れ拒否に関する情報共有(前橋市) b.身体障害者更生相談所:実施自治体数0 c.相談支援事業者:実施自治体数0 d.障害福祉サービス事業者:実施自治体数0 e.障害者団体:実施自治体数1、補助犬使用者と協力して施策の周知(パンフレットの配布等)(石川県) f.医療機関:実施自治体数0 g.その他:実施自治体数4、補助犬希望者や使用者、受け入れ拒否等に関して、訓練事業者及び県と情報共有(群馬県)、補助犬使用者から寄せられた差別事例(同伴受け入れ拒否)や受入状況等について情報共有し、再発防止のための周知活動について意見を収集(船橋市)、県及び県内他都市との補助犬に係る相談・苦情の情報交換(呉市) 【取組の背景・効果・課題】 ・差別解消法の規定上、事業者に対しては行政により助言等を行えるが、個人に対しては実効力のある対応が難しい。 13ページ ④ 管内市区町村との共催・後援・協力(都道府県向け質問) 設問「平成30年度(2018年度)中、貴都道府県と管内市区町村とが連携・協力して行っている理解促進・啓発活動はありましたか。」 管内市区町村との共催・後援・協力:あった0、なかった34、その他・無回答4、回答数38 連携・協力:あった0、なかった34、その他・無回答4、回答数38 その他:あった2、なかった8、その他・無回答25、回答数38 ⑤ 補助金利用の課題 設問「地域生活支援事業による「身体障害者補助犬育成促進事業」の補助金について、利用における課題や利用していない理由があれば、ご記入ください。」 回答 県内で稼働している盲導犬6頭のうち1頭は1頭目の補助犬のときのみ補助金活用しているが、以降は自費で更新をしているものの、自己負担の理由など追跡調査は行っていない。 多くの待機者が生じないよう計画的な給付に努めること。 身体障害者補助犬育成促進事業における国庫負担割合を現状のまま維持してほしい。 「身体障害者補助犬育成促進事業」についての県と本市の連携や情報共有の仕組みがない。 現状、本市では補助犬育成促進に係る事業を実施していないため補助金を利用していない。 実施できる環境が整備されていない。 利用者が少なく、要望も少ない。 ニーズがほとんどないため。 14ページ ⑥ 自由記述 設問「「身体障害者補助犬法改正」及び、「補助犬育成補助事業」等に関してご意見や、国に対する要望やご質問等があれば、ご自由にお書き下さい。」 回答 入店拒否等受入トラブルについて、国が独自で行っていることを教えて欲しい。都道府県をまたがる企業や全国規模の団体(飲食団体、宿泊団体、交通団体等)に周知しているのか。その企業や団体から各支部等への周知を依頼していないのか。国から各補助犬育成団体に助成はないのか。 市民、医療機関、飲食店、商業施設、学校等に対して、補助犬受け入れについての理解、啓発をさらに力を入れる必要があるように思います。関係事業者や民間企業等とも連携して、普及・啓発の取り組みを行いたいと考えます。 なお、地域生活支援事業による「身体障害者補助犬育成促進事業」について、県と協働で普及・啓発事業が行えないか検討していきたいです。 また、各自治体の担当者が情報収集や情報交換等ができる場(会議、セミナー等)があればいいと思います。 社会的認知は低く、駅や大型店舗などにもポスターやパンフレットを設置し、多くの方の目に触れるようにしたり、マスメディア等で広く周知し、補助犬に関する啓蒙活動をより一層行っていく必要がある。 15ページ 2) 自治体ヒアリング調査 ① 広島県(健康福祉局 障害者支援課)  ⇒地域の支援団体との連携により普及・啓発を展開 ■啓発活動について ①県のSNSを用いてほじょ犬の日(5/22)について周知 ②飲食店や商業施設等へのリーフレットの配布  ⇒H19年度 県内の保健所、スーパーマーケット協会、チェーンストア協会に対して啓発ポスター・パンフレットを送付。関係機関への配布を依頼。  ⇒H27年度 県食品生活衛生課と連携し、県内の保健所でリーフレットを配架。飲食店をはじめようとする事業者に対して補助犬の同伴受け入れ拒否に対する啓発を行うよう依頼した。  ⇒その他に苦情や相談のあった施設に対して適宜配布。 ③「ヒューマンフェスタ」でデモンストレーションを実施  ⇒H15年から毎年実施している人権啓発イベントで補助犬の貸与式を実施している。  ⇒併せて、デモンストレーションを実施しており、近年は3種の補助犬のデモを行っている。  ⇒デモには同イベントに参加しているサンフレッチェ広島の選手がアイマスクをして参加し、ギャラリーを集めた。  ⇒補助犬ユーザーのトークも入れ込み、補助犬と暮らそうと思った理由、補助犬と暮らしてよかったことなどを伝えている。 ④あいサポート研修内容への入込み  ⇒H23年度から実施している一般県民、企業・団体等を対象とした「あいサポート研修」で、補助犬及び補助犬法についての講演や行政説明を実施。 ■受入れ側に向けた啓発活動の課題 ・メディアを通じた啓発が必要 ・広く県民や受入事業者が認知、理解できる啓発手法が必要 ■障害当事者に向けた普及活動の課題 ・広島市の福祉センター祭りや視覚障害者情報センターのイベント等で体験歩行などの普及活動を実施している。 ・手帳給付の際や構成相談所などで、補助犬の紹介をしてほしいというニーズがある。 ■その他に実施している工夫点 ●支援団体(広島ハーネスの会)がハブとなった連携体制の確立  ・補助犬の啓発活動や援助活動を実施している「広島ハーネスの会」が補助犬の育成や同伴拒否に対する啓発などを県と連携して実施しており、補助犬の普及・啓発の支援センターとして機能している。 ●相談受付体制の確立  ・依然として寄せられる苦情や相談については、相談窓口を設け情報を一括している。また、広島市・呉市・福山市にも相談窓口があり、同伴拒否のケースや解決の内容等の情報共有を行っている。 16、17ページ ヒューマンフェスタチラシ 18ページ ② 埼玉県(健康福祉局 障害者支援課) ■啓発活動について ①市町村担当者向け説明の実施  ⇒県内市町村の担当者が集まる会議で、補助犬理解促進の説明を実施。 ②県庁オープンデー(県民の日)でデモンストレーションを実施  ⇒来場者を対象とした啓発活動として、盲導犬のデモンストレーションを実施。 ③厚労省リーフレットの配布 ④県広報誌「彩の国だより」に理解促進記事を掲載 ※その他にラジオ等での啓発を実施 ■障害当事者に向けた普及活動の課題 【1/8国リハでの試行イベントを見学】 ・障害当事者に向けた普及・啓発活動の必要性を感じた。 ・このようなリハビリテーション病院などでの実施は有効と感じたが、連携方法がわからない。 ■自治体向けガイドブック作成への要望 ●普及・啓発実施の手法、留意点、体制づくりのあり方を整理してほしい  ・関係者との連携による効果的な普及・啓発活動が重要であると、試行イベントを見学して感じたことから、こうしたイベントやその他の普及・啓発活動を実施するにあたっての留意点や連携体制をどのようにつくるべきか、どんな内容が効果的かなどを整理してほしい。 ●グッドプラクティスを紹介してほしい  ・一自治体で、未経験であると、普及・啓発の手法もわからない場合がある。グッドプラクティスの情報を共有してほしい。 19ページ ③ 横浜市(健康福祉局 障害福祉課) ■補助犬定期健診等助成事業について ・補助犬医療証を発行し、市獣医師会所属の施設で定期健診、疾病にかかる診療を受けた場合の費用を市が負担するもの。 ・補助犬法施行(2002年)より前から盲導犬の医療費の助成を市費で行ってきた。補助犬法施行を受けて、補助犬の給付事業を開始し、医療費助成も対象を補助犬に拡大した。その後給付事業は2006年度に県の事業に移管された。 ・動物の医療も高度化しており、適切な医療措置により補助犬としての稼働期間が伸びる効果がみられるので、予算面で厳しいもののできる限り助成していきたいと考えている。 ・横浜市ほど助成が手厚い自治体はないので継続してほしいという声がある。 ■啓発活動について ①市職員に対する研修を実施 ⇒市内18区役所の社会福祉専門職に対して実施。障害当事者の相談や障害者手帳の交付手続きの際に補助犬を含む様々な制度を案内できるようにすることが目的。育成団体を講師に迎え、補助犬デモや補助犬法・各種制度の内容などを伝える。当事者との相談の中で盲導犬ニーズを認知し、育成団体に繋ぎ、給付に至った例がある。 ⇒今年度から市役所の管理職が対象の人権研修の中に補助犬を入れた。市内の育成団体の訓練センターを訪問して研修を行った。 ②障害者週間のイベントで補助犬デモを実施 ⇒市との包括連携協定に基づき、2017年度より商業施設で12月の障害者週間のイベントを開始。 ③厚生労働省のリーフレットの配布 ⇒医師会、薬剤師会、歯科医師会を通じて市内の医療機関(5000軒程度)に配布する予定 ■補助金の活用等に関する課題 ●補助金申請の際の意向確認 ・補助犬育成促進事業は都道府県事業であり、都道府県が補助金を申請しないことには活用の可能性がない。申請の際に県と市で育成促進事業の実施の意向確認をするのがよいのでは。 ●県内の補助犬担当者の交流の活発化 ・神奈川県内では、補助犬担当者間で同伴拒否事例が発生するたびに共有はしているが、もっと密に情報交換をする場があった方がよい。 20ページ ④ 千葉県(健康福祉部 障害者福祉推進課) 〇「広域専門指導員」が店舗等を訪問して周知活動を実施 「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」(2007年7月施行)に基づき、「広域専門指導員」を配置している。広域専門指導員は、各圏域内の障害者施設、医療機関、公共交通機関、店舗、幼稚園・保育所から大学までの教育機関等を訪問し、本条例の普及・啓発のための周知活動を行っている。 以前より、広域専門指導員は、周知活動のなかで事例等に合わせて、補助犬法の趣旨説明および厚生労働省作成のリーフレット・ステッカーの配布を行っていたが、2019年度からはさらにリーフレット等の配布枚数を増やし、積極的に補助犬法の周知に取り組んでいる。直接訪問して配付するため、補助犬の受け入れについて詳細に説明でき、相手方に理解を得られやすいという利点がある。また、もともと行っている本条例の周知活動の中に取り入れる形であるため、追加的に発生している人的負担や費用は小さいと考えられる。 なお、具体的な訪問先の選定は広域専門指導員が決定しており、日々の相談業務のなかで補助犬を拒否されたという事例が発生した医療機関や飲食店、周知が遅れていると想定される個人営業の店舗等、効果的と思われる訪問先を中心に周知を行っている。 ○広域専門指導員 「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」に基づき設置されており、障害のある人への理解を広げ、差別をなくす取組を実施している。主な業務として、障害を理由とする差別事案の解決や、条例等の周知啓発活動を行っている。 県内(千葉市含む)を16の圏域に分け、圏域ごとに駐在所(健康福祉センター13か所、障害者相談センター2か所、その他1か所)を設置し、圏域ごとに1人ずつ、計16人配置されている。 ⑤ 静岡県(健康福祉部 障害者支援局 障害福祉課) 静岡県では、補助犬に関する出前講習会や広報啓発活動、補助犬使用者等に対する衛生や行動に関する指導等を行う「補助犬インフォメーションデスク」をNPO法人静岡県補助犬支援センターに委託して運営している。 ■啓発活動について 静岡県補助犬支援センター(以下センター)は、補助犬使用者による当事者団体である。 啓発活動については、契約当初に年間実施計画書をセンターが提出する。活動内容策定に当たってはセンターの意見を最大限尊重し、県として重点的に取り組んでもらいたい内容がある場合には実施を依頼している。 実施結果については、月次報告、年間実施報告を受ける。報告された課題や問題認識が翌年度実施計画に反映される。 センターが県内の様々な事業者団体等からの依頼を直接受けて出前講座等を行うケースがあり、その場合、県は事後に報告を受ける。 ■障害当事者に向けた普及活動 「補助犬インフォメーションデスク」で給付希望者への情報提供を行っている。 ※静岡県補助犬支援センターは静岡市から相談支援事業所の指定を受けている。 21ページ 3) 相談支援専門員アンケート調査 実施方法:ウェブ上にアンケートを作成し、日本相談支援専門員協会事務局に依頼し、各都道府県協会を通じて協会会員に回答案内をメールで送付した。 調査期間:2019年10月1日~10月15日 回収数:42件 【ポイント】 ・補助犬の認知は高く9割近い。特に盲導犬と介助犬が良く認知され、聴導犬は約半数。 ・相談支援対象者に補助犬を勧めた、相談支援対象者が補助犬を使うことになった、相談支援で補助犬使用を検討したが補助犬を使うことをあきらめた、という経験を持つ人はいなかった。 ・相談支援で補助犬を積極的に勧めている人はいなかった。 ・補助犬を積極的に勧めるための課題は、入店拒否や頭数不足もあるが、補助犬に関する様々な情報を相談支援専門員自身が持っていないことが課題と大半の人が考えている。 ・このアンケートそのものが相談支援専門員に対する啓発になった(スキルアップのために補助犬のことをもっと知るべきと思ったという自由記述があった)。 以下、各項目の結果を示していきます。 ①回答者の属性 障害福祉サービス事業所勤務者が9割近い。相談支援専門員としての経験年数は9割が1年以上、半分が5年以上。 勤務先の種類、複数回答可、回答総数:45 1.障害福祉サービス事業所(社会福祉法人、NPO法人など)、36 2.基幹相談支援センター、2 3.地域活動支援センター(委託など)、4 4.行政職員(市区町村など)、0 5.その他、3 相談支援業務従事期間 1.1年未満、4人、10% 2.1年以上3年未満、9人、21% 3.3年以上5年未満、8人、19% 4.5年以上10年未満、13人、31% 5.10年以上、8人、19% 無回答、0人、0% 22ページ ②補助犬の認知 3種類の補助犬のいずれか一種類でも知っている回答者は88%であった。そのうち盲導犬はほぼ全員、介助犬は8割、聴導犬は4割の回答者が「知っていた」と回答した。 補助犬を知っていたか 知っていた、37人、88% 知らなかった、5人、12% 無回答、0人、0% 補助犬を知っていたと回答した37人に対して、3種類の補助犬をそれぞれ知っているか尋ねた。 盲導犬、知っていた、36人、97%、知らなかった、0人、0%、無回答、1人、3% 介助犬、知っていた、30人、81%、知らなかった、7人、19%、無回答、0人、0% 聴導犬、知っていた、15人、41%、知らなかった、19人、51%、無回答、3人、8% ③補助犬に関する経験(補助犬を知っていた回答者のみ) 相談支援対象者に補助犬を勧めた経験や相談支援者が補助犬を使用することになった経験を持つ回答者はいなかった。 補助犬の使用を勧めた経験の有無 盲導犬、ある、0人、0%、ない、37人、100%、当該補助犬の存在を知らなかった、0人、0%、無回答、0人、0% 介助犬、ある、0人、0%、ない、31人、84%、当該補助犬の存在を知らなかった、6人、16%、無回答、0人、0% 聴導犬、ある、0人、0%、ない、23人、62%、当該補助犬の存在を知らなかった、14人、38%、無回答、0人、0% 相談支援対象者が補助犬を使用することになった経験の有無 盲導犬、ある、0人、0%、ない、37人、100%、当該補助犬の存在を知らなかった、0人、0%、無回答、0人、0% 介助犬、ある、0人、0%、ない、36人、97%、当該補助犬の存在を知らなかった、0人、0%、無回答、1人、3% 聴導犬、ある、0人、0%、ない、34人、92%、当該補助犬の存在を知らなかった、0人、0%、無回答、3人、8% 補助犬の使用を検討したものの断念した経験の有無 ある、0人、0%、ない、37人、100%、無回答、0人、0% 23ページ ④相談支援における補助犬の位置づけ(補助犬を知っていた回答者のみ) 自身の相談支援において、「相談支援対象者に補助犬使用を積極的に提案している」を選んだ回答者はおらず、「相談支援対象者の使用意思があれば補助犬使用をマネジメントしている」を選んだ回答者が24%、「補助犬使用を提案していない」を選んだ回答者が52%であった。 相談支援時における補助犬の使用の位置づけ 相談支援対象者に補助犬使用を積極的に提案している、0人、0% 相談支援対象者の使用意思があれば補助犬使用をマネジメントしている、9人、24% 補助犬使用を提案していない、19人、51% その他、9人、24% 無回答、0人、0% ⑤補助犬について聞かれること(補助犬を知っていた回答者のみ) 相談支援において補助犬についてどのようなことがよく聞かれるか尋ねたが、用意した選択肢に対して「よく聞かれる」を選んだ回答者はおらず、そもそも補助犬のことが聞かれる場面自体が少ないことをうかがわせる結果であった。 施設等における補助犬の受入について(ルールと実状)、補助犬の申請手続等について、補助犬の飼育や管理について いずれについても、聞かれることが多い、0人、0%、聞かれることが少ない、22人、59%、わからない、15人、41%、無回答、0人、0% という回答だった ⑥補助犬の使用を積極的に勧めるための課題 補助犬に関する様々な情報を相談支援専門員自身が得る機会が不足していることについては、8割近くの回答者が「課題だと思う」と回答し、「やや課題だと思う」を合わせると約9割であった。 補助犬の入店拒否があることについても、「課題だと思う」「やや課題だと思う」の選択割合を合わせると9割を超える。 店舗や施設等で補助犬の入店拒否があること、課題だと思う、25人、60%、やや課題だと思う、14人、33%、あまり課題だと思わない、1人、2%、課題だと思わない、0人、0%、わからない、2人、5%、無回答、0人、0% 一般の方の補助犬の認知が進んでいないこと、課題だと思う、25人、60%、やや課題だと思う、13人、31%、あまり課題だと思わない、2人、5%、課題だと思わない、0人、0%、わからない、2人、5%、無回答、0人、0% 補助犬が不足していること、課題だと思う、29人、69%、やや課題だと思う、8人、19%、あまり課題だと思わない、1人、2%、課題だと思わない、0人、0%、わからない、4人、10%、無回答、0人、0% 補助犬の手続等についての情報を相談支援専門員が得る機会が不足していること、課題だと思う、33人、79%、やや課題だと思う、4人、10%、あまり課題だと思わない、2人、5%、課題だと思わない、0人、0%、わからない、3人、7%、無回答、0人、0% 補助犬の飼育や管理についての情報を相談支援専門員が得る機会が不足していること、課題だと思う、32人、76%、やや課題だと思う、7人、17%、あまり課題だと思わない、1人、2%、課題だと思わない、0人、0%、わからない、2人、5%、無回答、0人、0% 24ページ ⑦身体障害者に対して有効な啓発 「有効だと思う」の選択割合が高かったのは「テレビやラジオなどでの啓発コマーシャル」「補助犬使用について理解できるイベント等の実施」であり約3分の2に上った。 その他有効と思われる啓発として「障害サービス事業所等でのイベントに参加」「身体障がい者の為のイベント等にPRの時間を加える」という提案があった。 自治体などのウェブサイトでの発信、有効だと思う、21人、50%、やや有効だと思う、16人、38%、あまり有効だと思わない、4人、10%、有効だと思わない、0人、0%、わからない、1人、2%、無回答、0人、0% 補助犬使用について理解できるイベント等の実施、有効だと思う、29人、69%、やや有効だと思う、12人、29%、あまり有効だと思わない、0人、0%、有効だと思わない、0人、0%、わからない、1人、2%、無回答、0人、0% 相談支援専門員によるレクチャー、有効だと思う、17人、40%、やや有効だと思う、18人、43%、あまり有効だと思わない、4人、10%、有効だと思わない、1人、2%、わからない、2人、5%、無回答、0人、0% テレビやラジオなどでの啓発コマーシャル等、有効だと思う、27人、64%、やや有効だと思う、13人、31%、あまり有効だと思わない、1人、2%、有効だと思わない、0人、0%、わからない、1人、2%、無回答、0人、0% 自治体広報誌などでの紹介、有効だと思う、25人、60%、やや有効だと思う、16人、38%、あまり有効だと思わない、0人、0%、有効だと思わない、0人、0%、わからない、1人、2%、無回答、0人、0% 自治体がSNSなどを使って定期的に発信する、有効だと思う、20人、48%、やや有効だと思う、19人、45%、あまり有効だと思わない、1人、2%、有効だと思わない、1人、2%、わからない、1人、2%、無回答、0人、0% 25ページ ⑧自由記述 ・今回のアンケートで改めて補助犬の必要性を感じた。 ・これまで提案の機会がなかったのは、知識不足も大きい。研修等で相談支援専門員のスキルアップを図りたい。 ・補助犬の普及が進み、社会で認知され、嫌な思いをせず活動できる社会になればと思う。 ・補助犬の認知が進むことで、障害者の生活により一層寄り添い、選択の幅も広がる機会に繋がることを期待する。 26ページ (2) 補助犬使用者及び非使用者から見た取組みに対する意識の把握 1) 補助犬使用者アンケート調査 身体障害者補助犬の使用者を対象に、啓発活動に関する意識等をアンケート調査により把握を行った。 〇実施方法:ユーザー団体様を通じて、会員の方を対象にアンケートを実施。盲導犬ユーザーにはメールで、介助犬・聴導犬ユーザーにはウェブアンケートで実施を行った。 〇調査期間:2019年10月1日~ 〇回収数:盲導犬ユーザー20、介助犬ユーザー16、聴導犬ユーザー5(それぞれ使用経験者を含む) 【ポイント】 ・回答者が住んでいる地域での啓発活動は実施しているは6割。実施している啓発活動の効果は8割が「効果がある」と回答。 ・実施している啓発活動は学校やイベントでの活動、役場職員等への研修、広報誌での紹介などが挙げられた。 ・啓発活動で理解してもらうべきこととしては、受入に対する理解が最も多く、次いで補助犬法の理解、補助犬の役割が挙げられた。 ・啓発手法としては、「テレビ・ラジオ等の媒体による広報」が最も多く挙げられたが、障害の特性によっての違いがあり、盲導犬ユーザーは「対象を明確にした具体的な研修の実施」を挙げている。 以下、各項目の結果を示していきます。 ①回答者の属性 ・回答者は盲導犬20(現使用者19、元使用者1)、介助犬(現使用者14、元使用者2)、聴導犬(現使用者4、元使用者1)であった。 ・元使用者の使用を止めた理由としては、以下が挙げられた。   ・ライフスタイルの変化に伴い、生活に生じるデメリットがメリットを上回った。   ・当時は介助犬普及をお手伝いする目的でユーザーとなったが、10歳で犬が無くなり、それ以降は希望者にご紹介することをしている。   ・使用環境が維持できないため 回答者の属性 盲導犬19 介助犬14 聴導犬4 盲導犬を使用していたことがある1 介助犬を使用していたことがある2 聴導犬を使用していたことがある1 ・使用年数は、全体で平均10.2年、盲導犬12.7年、介助犬7.1年、聴導犬10.2年であった。 27ページ ・盲導犬では20年以上の使用者が最も多く、介助犬では1~4年であった。5年以上になると、2頭以上の使用している者が見られた。 使用年数、使用頭数 1~4年使用、1頭 盲導犬3介助犬4聴導犬2 5~9年使用、1頭 盲導犬2介助犬5聴導犬1 5~9年使用、2頭以上 盲導犬3介助犬4 10~14年使用、1頭以上 盲導犬5介助犬2聴導犬2 15~19年使用、1頭以上 盲導犬1 20年~使用、2頭以上 盲導犬5介助犬1 ②地域における啓発活動の実施状況 ・回答者が住んでいる地域の啓発活動の実施状況は実施しているが約6割であり、その効果については「効果がある」としたのは8割を超えている。 お住まいの地域の啓発活動の実施状況 実施している58.5% 実施していない 31.7% 知らない9.8% 実施している啓発活動の効果 効果がある82.6% 効果は薄い8.7% わからない8.7% ・実施している啓発活動の内容としては、以下が挙げられた。  □小・中学校でのデモンストレーション等の出前講座 14件  ・自身が小学校で講話。(社会福祉協議会主催。小学校3~6年生を対象に、盲導犬に興味がある人を募集し、私の講話の後に、募金活動を実施。また、盲導犬協会で訓練の仕方などを学んで、盲導犬のことを知ってもらおうという啓発運動であった)  ・小中学校の道徳の副読本に補助犬を掲載  □地域イベント等での一般に向けた啓発 16件  ・動物愛護週間での盲導犬ふれあいコーナー島根県松江市合同保健所、矯正展での盲導犬コーナー(法務局)  ・動物をテーマにしたイベントの中で、使用者が盲導犬についての話をする  ・盲導犬協会が行う啓発活動  ・盲導犬のお仕事などの紹介  ・市民向け講座  ・高校や公民館など主催の人権講演会などでそれぞれが普及・啓発活動  ・盲導犬協会との補助犬触れ合いコーナーに参加。ユーザーの会(島根ハーネスの会)などのイベントで触れ合いコーナーの開催。市民活動フェスタや、ボランティアフェスティバル、動物愛護週間のイベントなど、ユーザーが中心になってこちらから働きかけて普及・啓発活動をしている。  ・市民フェスティバル会場でPRブース  ・補助犬シンポジウムの開催 28ページ  □市などの地域広報での紹介 3件  ・市の広報で紹介(差別解消法特集の一部)  ・市役所の広報で補助犬の記事を特集  □その他 10件  ・補助犬シールの配布、公用車への貼付  ・補助犬普及のためのインターネットビデオの作成  ・補助犬学会開催の誘致  ・ラジオ局と郵便局が実施する募金活動  ・テレビや広報誌など盲導犬啓発の御願いをできるだけしている  ・宿泊施設へのリーフレット配布(差別解消法リーフレットとともに)  ・市の職員研修(差別解消法研修の中で)  ・県の予算による啓発は、年度末頃にバスのテロップなど2週間流れる程度。バスは前車両か一部の車両に流れるのか解らない。補助犬受け入れ拒否を受けた時厚生労働省の補助犬もっと知ってbookや同伴可ステッカーを配っているが現状困っている。国から公共施設に県や市町村を通じてでも確実に配っていただきたい。  ・市内在住補助犬3頭を対象に「特別住民票」を交付 ③啓発活動で理解してもらうべきこと ・啓発活動で最も理解してもらうべきこととして挙げられたのは、「施設等における補助犬の受入れに対する理解」であり、次いで「身体障害者補助犬法の理解」「補助犬の役割についての理解」が挙げられた。 啓発活動で理解してもらうべきこと 身体障害者補助犬法の理解17.6% 施設等における補助犬の受入に対する理解35.3% 補助犬の役割についての理解13.7% 補助犬使用者の義務として適切な管理、訓練認定の表示、獣医師の指導、衛生の確保を行っていることへの理解11.8% 補助犬使用者に対する声かけの方法3.9% 補助犬に接する際の禁止事項等5.9% その他11.8% 啓発活動で理解してもらいべきこと 盲導犬 身体障害者補助犬法の理解6 施設等における補助犬の受入に対する理解11 補助犬の役割についての理解4 補助犬使用者の義務として適切な管理、訓練認定の表示、獣医師の指導、衛生の確保を行っていることへの理解3 補助犬使用者に対する声かけの方法2 補助犬に接する際の禁止事項等3 その他1 介助犬 身体障害者補助犬法の理解3 施設等における補助犬の受入に対する理解4 補助犬の役割についての理解3 補助犬使用者の義務として適切な管理、訓練認定の表示、獣医師の指導、衛生の確保を行っていることへの理解2 補助犬使用者に対する声かけの方法0 補助犬に接する際の禁止事項等0 その他4 聴導犬 身体障害者補助犬法の理解0 施設等における補助犬の受入に対する理解3 補助犬の役割についての理解0 補助犬使用者の義務として適切な管理、訓練認定の表示、獣医師の指導、衛生の確保を行っていることへの理解1 補助犬使用者に対する声かけの方法0 補助犬に接する際の禁止事項等0 その他1 ・この傾向はユーザー別に見てもほぼ同様であった。 ・また、その他としては主に以下の意見が挙げられた。  ・行政や育成団体、ユーザー等による活動を周知する  ・一般市民の目線に立った活動を実施する  ・食品衛生責任者に対する講習 29ページ ④啓発の手法に対するニーズ ・効果的な啓発の手法として最も多く挙げられたのは、「テレビ・ラジオ等の媒体による広報」であり、次いで「体験型イベント」「気軽に参加して楽しめるイベント」が挙げられた。 ・ユーザー別にみると、盲導犬ユーザーは「対象を明確にした具体的な研修の実施」を挙げており、介助犬ユーザーは「テレビ・ラジオ等の媒体による広報」、聴導犬ユーザーは「体験型イベント」が多く挙げられている。 啓発活動の効果的な手法 対象者を明確にした、研修会等による具体的な講習の実施10.3% 気軽に参加でき、楽しみながら補助犬を理解できるイベント20.7% デモンストレーションなど、補助犬の役割等が具体的に理解できる体験型イベント24.1% じっくりと理解できるリーフレット等の紙媒体等の配布5.2% 多くの人が対象となるテレビやラジオ等での補助犬についての広報の実施25.9% SNSなどによる情報の発信8.6% その他5.2% 啓発活動の効果的な手法 盲導犬 対象者を明確にした、研修会等による具体的な講習の実施6 気軽に参加でき、楽しみながら補助犬を理解できるイベント7 デモンストレーションなど、補助犬の役割等が具体的に理解できる体験型イベント7 じっくりと理解できるリーフレット等の紙媒体等の配布3 多くの人が対象となるテレビやラジオ等での補助犬についての広報の実施8 SNSなどによる情報の発信5 その他1 介助犬 対象者を明確にした、研修会等による具体的な講習の実施0 気軽に参加でき、楽しみながら補助犬を理解できるイベント4 デモンストレーションなど、補助犬の役割等が具体的に理解できる体験型イベント5 じっくりと理解できるリーフレット等の紙媒体等の配布0 多くの人が対象となるテレビやラジオ等での補助犬についての広報の実施6 SNSなどによる情報の発信0 その他1 聴導犬 対象者を明確にした、研修会等による具体的な講習の実施0 気軽に参加でき、楽しみながら補助犬を理解できるイベント1 デモンストレーションなど、補助犬の役割等が具体的に理解できる体験型イベント2 じっくりと理解できるリーフレット等の紙媒体等の配布0 多くの人が対象となるテレビやラジオ等での補助犬についての広報の実施1 SNSなどによる情報の発信0 その他1 ⑤啓発活動に対するニーズ・意見 以下のようなニーズや意見が挙げられた。 ・事業者等受入に対する積極的な啓発活動 ・受入のグッドプラクティスをしている事業者への感謝の意を示すステッカー配布 ・ユーザー自身がさまざまな場所へ行くことで周知となる ・使用者の立場に立った周知 ・体験会の実施 など  □事業者等受入側や子どもたちに対する積極的な啓発活動  ・事業所、教育機関(現在も盛んに行われているところも有る)、各種団体に積極的に出向いて、啓発をするべき。その中で、補助犬に接する際の禁止事項について、周知をはかって欲しい。 30ページ  ・盲導犬のスーパーや、施設タクシーなどの入店拒否がまだあるので、盲導犬のことを正しく理解してほしい。盲導犬に声をかけたらいけないと思っておられる方が多いので、ユーザーにも声をかけたらいけないと思っておられる方が多いので、盲導犬について正しく理解してもらいたい。入店拒否にあったとき、補助犬法のことを説明しても理解してもらえないことがあるので、一般の人にもわかりやすい啓発が必要だと思う。職場での盲導犬受け入れを理解してもらいたい。  ・街の中(駅の構内や歩道)では足を止めて聞いてくれる人が少ないように思います。学校や職場など室内での開催は注目して聞いてくれます。公園のイベントなどでもデモンストレーションとトークは効果があると感じます。  ・今レストランやカフェでの補助犬入店拒否が目立つので、補助犬法の大いなる普及を盛んにする取り組みが欲しい。  ・施設や公共機関、職場での盲導犬受け入れへの理解もしてもらいたい。  ・盲導犬を持ってまだ間もないですが、短い期間に何度も受け入れ拒否に遭っています。悪意のある「拒否」ではなく、ただ「知らない」だけだと思います。限られた人(事業者)ではなく、誰もが補助犬のことを理解できるような、啓発が必要なのではないかと思います。それはもちろんユーザーの務めでもあると受け止めています。  ・小学校や中学校など人権講習会なども担当のかたが興味を持っておられるかたでないと当事者のかたをよんで授業でなく、本を読んだりインターネットで調べたり野いのちの無い授業でおわってしまいます。教育委員会などその重要性をお話しされ生きる事業将来を見据えた事業などを文部科学省や横の連携を取られながら進められるのはいかがでしょうか。  ・公共施設の職員向けの研修会や、ホテルや旅館など、宿泊施設の補助犬受け入れセミナーなど県内や県外から頼まれて行わせていただいたりしています。バリアフリー観光の推進を進めたりしていますので、その中で福祉と観光が結びつき、補助犬受け入れセミナーなど開催しています。15年くらい昔ですが、地域の青年会議所の企画で一年間お手伝いをしました。イベントが毎月1回開催され、一つの地域のバリアフリーな、まちづくりのお手伝いをしましたが、そういった声もみなさんからあり実現しました。国のほうからそのような声をかけられると、青年会議所や商工会議所など、企業や企業の中の組合なども補助犬拒否や受け入れに着いての実情をしり、企画をされると地域の補助犬ユーザーさんや地域の補助犬のそれぞれの会など会として協力してくださると思います。  ・聴導犬の数が他の二種類の犬と比べ少ないので、啓発活動にもっともっと力を注いでほしい。  ・病院さまや自治体さまに、正しく補助犬を理解していただきたい。  ・同伴拒否の多くは医療機関、飲食店が多いため、市町村三師会、病院協会、各学会への補助犬法に則った受け入れの周知徹底(出来れば会合の際にsession入れてもらう)。食品衛生管理者講習会での補助犬法session義務化などで、まずは補助犬法を知っていただき法に則った受け入れをしないことは法律違反であるとハッキリ伝えることも必要だと思います。受け入れ義務がある、という言い方をしてきましたがインパクトがある「法律違反」と伝えた方が相手に響きます。そろそろ1歩踏み込んだ伝え方をしていく、罰則を考えていく頃合いだと考えます。  □使用者の立場に立った周知  ・特に介助犬や聴導犬の啓発において、「犬がこんなにいろんなことができる」と見せているものが多いが、主体は使用者であり、犬に視点をおいた啓発を続けていることで、大衆の目も犬にばかり行き、使用者や障害当事者の立場や人権に目が行かなくなっていると感じる。補助犬は使用者と共にいてはじめて意味をなすものであると言うことを理解してもらえるような内容での啓発をしてゆかないと、受け入れへの理解が進まないと考える。  ・自治体の補助犬窓口がもっと使用者の立場に立った啓発活動をしてほしい。地元の窓口は、とてもそのように活動していると思えない。  ・マスコミの視聴者受けする報道ばかりでなく、使用者が実体験等を話して活動する場がたくさんあるとよい。 31ページ  ・「補助犬のお仕事ぶり」に焦点を当てた情報の発信では、どうしても犬たちの『かわいさ』や『健気さ』ばかりが印象に残りがちです。補助犬をより身近な存在に感じてもらうと言う意味では一定の意義がある一方、補助犬とその使用者の生活について、その本質が正しく伝わっていないことも多く、結果、使用者がパートナーである補助犬を適切にコントロールしようとする時、その妨げになってしまうと言うことも起きているのも事実です。その様な観点から、より正確かつ客観的な視点での発信を心がけていただけたら嬉しいです。  ・受け入れ拒否などが起こったときに、クレームや指導、注意勧告で終わらせるのではなく、研修を企画させる、など、拒否をきっかけに、災い転じて的な流れを作り、正しい理解啓発につながる実際の動きになるような活動をしてほしい。  ・同伴拒否なとかあったさいの行政が行える行政指導も担当者の力量まかせ。罰則とはいわないでも悪質事例は店舗等のなまえの公表またはもう少し行政指導の強化が必要。  □行政の支援  ・補助犬普及のために市民が行うイベントやセミナーへの利用しやすい公的助成。  □受入のグッドプラクティスへの評価  ・補助犬法などの啓発活動用の講演会やイベント・パンフレット・ステッカーもさることながら、現に適切に補助犬を受け入れているお店や施設への使用者からの感謝を表すステッカー或いは表彰シールなどが飼養者から配布できれば素晴らしい。ステッカー・シールは年度ごとに色やサイズを変えて毎年でも繰り返し配布できると良い。  □ユーザーが広告塔として周知を展開する  ・ユーザーたちが団体旅行などで、いろいろな所にたくさんの補助犬を伴うことによりそこの地域の人たちへの啓発活動となる。特に、旅行先の地域市民や学生にボランティアをお願いすることにより、ユーザーとのコミュニケーションも深まり、補助犬の理解にもつながる。  ・ユーザーが外に出て人の目に触れる。  □体験会の開催  ・同じ話を聞いても各人の理解が異ならない少人数での歩行体験会などがあると親しく学んでもらえる。その参加者が応援団の一人となれば地域での歩行や災害時の支援者側として動いてもらえる。  □その他  ・わたしたちの様な補助犬関係者の方々が思いつく以外の活動。  ・犬が好きだから補助犬に興味があるかと言ったらそうではないので、どうしたら興味を持ってもらえるか工夫が必要だと思いました。  ・オリパラで啓発、テレビの力、芸能人を使ってのイベント  ・テレビで放送された補助犬関連のビデオをYouTubeなどで公開できる制度。 32ページ 2) 障害当事者(補助犬非使用者)アンケート調査 身体障害者補助犬を使用していないが、使用の可能性のある障害当事者対象に、啓発活動等に関する意識等をアンケート調査により把握を行った。 〇実施方法:障害者団体様を通じて、会員の方を対象にアンケートを実施。視覚障害者にはメールで、肢体不自由者、聴覚障害者にはウェブアンケートで実施を行った。 〇調査期間:2019年10月1日~ 〇回収数:全盲70、弱視39、肢体不自由6、聴覚・言語36、その他1に付け加えて、肢体不自由27を回収した。 【ポイント】 ・「使用は考えていない人」が約7割であり、その理由は「犬の面倒を見るのが大変そうだから」が最も多い。 ・「すぐにでも使用したい」「いずれ使用したい」は合わせて約2割。しかし「未だ申請をしていない」「犬を受け入れられる状態ではない」などの理由で使用していない。 ・補助犬についての情報としては、「テレビ、ラジオ等での啓発CМ」が最も多い。しかし、視覚障害者、肢体不自由者には「相談支援専門員のレクチャー」のニーズもある。 ・補助犬使用について知りたい内容としては「費用」「申請」などの使用に関する準備について、また「どのように補助犬がサポートするのか」など犬との生活や訓練について、さらには「受入拒否された場合の対処方法」などについても挙げられた。 ①補助犬の使用希望 ・補助犬の使用希望を見ると、全体で「使用は考えていない」が約7割にのぼった。障害の別にみると、弱視、聴覚障害の人に使用希望が比較的多くみられる。 すぐにでも使用したい4.5% いずれ使用したい18.4% 使用は考えていない69.8% その他7.3% 33ページ ・すぐにでも使用したい人の状況としては、約6割が「未だ希望申請をしていない」という実態が見られた。 希望しており受給が決まっている1 未だ希望申請をしていない8 その他3 ・いずれ使用したい人の希望申請をしない理由としては、約4割が「自宅が受け入れできる状態ではない」を挙げている。 補助犬が不足しているから3 申請方法がわからない5 自宅が補助犬を受け入れられる状態ではない13 その他13 ・使用は考えていない人の理由としては、最も多く挙げられたのが「面倒を見るのが大変そう」であり、次いで「今の補装具で十分」が挙げられた。 現在使用している補装具で十分だから32.8%、補助犬が役に立つとは考えられないから4.5% 補助犬は不足しているから1.5% 補助犬の面倒を見るのが面倒だから35.8% 補助犬が吠えて周囲に迷惑がかかりそうだから0.7% 補助犬が衛生的に問題があるから0.7% その他23.9% ・その他の理由として挙げられたのは以下のとおり。  ・高齢だから  ・犬嫌いだから  ・ペットとして扱ってしまう、厳しくしつけができない  ・行動が制限される  ・アレルギーがある  ・入店拒否などの差別的取扱いがあるから  ・費用がかかりそうだから  ・家族の理解を得られそうにないから  ・ロボット犬なら申請したい 34ページ 使用は考えていない人の理由 現在使用している補装具で十分だから 全盲(17) 弱視(11) 車椅子使用者(10) 聴覚障害(6) 聴覚・言語障害(0) その他(0) 補助犬が役に立つとは考えられないから 全盲(0) 弱視(0) 車椅子使用者(4) 聴覚障害(2) 聴覚・言語障害(0) その他(0) 補助犬は不足しているから 全盲(1) 弱視(0) 車椅子使用者(1) 聴覚障害(0) 聴覚・言語障害(0) その他(0) 補助犬の面倒を見るのが大変そうだから 全盲(21) 弱視(5) 車椅子使用者(12) 聴覚障害(9) 聴覚・言語障害(0) その他(1) 補助犬が衛生的に問題があるから 全盲(0) 弱視(1) 車椅子使用者(0) 聴覚障害(0) 聴覚・言語障害(0) その他(0) 補助犬が吠えて周囲に迷惑がかかりそうだから 全盲(0) 弱視(0) 車椅子使用者(0) 聴覚障害(1) 聴覚・言語障害(0) その他(0) 職場での受入ができていないから 全盲(0) 弱視(0) 車椅子使用者(0) 聴覚障害(0) 聴覚・言語障害(0) その他(0) その他 全盲(11) 弱視(9) 車椅子使用者(5) 聴覚障害(6) 聴覚・言語障害(1) その他(0) 35ページ ②啓発活動についての情報発信の方法 ・啓発活動についての情報発信の方法へのニーズを見ると、最も多く挙げられたのは「テレビ、ラジオ等での啓発CМ」であり、次いで「啓発イベントの実施」「相談支援専門員によるレクチャー」が挙げられた。 ・障害の別にみると、視覚障害者、肢体不自由者は相談支援専門員のレクチャーが挙げており、また聴覚障害者はテレビCМを挙げている。 自治体などのホー」ページ9.2% 補助犬使用について理解できるイベント等の実施26.8% 相談支援専門員によるレクチャー12.4% テレビ・ラジオなどでの啓発コマーシャル等35.9% 自治体広報誌などでの紹介7.2% 自治体がSNSなどを使って定期的に発信する3.3% その他5.2% 36ページ ③補助犬についてわからないこと、知りたいこと 〇申請や準備などについて ・費用がどのくらいかかるのか ・申請方法、申請の流れ ・自治体等からの補助はあるのか ・犬を受入れる準備をどのようにすべきか ・団体がいくつかあるが、重複して申し込んでもよいのか? ・どこの公営住宅でも利用は許可されるのか? ・訓練機関の特徴や違い ・事前に準備できること ・相談先が分からない 〇犬との生活や訓練について ・排泄等を見つける自信がないがどのように訓練するのか ・ペット犬を使えないのか ・使用者の声を聞きたい、生活や体験について聞きたい ・訓練所での生活が心配 ・具体的な世話の方法が分からない ・病気の対応、詳しい獣医さんがいるのか ・どのようなサポートをしてくれるかわからない ・家族の理解をどうとりつけたらよいか ・飼育代にどれくらいかかるのか ・病院の費用に対する補助はあるのか ・生活保護を受けていても飼育できるのか 〇その他 ・社会の理解が改善されるようにしてほしい ・どんな育成をしているのか、どのくらいの頭数がいるのかわからない ・受入拒否をされた場合の対処方法は? ・啓発イベントがあれば行ってみたいが情報がない ・もっとメディアに取り上げていくべき  37ページ (3) 受入れ側の認識、実態、課題の把握 補助犬使用者を受け入れる事業者等を対象にアンケート調査を実施し、その実態を把握した。 1) 日本ショッピングセンター協会会員に対するアンケート調査 ア.回収状況 回答数41社、うちテナントの入る施設を運営38社、施設により状況が異なる3社 イ.補助犬の来店実績 補助犬の来店実績があると回答した事業者は26事業者 種類は盲導犬が18件と最も多い 補助犬使用者の来店実績 実績がある26、実績はない3、不明12 来店実績のある補助犬の種類 盲導犬18、聴導犬1、介助犬6、不明1 ウ.補助犬の来店実績 事業者自身が店舗を出している訳ではないためと考えられるが、来店実績を把握していない事業者が13社見られた 来店実績を把握している事業者では、「来店頻度はそれほど多くない」との回答が多い 補助犬使用者の来店実績 来店が比較的多い1、それほど多くない11、把握していない13、その他1 38ページ エ.教育・研修の実施状況 多くの事業者では、従業員教育や研修は未実施 マニュアルを配布した教育を実施している事業者においても、「バリアフリー応対マニュアル」や「補助犬センターのマニュアル」を用いているとの回答は見られなかった 教育・研修の実施状況 マニュアル配布1、マニュアル配布+従業員研修2、従業員研修のみ4、実施していない27、未回答1 教育・研修で使用するマニュアル 通常の行゛教務マニュアル8、その他2、未回答1 オ.教育・研修の内容 教育や研修の内容としては、「身体障害者補助犬法に対する理解」が最も多く、次いで「一般利用者への説明方法 教習や研修は、今後の実施も予定していない事業者が17社と最も多い ユニバーサルマナー検定を受検させているとの回答もあった 教育・研修の内容 身体障害者補助犬法に対する理解7、補助犬に対する基礎知識2、補助犬使用者への接し方へ誘導方法2、一般利用者への説明方法4、トラブル発生時の対応方法1、その他1 教育・研修の実施予定 マニュアル配布を予定1、研修の実施を予定4、予定していない17、その他4 39ページ カ.苦情の発生状況 ほとんどの事業者が、苦情を受けたことはないと回答 「補助犬使用者から苦情を受けたことがある」と回答した事業者に、発生場所を尋ねたところ、いずれも「飲食スペースや飲食店」という回答であった 苦情の発生原因としては、「従業員の理解不足(4件)」、「従業員対応の不徹底(2件)」が挙げられた 苦情の発生状況 使用者から苦情を受けたことがある4、一般利用者からの苦情を受けたことがある1、苦情を受けたことはない34、その他2 キ.自由記述の具体的な内容 苦情の具体的な内容 ■「店内に犬がいるから出てほしい」との一般客の申し出を受け、店員が退店を促す。それを見ていた他の利用者が、対応の誤りを指摘 ⇒対応 事象の発生について情報共有 店長会において補助犬の知識を周知徹底 補助犬の知識確認のためのフロア朝礼実施 ■ペットの入店はできないと入店を拒否 ⇒対応 従業員への教育を約束 ■店長は補助犬法を理解していたが、対応したスタッフが入店を拒否 ⇒対応 補助犬使用者から施設インフォメーションへの連絡を受け、即時に事実確認を行い入店いただいた ○補助犬を受け入れる上での課題 行政機関が先頭に立って動かないと、一般利用者の理解を得るのが難しいと考えられる テナントの飲食店より、衛生面を危惧する問い合わせがある 施設としてペットとの来場を受け入れており、一般のペットと補助犬の違いを店舗スタッフが認識できていない点が課題 従業員研修等の実施で、補助犬の受け入れについて周知していく必要がある 補助犬については、ホームページにQ&A式で記載はしているが、館内入口付近などすぐに目に入る場所やフロアガイドでの案内がなされていない アルバイト社員まで周知徹底することが難しい 40ページ 2) 日本ホテル協会会員に対するアンケート調査 ア.回収状況 回答数102社、うちレストランや店舗・売店等を含めてすべて自社で営業36社、自社店舗以外にもテナントとしてレストランや売店等が入っている65社、その他1社 イ.補助犬の来店実績 補助犬の来店実績があると回答したホテルは80ホテル 種類は盲導犬が69件と最も多く、次いで介助犬の17件 補助犬使用者の来店実績 実績がある80、ない22 来店実績のある補助犬の種類 盲導犬69、聴導犬8、介助犬17、盲導犬+聴導犬1、盲導犬+介助犬7、盲導犬+聴導犬+介助犬7、不明35 ウ.補助犬の来店実績 来店実績を把握している事業者では、「不定期での来店・来館がある」との回答が多い 補助犬使用者の来店頻度 不定期での来店・来館がある56、把握していない17、その他7 41ページ エ.教育・研修の実施状況 38ホテルでは何かしらの形で従業員教育を実施 使用するマニュアルは「通常の業務マニュアル」との回答が最も多いが、「バリアフリー応対マニュアル」や「補助犬センターのマニュアル」を使用する例、これらを組み合わせて使用している例も見られた 「正社員」だけでなく、「派遣・パート・アルバイト」までを教育や研修の実施対象としているホテルが多い 教育・研修の実施状況 マニュアル配布17、マニュアル配布+従業員研修6、従業員研修のみ15、実施していない64 教育・研修で使用するマニュアル 通常の業務マニュアル10、バリフリ対応マニュアル8、補助犬センターのマニュアル5、その他9 教育・研修の対象者 自社正社員17、自社非正規社員16、テナントの従業員やバイト6、警備員その他関係者2、複層的に実施13 42ページ オ.教育・研修の内容 教育や研修の内容としては、「身体障害者補助犬法に対する理解」が最も多いが、「補助犬に対する基礎知識」、「補助犬使用者への接し方や説明方法」など、実践的な内容としているところもあり、また、これらを組み合わせて実施しているところもある 現状で教育や研修を実施していないホテルにおける、今後の実施予定はまちまちである 教育・研修の内容 身体障害者補助犬法に対する理解13、補助犬に対する基礎知識12、補助犬使用者への接し方へ誘導方法11、一般利用者への説明方法10、トラブル発生時の対応方法6、その他1、複層的に実施12 教育・研修の実施予定 マニュアル配布を予定2、研修の実施を予定4、予定していない5、その他4 カ.苦情の発生状況 ほとんどの事業者が、苦情を受けたことはないと回答 使用者から苦情を受けたことがある2、一般利用者からの苦情を受けたことがある0、苦情を受けたことはない79、その他21 43ページ キ.自由記述の具体的な内容 ○補助犬使用者の受け入れのために準備しているもの 補助犬トイレやトイレシート 餌ボール 犬用マット ○苦情の具体的な内容 従業員の理解不足により対応に不備があった 盲導犬と分からず入館を断った ※上記はいずれも数年前の出来事 ○苦情を受けての対応 事実確認と調査を行いお詫びした 全従業員への周知を図り再発防止を徹底した ○補助犬使用者を受け入れる上での課題 排泄場所の確保 補助犬に対する世間一般の理解が不十分であり、更なる啓蒙が必要 補助犬の訓練状況や衛生状況が確認できていない 基礎知識が不足していたり、接し方や誘導方法が分からないなど マニュアルや教育制度がなく、従業員の個々の対応や知識ベースとなっている 補助犬用トイレ等には限りがあるため、同時来館の際の対応が難しい チェックアウト後の清掃 「介助犬」と混同しやすい「セラピードッグ」等への対応 ○独自の取組内容 新入社員研修として、「障害理解サポーター養成研修」を実施 スタッフにサービス介助士がおり、補助犬使用者への対応を学んでいる 社内スタッフ向けの補助犬デモンストレーションの実施 補助犬使用者を交えた補助犬の対応講習会の実施 厚労省の「ほじょ犬・もっと知ってBOOK」の配布や、観光庁の「高齢の方、障害のある方などをお迎えする点の接遇マニュアル」の配布等 44ページ 3) 飲食店従業者に対するアンケート調査 ア.回答者の属性 回答数103名、うち個人経営店87名、チェーン店11名、その他5名 回答数103名、うち経営者87名、社員(契約・派遣を含む)24名、アルバイト1名、その他3名 イ.補助犬の役割と身体障害者補助犬法の認知度 補助犬の役割については8割近くの者が「名称も役割も知っている」と回答しており、名称も役割も知らないという者はいなかった 一方で身体障害者補助犬法は、4割以上の者が「名称も名前も知らない」と回答しており、認知度が十分とは言えない状況 補助犬の役割を知っているか 名称も役割も知っている77.7%、名称のみ知っている22.3% 身体障害者補助犬法を知っているか 名称も内容も知っている25.2%、名称のみ知っている32.0%、名称も内容も知らない42.7% ウ.補助犬の来店実績 補助犬の来店実績があると回答した者は15名 種類は盲導犬が13件と最も多い 勤務先店舗への補助犬使用者の来店実績 ある15、ない87、わからない1 来店した補助犬の種類 盲導犬13、聴導犬0、介助犬1、種類はわからない2 45ページ エ.教育・研修の実施状況 教育や研修は受けていない(実施していない)との回答が大多数を占める 教育・研修の実施状況 マニュアル配布3、マニュアル配布+従業員研修5、従業員研修のみ3、実施していない92 オ.苦情の発生状況 ほとんどの者が、苦情を受けたことはないと回答 使用者から苦情を受けたことがある0、一般利用者からの苦情を受けたことがある1、苦情を受けたことはない14 ○苦情の具体的な内容 健常者が、障害者に付き添っているのに、なぜ盲導犬が一緒にいるのか。外に置いてくればよい など カ.自由記述の具体的な内容 ○補助犬使用者が来店した際に困ったこと(3名が困った経験ありと回答) お客様対応 アレルギー 入口のドアが開けにくい構造なので、来店に気づかずお待たせしてしまった ○補助犬使用者の受け入れに際しての心配ごと(47名が不安があると回答) 衛生面や動物アレルギーのお客様への対応 他のお客様の補助犬に対する抵抗感 店舗が狭く、他のお客様との距離が近い どのような対応をしたらよいのかが分からない カラオケの音量に犬がどのような反応を示すか心配 他のお客様からクレームが来ないか トイレなどに困りそう 46ページ 4) 交通事業者に対するヒアリング調査 ○タクシー事業者 盲導犬、聴導犬、介助犬ともに受け入れた実績はあるが、利用はそれほど多くない 乗務員に対しては特段教育や研修は行っていない 利用者等からの苦情を受けたことはない(苦情もなく、特に対応体制は決まっていない) 補助犬の毛が抜けてマットに付着しており、掃除したことがあるほか、車内に臭いが残ったことがあり、補助犬使用者を受け入れる際の課題と考えている ○バス事業者 補助犬使用者の乗車実績は集計しておらず不明(よって、苦情等も把握していない) マニュアルの配布はしていないが、乗務員研修を実施し、身体障害者補助犬法の理解に努めている ○鉄道事業者 乗車実績は集計しておらず、これまでに苦情やトラブルの発生状況も感知していない ※なお、その他受入側の意識や実態として、厚生労働行政推進調査事業「身体障害者補助犬の質の確保と受け入れを促進するための研究」で実施した実態調査結果を参照した。 47ぺージ (4) 理解促進の取組みに対する課題の整理 1) 障害当事者への「普及」にかかる課題 ■使用希望の可能性のある障害当事者自身 補助犬について知ってはいるが、使用にあたっての具体的な情報が得られていないために、「面倒を見るのが大変そう」という意見が多い。 情報を得たいタイミングは障害の進行状況、生活によってさまざまであり、さまざまな機会を得ることが重要と考えられる。 イベントで補助犬のサポート内容については体験も含んで情報を得ることができるが、費用、管理や世話についての情報はイベント後にも「わからなかった」とした当事者もおり、情報を確認できる機会を設けることが必要である。 ■自治体窓口 市町村職員向けの研修会で補助犬給付についての説明を実施している、補助犬インフォメーションデスクを開設している、給付事業を支援団体が受託し普及に努めているなどの例があるが、使用希望があった場合に限られている。 手帳給付時などにおいても、補助犬の説明まではできていない実態が見られ、職員の補助犬使用に対する知識を得る場が求められている。 ■相談支援専門員 補助犬の認知度は高い一方、相談支援で補助犬使用を勧めたなどの経験を持つ者はいないという実態にある。 相談支援専門員が補助犬に対する深い知識を持つ機会がないのが実態であり、専門員がアドバイスをもらう「基幹相談支援センター」があり、そこにアドバイザーを配置することが望ましい。 ■普及活動の担い手(ユーザー、訓練事業者) ユーザー自身の語りが中心となって普及活動をすることで、障害当事者に対する補助犬使用をイメージできる普及活動ができる。 使用希望の可能性がある障害当事者は、「ユーザーの会など関係団体への相談」を情報入手の手段として挙げている者が多い。 一方で、使用可能性の高い若年層の障害当事者は、情報入手の手段としてインターネット検索も挙げているため、さまざまな方法での情報提供が必要である。(視覚障害者に対してチラシは効果が薄く、スマートサイト等の解説が必要) 多くの対象者に普及を図っていくには、当事者本人だけでなく、当事者に関わる人(ガイドヘルパー、ホームヘルパーなど)との連携が必要。 48ページ 2) 一般市民、受入事業者等に対する「啓発」にかかる課題 ■補助犬ユーザー 依然として飲食店、医療機関、宿泊施設、タクシー等の受入拒否があり、何度も受入拒否を経験すると心が折れてしまうという実態がある。 啓発活動で理解してほしいことは「受入に対する理解」であり、「多くの人が対象となるテレビやラジオによる広報の実施」を手段とすることが多く挙げられた。 ■自治体 市町村職員、飲食店の衛生管理責任者、商工会議所、医療従事者、小学校、同伴拒否をした店舗等に対しての研修やリーフレット配布、出前講座などで啓発活動を行っている事例が見られたが、対象数の多さや規模の異なりなどから、十分な啓発には至っていないという意見もあった。 業態の別、規模の別に受入条件が異なることから、出前講座など個々の事情に合わせた啓発の実施が効果的であり、具体的なアドバイスが可能である。 効果的な内容、体制をつくって活動するには、啓発マニュアルが必要。 ■受入事業者 テナントを有するショッピングセンターでは、来店実績はあるものの、補助犬受入についての従業員教育を実施していないところが多いが、苦情は受けていない。ただし、個々のテナントで受けている可能性はあるとは考えられる。 飲食店従業員(経営者を含む)は、補助犬についての認知度は8割が、補助犬法については内容を知らないが7割を越えている。受入れに対して不安に思っていることは衛生面、周囲のお客様の反応、周囲のお客様のアレルギー、犬の行動、排泄の問題などを挙げている。 大手ホテルは、来店実績は多い。補助犬使用者に対する教育・研修の実施がされていない施設が多いものの苦情を受けた経験は非常に少なく、ホスピタリティでカバーしていると考えられる。 補助犬についてHPに記載している病院でも、受入の経験がなく、受入の準備が不足(受入エリア、トイレなど)しており、マニュアルが必要であるとしている。また、基本的に同伴可能/禁止区域については、厚労省のガイドライン等に従って設定している。(厚労科研会議調査から引用) タクシー事業者は、受入れに対しては、犬の毛やにおいが残った経験があり、不安に思っている。 ■啓発活動の担い手(ユーザー、訓練事業者) 一般市民に向けたイベント形態での啓発活動には動物好きの人しか集まらない傾向があり、知ってほしい「受入について」が理解されない。 受入事業者に対する啓発の窓口が限られるが、飲食店であれば衛生管理責任者講習やであったり、医療従事者であれば病院でのイベント開催、また出前講座など個々へのアプローチなどが必要である。 補助犬使用者の目線での啓発活動が必要であり、使用者にとってどんな配慮が必要であり、受入側の抱えている不安に対する責任を果たしているかを啓発していくことが重要。 グッドプラクティスによって、補助犬受入や理解が、障害当事者の自立や社会生活にどのような効果を生んでいるかをPRすることが重要。 49ページ 2.理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討 (1) 受入側に向けた理解促進のための啓発活動のあり方の検討 補助犬使用者の社会生活を保障するためには、店舗や施設などの受入事業者だけでなく、そこで「周囲のお客様」となる一般市民の理解も必要であるが、「何が受入の妨げとなっているのか」「補助犬使用について何が理解されていないか」といった補助犬使用者が理解・対応してほしい情報が十分に示されていない状況にある。 しかし、障害当事者が社会生活を平等に送るために、障害支援のひとつの手段として「補助犬」について理解を得ていくことが重要であり、また、使用者自身が補助犬使用の責任をもって行動していること、そのため受入に対する不安を払拭してほしいことなど、法律のもと、障害当事者の社会参画として必要な事項であるという切り口を具体的に示していくことが必要である ① 受入側の理解を得られやすいタイミング、手段で 受入事業者は業態・規模が多岐にわたり、それぞれの職場環境や組織によって「補助犬使用者の受入」に対する理解を得ていくには、タイミングや手段を十分に考慮する必要がある。リーフレットの配布等も重要ではあるものの、効果的な手法を検討していくことも重要である。 ② 広く理解を得ていくための手法の導入 一般市民に対しては、イベントやリーフレット配布も補助犬使用者を知る機会となるが、一過性となってしまう恐れもあり、広く理解を得ていくためにはメディアの活用により繰り返し情報を流していくことが必要である。ただし、一般市民が理解しておくべき内容を端的に伝えることが重要である。 ③ 受入事業者、自治体の連携による啓発機会の拡大 地域と自治体のつながりを活用し、各業態へのアプローチ、費用調達も含めた啓発活動場所の提供、必要な情報提供など啓発内容の検討などを、補助犬使用者など啓発活動の担い手を含めて連携し、効果的な啓発機会を拡大していくことが必要である。 ④ 補助犬使用者受入れのポイントを効果的に示す 補助犬使用者の受入が補助犬法に規定されていることのみでは、受入事業者の不安は払しょくされない。補助犬使用者が責任を持つことも規定され、衛生面をはじめ犬の行動管理をしていることを示すとともに、受入事業者が不安に思っている事項についてどのような管理をしているかを具体的に示すことなど、ポイントを効果的に示すことが必要である。これは一般市民に対しても同様の内容を啓発していくことが重要である。 50ページ (2) 障害当事者に向けた補助犬の使用拡大のための普及活動のあり方の検討 1) 障害当事者に向けた普及活動の方向性の整理 使用希望の可能性のある障害当事者に対しては、未だ十分な普及活動は実施されていないために、補助犬使用を考えるタイミングで、補助犬についての具体的な情報を得られていない実態がある。 しかし、障害当事者が自立に向けた生活のあり方を考えるタイミングで、必要な情報を、具体的に、また当事者であるユーザーや補助犬についての理解を深めている専門家などに相談できる、情報を提供されるなどの機会となる「普及活動」を展開していくことが必要である。 ① さまざまなタイミングで 病院、手帳給付時、計画相談時、リハビリ時、当事者間での情報交換時などのさまざまな機会で補助犬使用についての「具体的かつ正確な」情報を得ることで、個々の状態に合わせた使用希望のタイミングに合致することが期待でき、使用希望につながる可能性が広がる。 ② ユーザー自身による普及 ユーザー自身が普及活動をすることで、具体的かつイメージしやすい使用のあり方を情報提供することが可能となり、障害当事者にとって身近に感じることが期待できる。 ③ 情報提供窓口や専門家の補助犬使用に対する知識の深度化 情報提供の窓口となる自治体、各施設に配置されている障害者支援の専門家などは、補助犬使用に対する知識を深度化しておくことが重要であり、「自立にかかる補装具機能のひとつとして、またそれ以上にパートナーとして」として勧めることのできるスキルを持つことが必要である。 ④ 普及活動の担い手と自治体の連携の必要性 ②に挙げたように、ユーザー自身による普及活動は障害当事者にとって効果が高いと考えられることから、イベント、研修会などユーザーと使用希望の可能性のある障害当事者をつなぐための連携を図っていくことが必要である。 51ページ 2) 障害当事者に向けた普及活動の試行の実施 補助犬の普及・啓発活動の試行として、「使用希望の可能性のある障害当事者」を主対象として、以下のイベントにおける来場対象者の意識調査を実施した。 ①日本点字図書館オープンオフィス及び勉強会 2019.11.09、11.27 視覚障害者(全盲、弱視) 既往イベントに対して意識調査のみ実施 ②TOKYO 耳カレッジ 2019.11.17 聴覚障害者 既往イベントに対して意識調査のみ実施 ③北里大学病院補助犬普及・啓発イベント 2019.12.03 病院来訪者、医療関係者 本事業の試行イベントとして実施 ④国立障害者リハビリテーションセンター補助犬普及イベント 2020.01.08 視覚障害者、肢体不自由、聴覚障害者、医療関係者 本事業の試行イベントとして実施 ① 日本点字図書館オープンオフィス及び勉強会 ア.イベントの概要 (公財)日本盲導犬協会による、障害当事者を主対象とした歩行体験などの体験型イベント オープンオフィス(11/9)については、晴眼者も来訪したため、イベント参加者は障害当事者のみではなかった。内容としては希望者に盲導犬との歩行を体験していただき、体験した方で希望された方には盲導犬使用についての説明を実施したもの。 勉強会は、日本点字図書館が主催している視覚障害者を対象としたものであり、(公財)日本盲導犬協会による歩行体験、盲導犬使用に対する説明会を実施したもの。 イ.参加した障害当事者に対する意識調査結果 ■調査対象者 歩行体験を実施した16名(オープンオフィス8名、勉強会8名) ■オープンオフィス来訪者(8名) ・属性:弱視者が6名と多く、年代は40~60代、男性が6名と比率が多かった。 ・イベント来訪経験は、3回目が4名、はじめてが3名であり、日本点字図書館からのお知らせが情報源で来訪していた。目的はほぼ体験歩行が目的であった。 ・イベント参加で欲しい情報が入ったとしたのが6名であり、その内容として最も多く挙げられたのは「補助犬入手の流れ」が63%、次いで「補助犬のサポート内容」が50%であった。 ・イベント参加後の使用希望については、希望が4名、希望しないが4名であり、希望しない理由としては、「いずれは使用したい」が3名、「今の補装具で十分」「住宅などの受入条件が整わない」が2名であった。 ・情報をどんなタイミングで知りたいかについては、「リハビリ等の自立訓練時」「補助犬に特化した説明会やイベント」が38%であった。 52ページ ■勉強会出席者(8名) ・属性:弱視者が7名と多く、年代は30~70代、男性が6名と比率が多かった。 ・イベント来訪経験は、はじめてが5名、2回目が3名であった。 ・今日のイベントまで知らなかったこととしては、4名が選択肢として挙げていた「サポートの内容」「入手までの流れ」「費用」「管理・世話の方法」をすべて挙げていた。 ・すでに友人のユーザーから情報を聞いている人、インターネットなどで調べている人もいた。 ・有益だった情報として最も多く挙げられたのは「費用」「その他」の50%であり、「その他」は、「階段を歩行できたのがよかった」「特にない」などであった。 ・イベント参加後の使用希望については、いずれが5名、難しいが2名、未定が1名であった。 ・使用条件でハードルとなっていることらついては、「その他」が75%と最も多く、「車社会なので歩くことがない」「頭に地図が入るか心配」「排泄の問題」「訓練期間が長い」などが挙げられた。 ・情報をどんなタイミングで知りたいかについては、「その他」が63%と多く、「自治体の広報誌」「病院で病気がわかったとき」「地方は遅れていて自治体がわかっていない」などが挙げられた。   ウ.まとめ さまざまなイベントに参加したり、ユーザーからの話を聞いたり、インターネットで調べていたり、宿泊しての体験もしている人もいて、盲導犬についての一定の情報は得ている人が多い。 しかし一方で、具体的な入手方法や手続き、必要な費用等については知らなかったという人もいて、使用に向けた具体的な内容は知られていない実態も明らかとなった。 53ページ ② TOKTO耳カレッジ ア.イベントの概要 東京都主宰の聴覚障害についてのイベントにおいて、(公社)日本聴導犬推進協会が実施した来訪者に向けた聴導犬のデモンストレーション等の普及・啓発普及・啓発活動。 聴覚障害者を含め、さまざまな方々が来訪。聴導犬のデモンストレーションで聴導犬の役割、ユーザートークによる普及・啓発を3回/日実施した。 来訪した聴覚障害者を中心に、チラシを配布した。(補助犬について、入手の流れ、補助犬と暮らす事について、費用について等) イ.参加した障害当事者に対する意識調査結果 ■調査対象者 デモンストレーションを見学した27名 ■属性 ・先天性が15名、後天性が4名、不明が8名であった。 ・年代は20代以下が最も多く10名、次いで40、50代がそれぞれ5名、60代3名、30代2名、70代1名、不明が1名であった。 ・耳カレッジへの来訪経験は「はじめて」が17名と最も多く、次いで「2回目」が5名、「3回目」が3名、「不明」が2名であった。 ■聴導犬についての認知状況 ・聴導犬について「知っている」が26名、「知らなかった」が1名であった。 ・既に知っていた情報としては、「聴導犬のサポート内容」が74%と最も多く、次いで「入手の流れ」が37%であった。 54ページ ■イベント参加による認識拡大の状況 ・今日のイベントで知った情報としては、「入手の流れ」が22%最も多く、イベント参加後も知らない情報としては「費用」59%、「管理や世話について」56%が多く挙げられた。 ・使用希望については、使用は難しいが12名、いずれ使用したいが10名、すぐにでも使用したいが3名であった。 ・配布したチラシの内容については、「良いと思った」が19名、「いずれ役に立ちそう」が8名であった。 ■聴導犬の使用条件について ・最も重要と考える使用条件としては、「住宅などの受入条件」が56%と最も多く、次いで「社会において受入理解が進むこと」が41%、「費用の確保」が30%であった。 ウ.まとめ 大学でのイベント開催であったため、若年層が多く、来訪経験もはじめての者が多かったが認知度は高かった。 しかし一方で、具体的な入手方法や手続き、必要な費用等については知らなかったという人もいて、使用に向けた具体的な内容は知られていない実態も明らかとなった。 チラシで入手までの流れや費用など補足情報を提供したが、アンケート時には読み込めていなかったために上記のように具体的な内容が知られていないとの結果となった。 ③ 北里大学病院普及・啓発イベント ア.イベントの概要 本事業の施行イベントとして、病院来訪者、入院患者、病院関係者を対象に、2回/日(ごぜの部、午後の部)で実施した。 オープンに来訪者が出入りできる形態とし、またイベント実施前にはロビーでの広報活動を行い、さらには随時館内アナウンスで来訪を促した。 補助犬ユーザーによる補助犬との暮らし、効果や課題などの説明の後、デモンストレーションによる補助犬のサポート内容を伝えた。 イ.イベント実施の内容 来訪者は事前にポスター等で情報を得ていた病院来訪者、入院患者などのほか、イベント開催時に興味を持って来訪いただいた者、また病院関係者が参加した。 ユーザーがどのような経緯で補助犬使用者となったのか、普段の生活、どんなサポートを受けて効果を感じているかを自身が語ったことで、障害当事者がどのように補助犬を使用しているのかがイメージできるデモとなった。 館内アナウンスを受けて、視覚障害者がイベントに参加し、イベント終了後、事業者と今後の体験プログラムへの参加などの相談や、簡単な歩行体験も行った。 55ページ ウ.まとめ 病院での開催は、補助犬使用の対象となる者を含め、受入側となる病院内の医療従事者を含む病院関係者、また一般市民などが参加することが可能であったため、補助犬使用への理解の啓発、障害当事者に対する補助犬使用の普及の両面の活動となった。 啓発活動としては、特に医療従事者を含む病院関係者に補助犬使用についての理解を得られる機会となったばかりでなく、病院での補助犬受入を一般市民にも理解していただく機会にもなった。 一方、普及活動としては、今回は視覚障害者が対象として参加したが、関係課との連携を図ってイベントを実施することで、さらに普及対象者が参画できることが期待される。 ④ 国立障害者リハビリテーションセンター普及イベント ア.イベントの概要 本事業の施行イベントとして、補助犬使用の対象となりうるリハビリテーションセンターへの入所者、通所者(視覚障害者、聴覚障害者、肢体不自由者)を対象に、補助犬使用についての説明会としてイベントを開催した。 入所者が参加しやすい午後(15時~)に2回の説明会を実施した。 事前にチラシ、ポスターで入所者及び通所者に対する広報を行い、また入所者に対しては、ホームルーム時にイベント開催についての案内をしていただいた。 また、障害者団体((社法)日本視覚障害者団体連合、(一財)全日本ろうあ連盟、(公社)全国脊髄損傷者連合会)から会員に対する案内メールを配信していただいたとともに、参加事業者等のSNSによる案内発信を実施した。 結果、入所者41名、通所者8名、外来者(参加事業者のSNS案内による来訪)5名、医療関係者延べ80名以上が参加した。障害別にみると、視覚障害者18名、36名、聴覚障害者1名であった。 56ページ イ.参加した障害当事者に対する意識調査結果 ■調査対象者 参加者のうち、視覚障害者12名、肢体不自由者16名、聴覚障害者1名に意識調査結果を行った。 ■盲導犬説明会(視覚障害者) 〇属性  ・回答者12名のうち、弱視が8名、全盲が4名であり、20代、50代が3名、30代、40代、60代が2名であった。 〇盲導犬の認知度 ・参加者12名のうち、盲導犬について知らなかったのは1名であった。 〇イベント参加による認識拡大の状況 ・今回のイベントで情報が手に入らなかった1名を除き、情報が手に入ったとされた。 ・既に知っていた情報としては、「盲導犬のサポート内容」「入手の手続きの流れ」「かかる費用」についてがそれぞれ4名、「管理・世話」についてが3名と参加者の半数が何らかの情報を知っている状況にあった。 ・このイベントで知った情報としては、最も多かったのが「盲導犬のサポート内容」9名であった。 ・まだ知らない情報として挙げられたのが「管理・世話」についてが3名に挙げられた。 〇使用希望 ・イベントに参加した後の使用希望の状況としては、「いずれ」が9名、「難しい」が3名と、リハビリ中という属性にあって、まだ「すぐにでも使用したい」という希望者はいなかった。 〇情報の入手方法として望ましい手段 ・最も多く挙げられたのが「ユーザーの会など関係団体への相談」92%、「イベント参加」75%であり、イベントでの説明もユーザーを中心に実施したことから、“ユーザーに直接聞くイベント参加”の効果が大きかったと考えられる。 〇盲導犬の使用条件 ・最も必要な条件としては、「住宅などの受入条件」が5名と最も多く挙げられた。 ■肢体不自由者 〇属性  ・回答者16名のうち、脊髄損傷者11名、片麻痺3名、無回答2名であり、40代が5名、20代、30代、50代が3名。60代が1名であった。 〇盲導犬の認知度 ・回答者16名のうち、介助犬について知らなかったのは4名と全体の25%であった。 〇イベント参加による認識拡大の状況 57ページ ・今回のイベントで15名が「情報が手に入った」とされた。(1名は無回答) ・既に何らかの介助犬の情報を知っていたのは7名と、回答者の約半数であり、サポート内容、手続き、費用、管理・世話についての情報を既に知っていた。 ・このイベントで情報を知った人は残りの10名であり、サポート内容、手続き、費用、管理・世話についての情報を得ていた。 ・まだ知らない情報として挙げられたのが「費用」についてが1名に挙げられた。 〇使用希望 ・イベントに参加した後の使用希望の状況としては、「いずれ」が10名、「難しい」が4名と、リハビリ中という属性にあって、まだ「すぐにでも使用したい」という希望者は1名にとどまった。希望者1名は通所者であった。 〇情報の入手方法として望ましい手段 ・最も多く挙げられたのが「インターネット検索」56%、次いで「イベント参加」31%であり、比較的若い層の回答者が多かったことからインターネット検索が上位に挙げられたと考えられる。 〇介助犬の使用条件 ・最も必要な条件としては、「家族の理解」「社会の受入が進むこと」がそれぞれ5名と最も多く挙げられた。 ■聴覚障害者 ・国立障害者リハビリテーションセンターには聴覚障害の入所者がいなかったために、聴覚障害の回答者は医療関係者の1名のみであった。 ・この1名は聴導犬について知っていたが、「入手までの流れ」「費用」「管理・世話」についてはこのイベントで情報を知った。 ・ただし、使用は難しい(必要条件として「住宅などの受入条件」を挙げた)とした。 ・望ましい情報入手の手段としては、「イベント参加」「インターネット検索」「専門家への相談」「ハンドブック」を挙げた。 ウ.参画した訓練事業者の「普及・啓発活動」に対する意識調査 ■調査対象者 本イベントに参画した盲導犬、聴導犬、介助犬の訓練事業者3者を調査対象とした。 ■受入事業者、障害当事者などが集まる病院、学校、福祉施設等との連携による普及・啓発活動の課題 〇盲導犬訓練事業者 ・受入事業者からの声(受け入れに当たり心配なことなど)をもっと吸い上げたい。障害者当事者とそうでない人、双方への啓発の場は必要。 ・このような施設に対して、体験歩行会開催依頼をしての開催を毎年、定期的に開催している。 58ページ ・最近の参加者の傾向で、「今すぐ、盲導犬を持ちたい」という人よりも「まず、情報収集のために」という動機で参加をする人が多い傾向がある。また、施設によっては、利用者の高齢化が進んでおり、単独歩行が困難な当事者が多い施設もある。 ・イベントを開催するにあたって、単独主催で当事者向けの盲導犬体験歩行イベントを開催しても、集客が難しい。施設や地域の当事者団体のイベントに便乗することで集客をしやすい傾向がある。 ・視覚支援学校は、生徒数の減少や、重複障がいの生徒が増えていることもあり、学校により、盲導犬体験歩行会開催に対する意識には温度差がある。文化祭等での開催だと、体験歩行というよりも犬との触れ合いで喜ばれる傾向があったり、その学校の生徒が参加できないこともある。授業の一コマとして開催できると、より深くじっくり盲導犬について知ってもらえる。近い将来に向けて盲導犬を知る意味では、高等部や専攻科向けの体験会が有効ではあるが、「進学」「就職」など環境変化が予測される状況では、「即、盲導犬を使いたい」とはなりにくい傾向がある。 〇聴導犬訓練事業者 ・聴導犬使用者となり得る若年層の聴覚障害者はろうあ連盟などの団体に加入してないケースが多く、連携をとることが難しい。 〇介助犬訓練事業者 ・普及・啓発活動をすることで、当事者、受け入れ事業者の相談窓口であり、解決窓口であることの認識が高まるのではないかと思われる。 ■自治体との連携による普及・啓発活動の課題 〇盲導犬訓練事業者 ・受け入れの義務についての周知がもっと自治体からされたら良い。そうすることで、施設側が情報を得ようと積極的に動くようになり、啓発活動が意味を持つのではないかと思う。 ・また、食品衛生責任者の講習などに補助犬について組み込むなど、補助犬の受け入れについて継続的に周知される工夫をしてほしい。 ・現状、自治体との連携による当事者向けの体験歩行会はほとんどない。自治体主催のイベントはどちらかというと一般市民向けのイベントが多い傾向で当事者の参加は少ない。そのため、弊協会でも一般市民向けイベントとしての対応を行うことが多い。 ・当事者に絞ったイベントの場合、告知が難しく、集客に繋がりにくい。地方であれば、障害福祉課の担当者レベルで個別に声がけをして、集約努力をされていた地域もあったが首都圏では、それが可能かどうか。 ・行政の担当者は数年で部署異動があるため、盲導犬に関する理解が進まない傾向が感じられる。担当者が変わっても障害者が困らない、不利益にならない仕組み作りを期待する。また、これまで関わってきて感じることは担当者によっての意気込みにも違いがある。 〇聴導犬訓練事業者 ・今までは自治体の関心が低く、関与は全くなかった。こちらから関係部署へ働きかけたが特に連携体制は取れていない。 59ページ 〇介助犬訓練事業者 ・自治体には、補助犬法啓発をする義務があるが知られていない。また障害者にとってメリットともなる、補助犬についても普及・啓発について、調査研究や普及・啓発に使える予算があることが知られておらず、補助犬育成補助は枠が少ないことから当事者からの要望が毎年確実に上がらず、予算消化をされない自治体が多く、さらに予算を削減する傾向になりそうで心配。 ・都道府県の障害福祉課では補助犬の窓口になっていることを認識していないところは無くなったが、市町村区になると全く認識がないところが多いのが実態で、当事者は市町村区の窓口に連絡して、全く取り合ってもらえず、相談先がわからない、との相談を数例受けている。 ・普及・啓発活動を定期化することで、相談窓口であることの認識が高められるのではないかと期待する。 ・自治体担当者が、補助犬使用者、補助犬訓練犬の姿を頻繁に目にすることができるような努力が必要であると思う。 ■効果的、有効と考える普及・啓発活動(手法、体制)のあり方 〇盲導犬訓練事業者 【一般市民向け】 ・「一般市民の方々の生活の中に補助犬がいる」という状態を見てもらうこと。 ・メディアの活用 【受入事業者向け】 ・自治体からの受入れ義務の周知(と事業者内での周知徹底の依頼) ・事業者向け説明会の開催 【障害当事者向け】 ・いかに早く正確な情報を伝えられるかどうか。当事者が、目が見えにくくなって、必ず行く場所は、まず眼科。そして、治らない場合、市町村の障害福祉課窓口となる。眼科や障害福祉課の窓口でどう伝えることが出来るのか。それぞれ忙しくすべてを説明することは困難で、またその段階でたとえ「盲導犬」の話をされても当事者には残らない。チラシを渡しても、他のチラシに埋もれてしまう。現在、各県眼科医会が「スマートサイト」を開始している。これは一つの手段である。とにかく、どこかの支援機関に繋がることで、相談することが出来る。当事者からの言葉で「もっと早く盲導犬協会と関わっていたら私の人生は変わったのに」「3年早かったら」という声を耳にすることがある。窓口で詳しく説明できなくても、この相談窓口(支援機関)にさえ、まず連絡をしてもらえるように連絡先だけでも当事者に伝えることが必要である。 ・もし、自治体と連携して体験歩行会を開催、告知をする場合、「市報」「チラシ」「HP」では、目の見えない、見えにくい人には伝わることが難しい。SNSでの発信や個別での声掛け、地域独自の連絡手段などが必要である。当事者本人ではなく、家族や支援をするガイドヘルパー、ホームヘルパー、地域包括支援センター相談員などからの情報提供も有効である。当事者に関わるであろう人たちとの連携作りが必要と考える。 〇聴導犬訓練事業者 【一般市民向け】 ・イベント等の啓発活動はあまり有効ではないように感じる。 ・ただ、メディア媒体で紹介された後に行うイベントでは興味を持って下さる方が多くメディアでの反響の大きさを感じる。 60ページ 【受入事業者向け】 ・受け入れ方が分からず同伴拒否になってしまっているケースが多いと思うので、「受け入れ方講習会」の形で啓発を行う。 【障害当事者向け】 ・聴導犬使用者に実生活での体験談を話してもらう方が説得力がある。体験をすることで、聴導犬との生活を実感してもらう。 〇介助犬訓練事業者 【一般市民向け】 ・関心がある方だけでなく、関心がない方を含めて、楽しめるイベントを企画し、訓練犬の楽しそうな様子や、補助犬使用者が補助犬を大切にする態度や表情を目の当たりにして頂くと共に支援者になって頂くべく、事業の流れを理解して頂くことで、社会全体の理解者を増やして行くことにつながると思う。 ・とにかく楽しく、デモンストレーションや使用者さんの話を聞く場を設定することが重要だと思う。 【受入事業者向け】 ・各事業者で、受け入れ体制、人員、店舗等の物理的広さ、お客様の特性、混雑時の状況等々が異なるため、一概に受け入れ体制を決められるものではないことを、様々な事業者にご理解頂き、自治体がコーディネーターとなって、実際の場面について、訓練事業者と連携をして、検証、研修を行って行くことで、互いの不安を払拭できると思う。 【障害当事者向け】 ・補助犬全体の数が増えない課題と思われるのは、ご家族や同僚、職場など、身近な理解者からの反対である。家族への遠慮、ようやく獲得した職場に主張することはとても勇気がいることだと捉えている当事者がとても多いと感じる。 ・犬を、より身近で安全、安心をもたらす存在と感じられる機会を作り続けることが重要、かつ、当事者が補助犬を迎えたいという思いを理解して援護射撃をしてくれる家族や医療従事者の存在が不可欠。 ・ただ、一律訓練をした犬を渡すだけの仕事が介助犬訓練なのではなく、介助犬を核に総合的なリハビリテーションとして自立支援・社会参加支援をする場だと知ってもらう必要がある。病院から家庭や社会に戻ったときに課題に当たったときにどこに相談するのかがわからず、就職や旅行や新たなるチャレンジを諦めてしまう方がとても多いこと自体を解決していくことが必要で、そのような相談窓口が適切に設置され、そのような窓口から、介助犬も選択肢、と提示されることが必要だと思う。 ■自治体との連携の展望 〇盲導犬訓練事業者 ・まず受け入れの義務について自治体から周知されることが、社会を動かすのではないかと思う。ある程度、仕組みとして自治体が事業者にセミナー受講の義務を課すことは今後必要かと考える。上記のように担当者が代わると自治体の対応が変わるということがないような仕組み作りが欲しい。 ・盲導犬に限らず、視覚障がいに関するサービスの情報提供が、いかに早く正確に当事者に届けられるかが課題。告知など、民間では限界があるが、行政ならではのイベント主催や告知ができるのではないだろうか。自治体だけでなく、眼科医の協力も不可欠と考える。 61ページ 〇聴導犬訓練事業者 ・自治体担当者も補助犬についての知識がない人が多く、自治体に対しても啓発をする必要があると思う。 〇盲導犬訓練事業者 ・最低限、各都道府県で、年に一度は啓発活動をするということが定着すると、補助犬に対する認知度、相談窓口であることに対する自覚が大幅に改善されるのではないかと期待する。 ・やってもやらなくても良い、では、なかなか初期団体としては普及活動は進まないのが実態。補助犬のみに特化したものではなく、障害者差別解消法と合わせて、47都道府県全てが年に一度は何かしらの活動をすることが義務として見ていただきたいと願う。 3) 受入側事業者に向けた啓発活動の実施 令和元年1月22日に実施された「ショッピングセンタービジネスフェア」において、受入側事業者に対する啓発活動として、補助犬使用者に対する対応についてチラシの配布などを実施した。 受入側に対する啓発チラシとして、受入側が最も不安に感じている衛生面、排泄面、犬の行動面について整理したものを作成し、配布した。 62ページ (3) 身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブックの作成 以上までの検討の整理から、地方自治体の障害者支援の担当部局等に向けた普及・啓発活動のあり方をまとめたガイドブックを作成した。 63ページから79ページ 別紙の「身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブック」の内容を掲載。 80ページ ★5.分析・考察 本調査研究の実施により、受入側の補助犬の使用に対する理解を進めていくためには、受入側に法令遵守を進めるために必要であることを啓発し、具体的な受入のあり方等の情報を自治体により展開していくことが重要であること、また障害当事者にとって補助犬の使用が自立の一助となり社会参加を進めるものとなることなどの情報を自立を考えるタイミングで知ることが重要であることが分析された。 この結果を受けて、受入側に向けた啓発のあり方、障害当事者に向けた普及のあり方を地方自治体に向けてガイドブックを作成した。このガイドブックは実施主体である社会システム㈱のホームページ及び、特定非営利活動法人日本補助犬情報センターのホームページに掲載するが、自治体の担当者に向けた周知を図っていくことが必要である。 周知に向けては、令和二年度に特定非営利活動法人日本補助犬情報センターが実施する「身体障害者補助犬育成促進事業等実施実態調査」において、補助犬の使用の窓口となっている都道府県、政令都市、中核都市には情報を展開していくことを予定しており、効果的な普及・啓発活動の実施が期待されるところであるが、一方で市町村に対する周知が課題として残される。 81ページ ★6.検討会、ワーキングの実施状況 1.検討会の設置、運営 (1) 検討会の設置 検討会は、以下の委員を構成メンバーとして設置した。 慶応義塾大学 経済学部 教授 中野 泰志 アクセスプロジェクト 主宰 川内 美彦 日本身体障害者補助犬学会 理事長 秋田 裕 三重県 子ども・福祉部 障がい福祉課 課長 森岡 賢治 宝塚市 健康福祉部 福祉推進室 室長 吉田 恭子 全日本盲導犬使用者の会 会長 深谷 佳寿 日本介助犬使用者の会 会長 木村 佳友 日本聴導犬パートナーの会 代表 安藤 美紀 一般社団法人 日本ショッピングセンター協会 常任参与 村上 哲也 一般社団法人 日本ホテル協会 事務局長 岩佐 英美子 特定非営利活動法人 日本補助犬情報センター 専務理事兼事務局長 橋爪 智子 【オブザーバー】 厚生労働省 社会援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 福祉用具専門官 秋山 仁 厚生労働省 社会援護局 障害保健福祉部 企画課 自立支援振興室 社会参加活動支援係・障害者支援機器係 係長" 鈴木 達也 事務局 社会システム株式会社 企画調査グループ 高光美智代、向井伸一、牧村雄 82ページ (2) 検討会の運営 検討会は、以下の4回を開催し、意見を収集した。 第1回 令和元年8月26日(月)12:30~14:30 ①本調査研究の概要と進め方について ②身体障害者補助犬の啓発活動の実態把握調査の実施方針について ③普及・啓発活動の試行実施の方向性について 第2回 令和元年10月30日(水)12:30~14:30 ①実態調査の経過報告について ②普及・啓発活動の試行実施計画について 第3回 令和2年1月27日(月)14:30~16:30 ①試行イベントの実施報告について ②理解促進、利用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討について 第4回 令和2年3月6日(金)に実施予定であったが、コロナウイルスの問題からメール審議へと転換した ①ガイドブックの内容について ②報告書の構成について (3) 検討会議事録 ■第1回検討会議事録 時 間:令和元年8月26日(月) 12:30~14:30 場 所:TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム3E 【出席者】 慶応義塾大学・中野教授(座長)、日本身体障害者補助犬学会・秋田理事長、三重県・森岡課長(代理:泰羅)、宝塚市・吉田室長、日本介助犬使用者の会・木村会長、日本聴導犬パートナーの会・安藤代表、(一社)日本ショッピングセンター協会・村上常任参与、(特非)日本補助犬情報センター・橋爪専務理事 【オブザーバー】 厚労省・秋山専門官、鈴木係長 【事務局】 社会システム㈱・高光、向井、牧村 資料-3についての議論 木村: ・補助犬使用者アンケートを、ユーザー団体を通じてとあるが、指定法人などの団体も入れた方が多くの人に届くのではないか? 83ページ ・補助犬使用者のアンケート調査の中に、可能であれば、元使用者を入れるべきではないか。補助犬の使用をやめてしまった人が感じている課題を掘り起こすべき。 事務局: ・元使用者の方へのアプローチについては、アドバイスいただき、可能な範囲で調査を実施したい。 厚労省:  ・指定法人については、その法人の考え方でバイアスが入ってしまうため、除いてほしいとお願いした。指定法人の中には訓練事業者も兼ねているところもある。その法人が取りまとめるということは、どうしても法人の考え方に引っ張られてしまう恐れがあるのでそこは可能な限り排除したいというふうに考えている。 木村:  ・介助犬、聴導犬ユーザーのシェアは少ない。指定法人から厚労省にあがっている使用者のリストを使えないか? 厚労省: ・指定法人から使用者を上げていただいているが、何かに活用するというところまでは了承いただいていないのでそれを活用することはできない。 ・介助犬、聴導犬使用者の全体数が多いわけではない(盲導犬も同様)ので、実態把握にあたっては、数が増えたからといってその傾向が変わるものではないと考える。定性的な調査に近いと捉えている。 座長:  ・数で見るのではなく、その内容、質で見ていくということでよろしいか。 安藤: ・聴覚障害者はアンケートに答えにくい。答えやすい設計、ふりがなが必要。 ・受入側調査については、タクシー、飲食店などは拒否が多いのでそのことがわかるような実態を把握していただきたい。 秋田: ・全国の更生相談所にはアンケートは行わないのか? 厚労省:  ・特段調査をする予定は考えていない。 秋田: ・更生相談は補装具等について相談にいくところであるため、補助犬使用についての窓口となるのではないかと考えるが。 厚労省:  ・身体障害者の相談窓口ではあるが、厚生労働が把握している限りでは、補助犬の相談に乗っている例は見られていない。実態把握の調査対象としては挙げていない。ただし、これからのことを考える上での選択肢の一つとしてはあり得るので、ご意見として承る。 秋田:  ・非使用者の対象先として、リハビリテーションセンターを挙げているが、実際に理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が補助犬について意外と関心がない、知らないという実態がある。専門職に対するアンケートを実施していただきたい。協会に依頼をしていただきたい。 厚労省: 84ページ ・こちらの検討会で実施するか、厚労科研の方で実施するかは整理させていただきたい。 吉田(宝塚市): ・自治体アンケートの対象は、都道府県、政令市、中核市となっており、宝塚市は入っていない。これは、都道府県で各市町の意見をまとめて回答するようなイメージであるのか? 橋爪:  ・対象の身体障害者補助犬の担当部署に直接お送りし、回答をいただいており、都道府県が各市町の意見をとりまとめているというものではない。 厚労省:  ・この調査の出口として考えているのは、地域生活支援事業の身体障害者補助犬育成と促進事業をどう自治体が回しているか・・・というもの。ただし、都道府県が市町村に聞いて聞いた上で答える場合もあるだろうし、都道府県の判断にお任せしている。あくまで調査主体は都道府県、政令市、中核市である。  ・したがって、宝塚市は入っていないが、兵庫県の回答に反映させていただく、またこの検討会の場でご意見を頂戴できればと思う。 橋爪:  ・補助犬業界のことを知っている方々はよくわかっていることではあるが、今までの議論の内容でわからなかったのではないかなと思ったことがあったのでご説明する。 ・この検討会の場には訓練をしている団体ないようであるが、一つにまとまっている団体がないということで、ご参加されていない状況にあるが、別途ご意見をうかがいながらガイドラインを作っていくべきかと考える。 ・今回、ガイドラインを作る上で、補助犬ユーザー、1千名余という小さな規模でどうしてここまでこれだけの人が集まって検討会を開催しているのか・・・であるが、ここまで20年間、補助犬の普及・啓発、補助犬とともに暮らす障害のある方の普及・啓発を行ってきた理由のひとつに「障害理解という大きな目標に向かっていくときに、補助犬を切り口として、障害理解を伝えていく」ことのインパクトの大きさは非常にあると思っている。 ・そしてこれは、2020でパラリンピックが注目されることで、障害がある方のことを知ろうという人が増えていることと同様に、補助犬とともに暮らしている人のことを伝えることで、障害がある人のことを広く知る、社会生活を後押しするということには大きく寄与する分野である。今回のガイドラインが普及すれば、広く障害理解が深まるのではないかと考える。 中野座長: ・補助犬の理解ではなく、補助犬を通して障害の理解をどういうふうに広めていくかということが今回の調査の位置付けであることの確認であった。  ・「理解促進利用者拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討」という中に、受け入れ側に対する普及・啓発の話というのが明確には位置づけられていないが、「広く市民に向けた」や「ガイドライン」の中に受入れが側への普及・啓発のポイントが含まれると理解してよいか。 厚労省:  ・受入側のガイドラインについては、先ほどご紹介した厚生労働科学研究で最終的に取りまとめることとしている。現在厚生労働省で医療機関向けのガイドラインは作成してあるが、その他の各分野についてはないので、飲食店、ショッピングセンターなどガイドラインを取りまとめることを今研 85ページ 究として進めているので、今回の調査結果も踏まえて、ガイドラインに反映させていくというようなイメージを持っている。 中野座長:  ・今回の調査研究では、受入側の実態は調べるけれどもそのアウトプットの中には直接含むわけではなく、連動している研究の方に情報提供して、そちらに盛り込んでもらうと、より具体的で詳細なガイドラインがそちらでできるというふうに考えてよろしいか。 厚労省:  ・もちろん今回の調査事業自体で直接的なアウトプットとしては自治体がそういった民間のニーズというか、そういうことも踏まえて、地域で普及・啓発活動するときにどういうポイントがあるのかということがアウトプットにはなろうかと思う。直接的にその事業者向けのガイドラインというのは厚生労働科学研究の方にやっている分担があるというふうにご理解いただければと思う。 中野座長:  ・そうするとこちらからはその連動している研究に対して、例えばガイドライン作成していただく際にこういう店にはぜひ留意して欲しいというようなことを、調査を通してご提言していくというような形になろうかと思う。 安藤:  ・この調査はオリパラのためなのか、補助犬の使用を拡大していくためなのか、目的を示してほしい。アンケートを実施する上でも目的を明確していただきたい。 事務局:  ・オリンピック・パラリンピックはあくまで通過点になりますので、オリンピック・パラリンピックを目的にしているわけではない。少ない頭数である補助犬をふやしていくためにも、使用者拡大というのは大きいことだと思うのでそういう意味で、地域市民には受入れを通してほしいというところ、使用者に向けてどういう啓発をしていくべきかというところをガイドラインとして整理したいと考えている。 中野座長:  ・今いろいろご質問をいただいた結果、この調査の役割が非常に明確になったと思う。それから連動していくつかの調査や研究が動いているとそことどういう具体的な連携関係を持つかということもずいぶんと明らかになったのではないかと思う。 資料-4についての議論 木村:  ・補助犬育成促進事業の補助金の課題について自治体アンケートに入っているが、使用者の使い勝手についてまで聞くこととなっているのか?実際この補助金は、単年度予算で4月の末に希望募集が始まり、申請、7月に審査会、審査が決まるのは8~9月くらい。それから育成団体を決めて、年度末までに認定証を出す。盲導犬、聴導犬は仕事が比較的決まっているが、介助犬は障害によって異なることからそこから犬を訓練することになり、期間が長くなるため、認定機関が長く、合同訓練が2月の寒い時期となる。何とか気候の良いときに合同訓練ができるようにしてほしいというニーズがある。そうした声がとれるような項目も入れていただきたい。 厚労省: 86ページ ・前からこの課題は把握している。この調査事業とは異なるため調査項目に入れることは難しい。育成のプロセスの問題であるため、厚労科研の方でできないか調整する。 橋爪:  ・今、ご指摘があった点はよく聞く内容ですので、どのように対応するのが良いかは今後考えていくことが必要であると思う。今、ご指摘の内容は兵庫県の流れだと思うが、都道府県によって流れは違う。申し込みはあった都度受け付けているところもある。ですので、使い勝手が悪いと感じている方がどこにいるかは今後精査しなければならないと考えている。 安藤:  ・助成金は都道府県によって額などが違うのか? ・アンケートに「補助犬」とだけ書いてはわからない。盲導犬、聴導犬、介助犬を()で入れるべき。また、フリガナをつけてほしい。 ・テナントが多く入っている複合施設では、テナント側が補助犬について理解していない場合がある。アンケートは施設管理者側に行うのか、テナント側に行うのか? 厚労省:  ・一つ目の質問について。身体障害者補助犬事業は地域生活支援事業として都道府県が実施する事業。この地域生活支援事業は、具体的な項目については各支出の実施主体である自治体が決めるということになっている。100ぐらいのメニューがある中で自分の自治体はどういう事業をこういうふうな形でやりますということを具体的に決めていただいてトータルで幾ら幾らかかりますので補助金をくださいと申請をいただくという仕組みになっている。  ・その額については当然ながら各自治体の工夫の違いがあり、その違いイコール額の違いということにも出てくる。また、どう進めるかということについても、基本的には各実施主体である自治体が決めるという立て付けになっている。  ・補助犬育成促進事業の補助対象は3つあり、一つ目は補助犬の育成、二つ目は育成計画の作成、三つ目が、普及・啓発という3本柱。その中の今回は普及・啓発というところに着目をして、どういうことができるかということをガイドラインとしてお示しできればと考えている。 ・先ほどの木村さんの質問とも重複するが、育成そのもののお金の使い方とか、そういったところまでちょっと話が行くと今回の検討の範囲とは違ってくるので、ご理解いただければと思う。 事務局:  ・二つ目の質問について。被使用者アンケートの方に身体障害者補助犬のそれぞれ三つあることは追記する。また、それから、ふりがなをふるというところも全体を通して整理したい。 ・三つ目の質問について。ご指摘のようにテナントがある場合にどうなるかっていうところについては気にしているところ。ただ今回アンケート配布したときにそのテナントまでアンケートから行くっていうのは難しいと考えている。そのテナントもチェーン店であったりチェーン店でなかったりということがあるため、今まず対象施設にテナントが入っているかどうかを聞き、補助犬使用者受け入れのために従業員に対する教育をどのように行っているか、その教育の対象者が自社の従業員だけなのか、その自社の従業員でも派遣アルバイトを含むのか、またテナントの従業員やアルバイトを含むのか、そういった内容を聞くことで、テナントまで教育が行き渡っているのかどうかというものを把握すると考えている。 安藤: ・テナントに補助犬についての説明を受けているかを聞いていただきたい。 87ページ 村上:  ・受入事業者調査に「貴社の施設形態として・・・」という設問があるが、百貨店、スーパー、ホテルなどは当てはまらないのでは。  ・ショッピングセンターでは、共用部分(通路)と店内では違った対応となっているという指摘だったかと思うが、施設管理者として、補助犬の理解については各店舗への声かけはしているが、基本的には営業方法の内容への立ち入った指導はしていない実態。しかし、一方で路面の店舗などもできていないという実態もある。そう考えると、大規模施設だけでなく、中小の店舗も取り込んで普及・啓発をしていくことが必要ではないか。  ・中小を対象とすると、商工会議所等と連携して進めていくことも必要ではないか。 事務局:  ・確かに今の対象としては大手のところしか考えていないという実態もあるため、これをどこまでその中小等に広げていけるかというような課題もあるかと思う。可能な限り進め方についてご相談をさせていただきながら、考えていきたい。 村上:  ・A-1の表現については別途打合せをさせていただいて整理させてほしい。 厚労省:  ・現状の課題として、個人事業主の方が説明をして解決している例があり、一方、ショッピングセンター等の外園管理者施設管理者はご理解があるけれどもテナントの方で行く同伴を拒まれる例というのが少なくないという人も増えている。そうした傾向があるのでその課題については考えなければならないというのが課題認識の一つであり、その点はご理解いただければと思う。むしろ、個人個人の方がざっくばらんにお話をして解決できている。具体的に言うと、私どもの補助犬のイベントをショッピングセンター実施した際、その会場の隣にあるテナントさんで拒否が起こってしまうということが少なくないというか毎年起こるため、何とかしたいなというのが正直なところで、ご理解いただければと思う。 安藤:  ・パートさんやアルバイトさんがいる店舗で対応が分からないと言われ、店長がいないと対応できないなどと言われる。そうしたことをアンケートで聞けないか。 厚労省:  ・今回、受入側の本質的な分析は厚労科研で整理をする。この調査事業で深くしなくてもよいかとは考えるが、今後調整をする。 木村:  ・受入事業者アンケートのBに「補助犬同伴可ステッカー」と書いてあるが、ステッカーには補助犬としか書いていないステッカーがほとんど。誤解を招かないよう、「補助犬ステッカー」としてほしい。 秋田:  ・個人事業者へのアンケートをぜひとってほしい。駅前商店街など可能な範囲で調査を実施してほしい。  ・潜在的に使用者となりえる障害当事者をどう判断するのか。 事務局: 88ページ ・「使用していない人」を入口にして、興味のある・なし、使用したい・したくないをうかがい、最終的に潜在的使用者を拾いたいと考えている。したがって、団体を通じて「使用してない人全て」をまずは対象にと考えている。 秋田:  ・この人には使ってほしいなど職員の側から見た考えもあると思う。そういうことも含んで、調査方法を検討してほしい。  ・また、対象として松山リハセンター等が入っているがどうしてここを選んだのか。 事務局  ・挙げている障害団体以外にもお願いし、職員の方々に相談しながら進めたい。 ・松山リハセンター等については、この後説明する試行を行う場所であるため、効率的にアンケートやヒアリングをやっていく上でという形で選ばせていただいた。 秋田: ・リクエストとしては、ここに書いてある潜在的な使用希望を持っているだろうっていう方にうまくアンケートを渡させるようにちょっとご努力いただきたいと思う。 厚労省:  ・一点目のところで誤解のないようにと申し上げるが、個人事業主など小さなお店での同伴の課題がないというわけではない。大型の施設ではどこが主体になるべきかが混乱をきたしているという課題認識があるとご理解いただければと思う。  ・また、事業者向けに何かをしてほしいということを取りまとめるのが今回の目的ではなく、あくまでも普及・啓発がどうあるべきかという着眼点があるため、同伴を拒まないようにするにはどうしたらよいかっていうところに流れがいってしまうとずれが生じる恐れがあると思うので、その点もご理解いただければと思う。 村上:  ・今回は普及・啓発が中心であり、実際どう利用するかについては、厚労科研の研究でやっているということであったが、切り離して考えられるものなのか?そちらの研究でどういう議論がされているのかを聞かせていただかないと、普及・啓発をやろうにも、そこだけを切り離しであることっていうのは現実的ではないと感じる。  ・厚労科研とアンケートが被ってしまうとアンケート対応も大変になる。どう連携するのか? 厚労省:  ・厚生労働科学研究では研究テーマの一つとして、交通事業者や飲食店ホテル医療機関等の各分野での受入にあたっての留意点をガイドラインとしてまとめることとなっている。調査を実施予定であるが、どこに行う、誰を対象にするなどの調査項目については今まだ研究班の方で検討しているところで具体的なことを示しできないが、今回の推進事業と調査項目がかぶっての複数で行ってしまうことは避けたいと思っている。そこは双方の研究班、事業実施者で情報共有し、同じ調査票を使う、調査対象についてはある程度交通整理をしながら行っていこうと思う。重複する等によってご迷惑をおかけすることがないようにしていきたい。 木村:  ・事業者アンケートのB2-2の①と②がダブっている。①は、補助犬法に対する理解(補助犬の同伴を拒んではならない等)としてはどうか。 89ページ ・相談員のアンケートの項目として、補助犬をあきらめた理由というものも入れてほしい。犬の世話ができない、同伴拒否などで行きたい場所に行けなくなるなどの理由が考えられる。 安藤:  ・ガイドラインを誰に渡すのか、どういう形で渡すのか。 事務局: ・一般市民の方に向けてというものと使用希望者の方に向けてというところがありますので何冊も作るというよりも、その対象者に向けて情報発信をしていくという形になると思います。 厚労省: ・成果物の活用方法というのは、都道府県が補助金の事業を実施するためのガイドラインとして活用するということ。アウトプットとしては、都道府県に向けたガイドラインというのがまず一義的なところだと思う。 ・ただ、その成果物は厚生労働省のホームページや社会システムのホームページなどで公表するので、ご覧になった一般の国民の方々に対するメッセージっていう副次的な効果もあると考えている。 中野座長:  ・アンケートの詳細や表現方法についてはこの後もご意見をいただくような期間はあるのか。もしくはここで文言も含めて決定してしまわなければならないのか。 事務局: ・9月、10月でアンケートを実施していきたい。今日のご意見を踏まえて修正をした上で、皆様にメールでお送りしてチェックをいただきたいなというふうに思っている。多少9月半ばぐらいまでやりとりをさせていただきたい。 ・そこで決まらなくても試行とはある程度ちょっと一緒に走りながらアンケートが残ったとしても、ガイドラインへの反映という形にはなってくるかと思う。皆様の合意をいただいた上で調査をしていきたいと考えているのでなるべく早い時間にとは思っているが、少し遅れた場合でも年明けぐらいにガイドラインを作成していく形になるので、そこまでに間に合うような形で整理をしたいというふうに考えている。 中野座長: ・それでは、細かい文言までここで決定する必要はないということであるので、期限を決めていただき、アンケートについては、いつまでにご意見をくださいというのを追加で皆様からいただいた上で最終版をメールで確認をした上でアンケート等は実施していくということでご了解いただければと思う。 ・もう一点、受入事業者向け調査の中に、最初の趣旨の説明では、これは補助犬の理解をではなく、補助犬は利用している障害のある人の理解という主旨が重要であると説明があったが、今回のアンケートの中にはその旨が入っていない。 ・それから、今回この補助犬法をはじめとして法的な網整備がなされているのでこの受入事業者が拒否をするというのは実は法令違反、コンプライアンスを法律順守の観点からすると企業としてはこれは法令違反をしていて罰則はないけれども、法令違反をしている状態になっていますよということを理解されているかどうかっていうのはとても多分重要なところ。その部分というのもちょっと検討をしていただき、どこかに入れていただく必要性があると思う。 資料-5についての議論 安藤: 90ページ ・耳カレッジでは、聴導犬パートナーの会も出展する。一緒にやった方が効果があるのではないか。 木村: ・内容は障害当事者向けのものであると思うが、阪急でやっているようなイベント?相談したりするイベント? 事務局: ・使用希望する人のためですのでよく橋爪さんがやってらっしゃるような補助犬についての理解をいただくということとプラス使用者の方等に相談に乗っていただくような形を両方を想定している。具体的な進め方までは決まっていないが、だいたいそういう枠で考えているところ。 厚労省:  ・この検討会の皆様にご助言をいただきながら、またアンケートで中間的に出てきたようなことを踏まえて、当事者のいわゆる掘り起こしのための普及・啓発というポイントについてもぜひ教えていただき、そういったことを盛り込んでそのイベントなどを企画していただけると思う。 中野座長:  ・これまでの調査研究では、調査がまとまってガイドライン作られておしまいということが多かったが、今回はその調査の結果に基づいて実際に普及・啓発活動を行ってそのアンケートの結果っていうのが果たして有効かどうかとかそういうところを実際に実施しながら確認をしていくこととなる。なおかつ、通常のイベントと違うところは規模も大きく、情報発信と繋がっているというところがこれまであったものとはちょっと違っていてその場に参加してくださった方だけではなくSNSを通じてこういう活動が行われていることを普及していくという役割も果たすということかと思う。  ・内容についてはここでまだフィックスされていなくて、今後の調査結果や、この後の会議でさらに意見を出していただいて試行を進めていくということ。 事務局:  ・ですので10月の第2回検討会では、今回のアンケート調査結果ある程度お示しできると思うので、試行についてもアンケート等を入れた中で具体的な内容を提示させていただき、さらにご意見をいただいた上で試行に結びつけていきたいと考えている。また、第2回検討会の前でも事務局にアイデアをお寄せいただけると助かる。 秋田:  ・市民向けイベント3か所でもアンケートを実施するとあるが、どんな内容とするのか? 事務局: ・この3ヶ所の啓発イベントについては厚生労働省で実施する一般市民に向けたというもの。地域市民がどういうふうに補助犬を理解しているかというところ主に聞いていきたい。啓発活動のときに何をお伝えすべきなのかというところがあぶり出されればというふうに思っている。 秋田: ・この検討会で実施するアンケートなのか? 事務局:  ・一般地域市民っていう切り口がこの実態調査の中にないものですから、そこをこの中に入れ込んでいきたいなというふうに考えています。 秋田: ・項目についてはどのように共有されるのか。 91ページ 厚労省:  ・岡山、阪急、スカイツリー3ヶ所で実施するのは実は厚生労働省主催のイベントのこと。一番最初が10月の末、11月の中旬と12月の上旬、この3回を予定しているため、おそらく次の検討会までにはそこの項目もあわせてお示しできるのではないかと思う。 橋爪: ・ガイドラインのあり方を確認いただいたのは大切。最終的には自治体が使いやすいものとなるのはもちろんであるが、結果的に今後、日本全国で実施される普及・啓発活動に生きてくるものとなるべきと考える。 ・今までそのような統一されたガイドラインはなかった。今日ご参加いただいているユーザー団体は啓発活動の実績が最もある団体であるが、共有いただき、内容を当事者の方も理解した上で普及・啓発活動をしていただければ全国での統一感も出てくる。また、他のユーザーや訓練事業者にも参考になるものとなる。 安藤:  ・ユーザーの中にも、聴導犬のことをペット感覚である人もまだいる。聴導犬とペットは違うということも理解していただけなければならない。  ・理解を得られるようなツールなどを作ってほしい。 厚労省:  ・今回のテーマと少しずれることとなるが、使用希望者への説明にもなる。今後調整したい。 木村:  ・ユーザーアンケートをこの3団体としているが、その他の団体には送らないのか? 厚労省:  ・バイアスがかからないとすると、3団体と考える。窓口があるほかのユーザー団体はない。  ・ 中野座長: ・この事業だけではなくこの補助犬に関しては厚生労働課研の研究等を同時に、いくつかの取り組みがございますので、そこと連携しながら進めていくということ。それぞれ今まだスタートしたばかりであり、情報を互いにやりとりさせていきながら、今後も進めていくということでお願いしたい。 ・アンケートに関しては、今日皆さんからご意見にプラスしてご意見がある場合には、事務局にメールでご回答いただければと思う。 ・自治体からのご意見を十分にいただくことができませんでしたので、自治体の方にもお持ち帰りいただき、この内容で答えやすいかどうか等の観点からですねご検討いただいて、ご意見をいただければと思う。 事務局: ・今回アンケートの内容についての追加意見については、後ほどこちらからメールをさせていただきますが、9月第1週中くらいまでにいなさんに追加の質問がご意見ご質問等があれば寄せていただいて、その後整理してまた皆さんにフィードバックをしていきたいというふうに考える。 ・第二回目の検討会は、10月30日、12時半からという形で進めさせていただきたい。会場等については後ほどメールで皆様には展開をさせていただきたい。 ・アンケート等を行うにあたっては、個別にいろいろまたご相談をしながら進めていきたい。 92ページ ■第2回検討会議事録 時 間:令和元年10月30日(水) 12:30~14:30 場 所:TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム2C 【出席者】 慶応義塾大学・中野教授(座長)、日本身体障害者補助犬学会・秋田理事長、三重県・森岡課長、宝塚市・吉田室長、全日本盲導犬使用者の会・深谷会長、日本介助犬使用者の会・木村会長、日本聴導犬パートナーの会・安藤代表、(一社)日本ショッピングセンター協会・村上常任参与、(一社)日本ホテル協会・岩佐事務局長、(特非)日本補助犬情報センター・橋爪専務理事 【オブザーバー】 厚労省:秋山専門官、鈴木係長 厚労科研:山本、高柳 【事務局】 社会システム㈱・高光、向井、牧村 資料-3についての議論 木村委員 相談員アンケートについてだが、収集した数があまりに少ないのではないか。 事務局 相談支援専門員の協会に所属しているのが1900名ではあるが、多忙のことでなかなか協力を得られない状況。 厚労省 収集数が少ないことについて、どのような解決策を講じていくのかを考えてほしい。 相談支援専門員の事業所をまとめているシステムがないため、メーリングリストを活用する方法もある。 厚労省からの依頼文を出して協力を得たい。 事務局 相談支援専門員⇒厚労省の協力を得て回答を収集する 使用者⇒プラスして届いている回答を入れる 非使用者⇒車椅子使用者が少ない。脊損連にお願いしているが集まらない状況。他の団体に協力を得るか。 木村委員 見ていただければ回答していただけるのではないか。 秋田委員 非使用者、脊損連以外、リウマチなど他の団体にもお声がけいただきたい。 三重県森岡委員 相談支援専門員の制度は発足して年数が浅い。ケアマネは年数が経っており、組織は確固たるものとなっているが、相談支援専門員の組織は未だ脆弱。 93ページ 宝塚市吉田委員 相談支援専門員の補助犬に対する認知として「知らなかった」が12%とあるが、存在そのものを知らなかったということか? 事務局 補助犬の存在を知っていたか?と設問を立てている。 宝塚市吉田委員 相談支援専門員の対象は、障害に関する実務を5年されていると聞いているが、この結果に驚いている。 事務局 補足させていただくと、相談支援専門員となるためには、実務が3~10年必要。その上で、初任者講習を受講することとなっている。ケアマネであれば試験があるが、この資格に関してはない。5年ごとの更新の際に講習の受講が必要。その中で補助犬について知らないのはなぜか?と疑問に感じたので、講習のテキストを見てみたが、障害福祉サービスのひとつとして紹介はされておらず、「補助犬の育成等の事業が都道府県の行う地域支援事業の中に位置づけられている」といった記述がある程度。ほとんど補助犬という言葉がでてきていない。 厚労省 初任者講習は、まず、国が指導者養成の研修を実施し、その上で都道府県が研修会を実施している。見ていただいたテキストは、国が作ったものに都道府県が多少アレンジをしているものだと思う。確かに、障害福祉サービスの計画を作ることが大きな目標の専門職であるため、特に給付型の障害福祉サービスがメインとなっていることは否めない。 三重県森岡委員 認知度は9割であるが、経験を持つ人はいなかったという回答は興味深い。回答数が増えたとしても、傾向は変わらないのではという感想を持っている。なかなか相談支援専門員が深い知識を持つのは難しい状況。相談支援専門員が相談をする基幹相談支援センターがあるが、そこにそういった知識を持つ人材を配置する、補助犬のコーディネーターやアドバイザーを配置するという方が機能しやすいのではないか。 座長 今後、補助犬の普及を考えていく上では重要なご意見。 秋田委員 個人商店に対するアンケートをしてはどうかという意見があったと思うが、商店街などをいくつかピックアップしてアンケートをしてはどうか。 深谷委員 飲食店における入店拒否ということであると思う。個人店での拒否はかなり多い。店の形態はさまざまである。出かければ出かけるほど拒否にあうという傾向。また、地域格差もある。田舎では理解されない場合が多い。 秋田委員 アンケート先も地方を考えるべきか。 厚労省 限られた期間、予算の中で難しい面もある。どこを対象とするのか選定の際にバイアスがかかることが懸念される。 岩佐委員 94ページ ホテル協会の会員は、大規模な企業が多く、法令遵守ということで補助犬の受入はだいぶ前から実施している。小規模なところは、人手不足などの面で教育が十分に行き届いていない可能性があり、知らないで拒否をしてしまっていることがあるのではないか。 アンケートの対象は会員であるために大規模な施設となるが、改善点のヒントとなるものが出ればいいと考えている。 村上委員 ショッピングセンターの場合は、施設全体を管理するデベロッパーと各テナントで構成されている。デベロッパーは補助犬についての理解をしているが、テナント、特に飲食系はなかなか理解が足らず、入店拒否が起きているようである。ショッピングセンターのエレベーターの中で補助犬と同乗した際にお客様が困惑されたという例も見られた。トラブルが発生する箇所は限られていると考えられる。事業者側としてどのようなことができるのか?と言う視点でヒアリングをしたが、「障害当事者がどのようなことを求めているのか?」をはっきりつかむことができれば、対応がしやすいということであった。 また、啓発活動のマニュアルのようなものはあるのか?実施者と事業者がどのような連携で行っていくべきであるのかを示したような。啓発イベントは少しアピールが不足しているように感じる。犬が好きな人だけでなく、一般の方々に向けて積極的なアピールのできるマニュアルが必要なのではないか。 厚労省 今回の成果は、都道府県が普及・啓発の際にどのような関係機関、関係する訓練事業者等とどのように連携体制をつくるかをポイントにまとめるようにするものとしていることから、参考になるのではないか。関連する会議体である厚労科研会議の方でも宿泊事業者、飲食店事業者、交通事業者など、業態毎の受入のマニュアルを作成していただく予定。(来年度まで) 事務局 飲食店の個人店であるが、飲食店に対するアンケートは厚労科研会議と協働して実施しており、こちらの事務局では大規模な店舗を、厚労科研会議で個店を分担して実施していく予定。 厚労科研会議山本氏 地方としては、山梨県の上野原の市内30店舗の全数調査をしているところ。また都心では恵比寿での調査を予定している。ただし、恵比寿では全数調査という訳にはいかないため、ある程度絞って調査を実施する。また、宿泊施設調査も地方で実施するため併せて飲食店調査もできればとは考えている。 木村委員 岩佐委員からホテル協会での同伴拒否はないというお話しをいただいたが、実際補助犬使用者のアンケートを実施した場合、飲食店に次いで、医療機関、宿泊施設、タクシーである。ビジネスホテルなどでは同伴拒否をされるケースも多い。思ったほど小さいホテルでは同伴拒否は減っていないという感覚である。 安藤委員 実際の体験から言うと、まだまだの状況である。宿泊施設、タクシー、飲食店の予約の際には、電話リレーサービスを使っているが、その際に電話の段階で同伴を断られる。電話調査で不特定多数に聞いた方が、実態がわかるのではないか?本当にすべて断られるという実態。アンケートを行うことで知っていただくことはあるかとは思うが。突然訪問したほうが考えてくれると思う。 座長 この時点でアンケート手法を変えることは難しいかもしれないが、どの立場から見るかによって見え方は変わってくるということ。管理的な立場にある方から見ると受け入れ体制を整えているかもしれない 95ページ が、現場ではそうでないことが起こっている可能性がある。コミュニケーション上で生じてくる問題もあるのではないか。今回、3つの立場で調査をしているのは立場の違いでの見え方、対応の実態を明らかにするということでご理解いただければと思う。 岩佐委員 木村委員からのご指摘であるが、日本には大変多くの宿泊施設があり、「ホテル」と言われるのは約1万件。そのうちホテル協会の会員は250余り。入会基準などもあり、一部しか会員にはなれない。私が責任をもって答えられるのは、会員の企業のみ。中小のホテルは多くあるが、従業員が少ないなどの問題もあるなど、会員のホテルとは随分と違う。まだ協会会員のアンケート結果は出ていないが、もし同伴拒否をしているという結果がでれば、ホテル協会が責任をもって指導・教育をしていきたいと思っている。 深谷委員 今回の調査に協力していただいている方はある意味前向きな方であるため、バイアスがかかってしまっていることも考えられ、使用者の実態と乖離しているのではないか。この委員3人が感じているということは、ユーザー全体でも同様ではないか。補助犬ではなく、「補助犬使用者」の目線での整理が必要である。使用者の立場に立たなければ、啓発の推進はしていけないのではないか。この結果を受け、使用者にとって、使用をしたいという人にとって求められることは何なのかという視点を大事にしてほしい。 厚労省 課題を設定した意図としては、必ずしも同伴拒否の実態を明らかにすることではない。あくまでも全体像を明らかにするひとつの要素である。最終的には受入を促進するためにどのような取組みの選択肢があるのかをまとめることが目標。 事務局 啓発活動につながっていく内容を、使用者のために、使用希望者のためにという視点で整理したい。 厚労科研会議高柳氏 ユーザーとしては、一回でもひどい同伴拒否にあうと傷つく。アンケートとの乖離があることには問題はあるが、同伴拒否が多い実態が明らかになると、同伴拒否が多いならば、うちもやってもいい・・・という心理も働く。より好事例を増やして、むしろ同伴拒否をしているようなところはつぶれる!というようなことになっていくような整理をしていくとよいのでは。ちなみに、ショッピングセンターやホテル、自治体で啓発の機会をいただいているが、全店舗に事前に「このようなイベントがある」と何度も周知していただくことが有効と考えている。 中野座長 これまでのご意見では、 ・「受入を促進するためにどういう啓発手法が有効であるかを明らかにしていくこと」が第一の目的であり、そのための視点出し、整理が必要である。 ・「アンケート結果とユーザーの感じ方に乖離がある」ことに関しては、調査のサンプリング方法がこのような形にならざるを得ないというところに起因していると考えられるが、これを明確に位置付けた上で、「全部のホテルや店舗を対象としたわけではなく、一部のこの対象についてグッドプラクティスを見出していくという視点で調査を行ったところ、このような結果が出た」とするべき。ただし、障害当事者として一度の拒否が大きなダメージとなるということも当事者の声として的確に整理すべき。(どんな拒否、どんなダメージなど) 96ページ ・これまでの調査ではなかったのは、「グッドプラクティス」については整理してこなかった。宝塚市の中央図書館のイベントなどそれぞれの地道なイベント、また試行で行ったことの工夫を整理できればよいのではないか。 ・つまり、問題点を指摘すると同時に、グッドプラクティスをどう整理するかの知恵をここで集めたい。 ・アンケートの回収率を上げる工夫をしていただきたい。 木村委員 相談支援専門員の調査では、補助犬についてある程度知ってはいただいているが、補助犬の使用を勧めたという人がいない。情報があれば、選択肢のひとつとして勧めてもらえるのか。知っていても勧めることはしないのであれば、情報を提供してもしょうがないのではないか。 厚労省 相談支援専門員のメインの仕事は計画をつくることであるが、メインの仕事ではないにせよ、その方の生活環境をよく知ることが必要であるため、場合によってはそのような流れになることはゼロではない。そうすると、基幹相談支援センターがその機能をプラスするなども必要かも知れない。障害当事者一般相談も含めて、もう少し広い意味で相談支援が必要ではないかといった切り口の結論も導けるかもしれない。 三重県森岡委員 相談支援専門員が、基幹相談支援センターなど専門的な知見を持った「適切な相談先につなぐ」がポイントである。 中野座長 日本の福祉サービス全体をどうコーディネートしていくかにもかかわること。今回の調査ではそこまで切り込むことは難しいが、補助犬の使用によって自立が可能な当事者にメリットやサービスの内容をどう届けていくかの考察はできるか。データをふやすことが必要。 厚労科研会議高柳氏 非使用者アンケートであるが、対象の年齢設定はどうなっているのか?障害者団体は高齢化が目立っているが。 事務局 年齢を調査していないが、結果を見ると高齢者が答えている。レスポンスができない調査方法となっているために年齢を追加調査することが難しい。 中野座長 団体の年齢構成を聞いてはどうか。確かに、ニーズも使用も若い層が多い。 安藤委員 アンケートについてであるが、耳カレッジなどのイベントでアンケート調査を実施することは可能か? 事務局 試行のイベントでアンケート調査を実施する予定。 村上委員 空港ターミナルでのユニバーサルデザインの取組について書かれているが、訪日外国人、在日の外国人について触れられていない。どのような対応が考えられているのか?都心部の施設は外国人が多い。 厚労省 今回の調査は、身体障害者補助犬法の対象となっているものであるため、訪日外国人は対象ではない。外国籍で在日の方でも日本の法のもととなるため、今回の対象。ただし、訪日外国人のように短期の日 97ページ 程で来日する方については、補助犬法の外となるために何もしなくてよいのではあるが、そういうわけにはいかないため、厚労省で期間限定の証明書を発行するガイドラインを作り、指定法人に対応していただいている。日本の補助犬と同様に受入をしてくださいという説明会を、交通事業者等を対象に開催するなど、周知を図っている。専用のポータルサイトも設置している。 村上委員 現場で対応する場合、多言語表記の資料などはあるか? 厚労省 英語のリーフレットは作成している。 村上委員 要望ではあるが、4言語のものをつくっていただきたい。 中野座長 関連情報として、報告書にポータルサイトについてなどを掲載できれば良い。 厚労科研会議高柳氏 多言語表記をしているのは沖縄。7か国語くらいで作っている。 資料-4についての議論 厚労科研会議高柳氏 何度も体験会をやってきているが、アンケートに答えたメリットはあるのか?そういうこともないと、よっぽどの方にしか答えていただけない。 事務局 予算上難しい状況にある。 安藤委員 私が作った資料があるので、それをアンケート回答者に差し上げてはどうか。聴導犬とはなにか、が書いてあるマンガです。ぜひ、お使いください。 橋爪委員 今回の実施イベントの企画監修をしている立場から話をさせていただく。今回のイベントは、耳カレッジや日本点字図書館のようにこのイベントを目指して障害当事者が来訪する。また、北里大学病院では、総合病院としては初めて受けていただき事前周知をしていただいている。このことから、アンケートに答えてくださる方が多いのではないかと期待している。また、国リハイベントに関しては、入所者さんなどが対象であるためオープンではないイベントであるが、事前周知などをしていただいている。 その他にも一般向けのスカイツリー、阪急梅田でもイベントを実施するため、村上委員のご意見にあったように、イベント開催のマニュアルとなる内容を提供できればと考える。 中野座長 各協会で実施しているイベントなどを集約して整理していただきたい。このイベントが成果と考えてよいか? 橋爪委員 各事業者さんにヒアリングを実施している。よりわかりやすくどんな連携でイベントができればよいかをまとめられればと考える。 厚労科研会議高柳氏 98ページ アンケート対象者はどう判断してお願いするのか? 厚労省 今回は倫理審査を通さなければならない調査ではない。プロフィールまでは聞かない。 木村委員 このイベントに来訪した方で補助犬が欲しい!と言った方には、事業者を紹介するのか? 厚労省 まったく無視するのは適切ではないため、その対応は協力していただく事業者にお願いすることとなる。 中野座長 この調査ためのイベントではなく、もともと実施するイベントにアンケートをさせていただくというスタンスで、そこに来訪した障害当事者にアンケートを行うというものか。サンプリングを考えるといった調査ではないが、そこで得られた知見をある程度数量化して報告する(研究とまではいかないが、実践をやってみて、その反応くらいはとる)という形か。 厚労省 そのような形です。国リハのイベントは厚労科研の研究班と共同開催という形になっているので、少し違う形となる。 厚労省 公式ツイッター、公式FBで補助犬について情報提供をすることとなった。リツイート、シェアをお願いしたい。イベントなどの情報があればこれらに載せたい。 深谷委員 今回の検討会やアンケート調査には、委員やユーザーのみが関わるということで、あまり大きく広げないようにということになっているかと思うが、委員名簿に載っていない山本先生、高柳先生がご発言をされた経緯がわからないためご説明いただきたい。また、我々も厚労科研会議に出席できるのか? 厚労省 補助犬については、社会システムが実施している調査事業(補助金)、厚生労働科学研究として、飛松先生をトップにして実施している研究班と2つ走らせている。それぞれ同じような調査もあるため、双方で協力し、データの共有などをしながら進めるということにしている。今ここにお集まりいただいているのは、調査の事業主体ではなく、事業を進めるための検討会という位置付け。そのため、研究者同士、こちらの事業で言うと社会システムに、研究班にも必要があれば参加してもらっている。 この検討会のメンバーが厚労科研会議に行くというのは、広がりすぎると考える。随時、調査事業と研究班の情報を共有するために、交通整理を私の方でやっているというのが現状。 三重県森岡委員 この検討会と厚労省の厚労科研との関係について教えていただきたい。 両者の会議が密接につながっているということで参加されているのだと思うが、関係・連携や厚労科研のスキルも教えていただきたい。 厚労省 第1回目の資料にポンチ絵がある。 補助犬の質を一定程度確保する必要があるという課題もあり、厚労省で有識者の検討会を4月に設置をしている。それとあわせてバックボーンとなる調査研究をするために、今回の調査事業、それと厚生労働科学研究、この2柱を立てている。それぞれ調査研究を進めながら検討会で有識者のご意見をいただきながら、施策にどう反映していくかということを決めていくという流れになっている。 99ページ スケジュール感としては、厚労科研は本年度と来年度の2年間で行い、この調査事業は単年度事業。こちらの調査事業は、普及・啓発、具体的に言うと都道府県がやるべきコミットとどう連携していくかというポイントを整理すること、試行的取り組みを行うということ。 厚労科研の方は、まず現行の訓練認定のあり方、その制度上の課題を明らかにする、受入事業者ごとのガイドラインをつくる、衛生管理のガイドラインを整理とする、需給推計を整理するといった課題を学術的に整理するもの。 深谷委員 この調査事業は普及ということから訓練事業者が中心であって、厚労科研が「質」ということを検討するのであれば、そちらにユーザーが参加すべきではないか? 啓発についてユーザーがどこまでできるのか?と考えるが。 厚労省 研究は研究者しかできない。調査対象としてお願いすることはある。検討会を設けるかどうかも各会議で異なる。 中野座長 会議日程の関係で出席できない委員の方がいらっしゃるが、その場合には事前に説明をしていただきたい。議題の内容についてもポイントを伝えていただきたい。今回十分にご意見をいただけなかったことについては、さらにそれぞれのご意見を収集していただきたい。 ■第3回検討会議事録 時 間:令和2年1月27日(月) 14:30~16:30 場 所:TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム3F 【出席者】 慶応義塾大学・中野教授(座長)、アクセスプロジェクト・川内主宰、日本身体障害者補助犬学会・秋田理事長、三重県・森岡課長、宝塚市・吉田室長、全日本盲導犬使用者の会・深谷会長、日本介助犬使用者の会・木村会長、(一社)日本ホテル協会・岩佐事務局長、(特非)日本補助犬情報センター・橋爪専務理事 【オブザーバー】 厚労省:秋山専門官、鈴木係長 【事務局】 社会システム㈱・高光、牧村 資料-3【試行イベントの実施報告】について 秋田委員 北里大学病院のイベントの参加者の数は把握しているか。病院関係者にとっては勤務時間帯だったと思うが、医療関係者にとって補助犬に対する理解度は全国的に低いという調査もある。 事務局 出たり入ったりでだいたいの数ということになるが、多分30名程度の病院関係者が来ていた。その他に通院の方、入院の方といった患者さんを含めて、全体で100人まではいかないという程度。 木村委員 100ページ 障害者当事者に対して、入所の手続きについても紹介したということであったが、自分の周りの障害者に介助犬を紹介するときに、合同訓練の事を話す期間が長いために、かなりみんな引いてしまう。仕事をしている人はそんな期間休めない。その辺のことまで詳しく入手の方法を説明したのか。 事務局 日本点字図書館(盲導犬)のイベントでは、細かく説明をされおり、引いている方がいた。一方で、宿泊の体験も希望するというかたいた。 また、耳カレッジのイベントでは具体的にはご説明をされていなかったため、こうした情報も入ったチラシを配布した。アンケートと一緒に配布したため、その場ではどこまでご理解いただけたかなという感じはある。 北里大学病院イベントは、障害当事者が少なくそこまでのことは言及していなかった。 国リハイベントでは、かかる費用、入手の流れと言ったことも説明していただいた。 深谷委員 チラシは今回試作として作ったということなのか。今後これを活かしていくというビジョンを持って作成したのか。できればそうしたチラシはユーザーさんなどに活用していただき、当事者と触れ合う機会などで配布してもらうといいと思う。 事務局 汎用的に使っていただけるよう、厚労省と調整し、厚労省のホームページ、補助犬情報センターのホー」ページなどに上げて活用していただきたいと考えている。 厚生労働省秋山氏 この調査事業が終わった段階で、報告書や作成したチラシ等の副産物は全て厚生労働省のホームページ、社会システムのホームページで公表するというのが条件になっている。また必要があれば厚労省の身体障害者補助犬のページにも上げることは検討できる。 ただし、掲載の際には社会システムのクレジットを入れることとなる。 中野座長 チラシについては、今後のブラッシュアップも可能かという質問も含まれていたと思うが。 事務局 このチラシと別に、受入拒否について受入事業者を対象にしたチラシも作成したが、これも含んで、委員の皆様にブラッシュアップしていただきたいと考えている。 中野座長 受入事業者を対象にしたチラシは、ちょっとインパクトもあって、そもそも法律で規定されていることなので法令順守の観点からすると店舗等ではこれ法令を守るというのが基本ですよねということがアピールされていて非常におもしろい。ぜひ後で見ていただいてご意見をいただき良いものに変えていけると良いかなと思う。 また、今年度の試行イベントは以上で終了という理解でよろしいか。各イベント等では必ずしも多くの当事者のアンケート等の結果を得られたわけではないが、本質的な問題についてはご指摘がいただけているのではないかなと思う。これに基づいて次の議題である今後の普及・啓発どういうふうにしていくかにつなげていけるのではないか。 木村委員 101ページ 今回のイベントでは、補助犬使用の対象者になりそうな人がいて、訓練事業者に連絡しそうな感じであったのか。また、行政に申請しそうなのか。もしわかれば、こういうイベントすれば実際の行動に出るかのきっかけになるイベントとして役立つのかどうかがわかると思うが。 事務局 日本点字図書館イベントでは、本当に欲しい方という方もいて、来週にでも訓練事業者に行って、宿泊体験を申し込みますということだった。また、国リハイベントでは介助犬については、何人かが訓練事業者さんと話をされていたのが見られた。特に、通所者のカですぐ使うという方がいた。 三重県・森岡委員 9ページの「スマートサイト」とはどういうものか。 厚生労働省秋山氏 各眼科医会が中心となって視覚障害者にとって有益な情報(訓練、社会的支援、医療的な対応など)をワンストップで集約して情報共有しようというもの。各医師会ごとに作っているケースが最近多くなっているため、これを活用しようという動きが高まっている。 川内委員 この試行イベントは「使用希望の可能性のある障害当事者」を主対象としたとあるが、この検討会の方向性としては、利用者使用者の底上げによってニーズを持つ人を増やし、社会に啓発していこうという方向性なのか。もちろんニーズをふやすことは必要であるが、受け入れ側が現在のような実態であったら使用者が増えず、啓発を進まないということになる。受け入れ側を主対象試行イベントというのがあってしかるべきではないかと思うが、今までもやってきたのか。 厚生労働省秋山氏 今回の調査事業は、あくまでも利用者さん目線でまとめ、自治体が普及・啓発をするときにどのようなポイントがあるかということをまとめていただくことをお願いしている。 川内委員がご指摘になった受入事業者側の調査については、別途実施している厚生労働科学研究会議でそれぞれの業界、業態ごとの対応ガイドラインをまとめることをミッションに、2年計画で進めており、その調査研究を進めていくことを考えている。 川内委員 そのことは議事録で理解しているが、果たしてこれを分けられるものなのか。のた、厚労科研会議には障害当事者は参加しているのか。 厚生労働省秋山氏 あくまでも学術的な研究となるため、構成員は研究者である。現在は、まず実態把握として各事業者の意識調査をしているところ。しかし、当然ガイドラインをまとめるに当たっては意見を伺う場面はあろうかと思う。 川内委員 学術的な研究も重要であるかと思うが、使用者としてはいかにお店に入るか、いかに拒否されないかという目の前の問題がある。学術的というよりは受入事業者に対して具体的に何が問題で受けれていないのか、どうアプローチすればいいのかを、使用者と一緒に考えていくということが喫緊の課題ではないかと思うが。 厚生労働省秋山氏 102ページ 現段階での研究班の体制としては、学術的な体制という形で進めざるを得ないというところであるが、最終的なまとめに当たっては、当事者の方々のご協力をいただくことが必要だと思うので、ご意見を踏まえて進めていきたい。 川内委員 学術的な研究と、こちらのユーザーのニーズをどうやって底上げするかというこの二つが走ったときに、果たして世の中の受入れは進むのかというと、この二つが走っていることでは進まないと思う。最も重要なポイントはやはり受入事業者である。医療機関、タクシー、宿泊施設だなどに対してどういう働きかけをすればその目の前の受入が進むのか。例えばすかいらーくのようなチェーン店から攻めていった方が1軒1軒の小さなお店よりも効果が大きいのではないかなど。もう少し戦略を練ることが必要なのではないか。 資料-4【理解促進、利用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方の検討について】について 木村委員 自治体アンケートの中で、補助犬使用に対する取組を全てをやってない自治体というのはどれぐらいあるのか。介助犬と聴導犬は約半分の都道府県にしかいないが、盲導犬は全ての県でいるはずで、全然やってない自治体は、どうして何もやってないのかというとが気になった。 厚生労働省秋山氏 感覚的な話だが、たしかに盲導犬は全県にいるとは言え、各自治体は使用希望者がいるときに助成金を出すため、新規の希望者がいない場合は実施しないということがあり得るのではないか。 また普及・啓発をやってるかどうかについては、普及・啓発活動、どれぐらいの受給があるかなどの調査は、平成28年から補助犬の助成の対象にしているが、実際にやってるところは数カ所。自治体独自でやっているケースがあるかも知れない。 事務局 参考資料-2の2ページにあるように、啓発活動に取り組んでいるのは、都道府県が89%、政令市が67%中核市が50%というような形になっていますが、内容は様々。 したがって、都道府県で言えば残りの11%については、啓発活動については何もやっていませんという回答になっている。 また、この5つの種類の取り組み(助成政策、理解促進、啓発活動、育成計画、連携体制)を実施していないと答えているのが、都道府県でいうと、回答した38のうち2つあった。 中野座長 回答していただいたところで2つということは、回答してないとこみると、もう少しあるかもしれないということか。この5つの事業ともやってないっていうところがそんなにあるというのはちょっとショッキングである。そういうところにどうやって今後介入していくかが重要であることを受けとめる必要があるのではないか。 深谷委員 1ページに「視覚障害者に対してチラシは効果が薄く・・・」とあるが、視覚障害者が情報を得る手段としては多分録音物が一番高い。次にある程度視覚障害歴の長い人にとっては点字が大きなものだと思うが、こうした手段が準備されないままにこのような結論が出るのはおかいしいのではないか。 103ページ 事務局 準備できていなかったため、このような内容となってしまった。情報保障ができていなかった。 深谷委員 盲導犬使用者のほとんどが全盲。そこに意識がないのではないか。これはおかしい。 中野座長 そのような書き方にならないようにし、今回用意したのが通常の墨字と白黒反転板だけだったので、それでは有効ではなかったという書き方にすべき。 三重県・森岡委員 自治体で啓発活動を実施するのは前提ではあるが、その上で、日々の計画を立てるのは相談支援専門員であり、しっかりと捉えて、つなげていくことが重要。基幹相談支援センターにアドバイザーを配置することも必要だと思うが、都道府県で実施している相談支援専門員研修の更新研修などで、経験を積んできた相談支援専門員の方などが、補助犬に繋げるような知識を持ってもらうことが非常に重要であり、こうした方が地域に何人かいるということが大事なのかなと考える。こうしたことも盛り込んでいただきたい。 秋田委員 相談支援専門員研修で補装具などの話をしたことがあるが、補助犬についての項目がない。こういう機会が非常に大事であるため、早い時期から補助犬の情報についての相談員の方々にできる機会をぜひ作っていただきたい。また、「自治体等の各窓口や相談支援専門員、医療関係者など障害当事者を支援する方々の補助犬使用についての知識を深度化する」ということがガイドブックの骨子案に書かれているが、例えば職能団体などでそういう機会を作ることができる。こうしたところへの働きかけも、特に介助犬・聴導犬については知識のない人も多いため、研修の機会を作ることが必要である。 また、これは文科省の範囲かも知れないが、その前、養成施設や大学、専門学校などの段階で、補装具の中で補助犬についても入れていただくよう、働きかけもしていただきたいと思う。 宝塚市・吉田委員 宝塚市の場合は木村委員がいらっしゃるため、他の自治体より啓発活動が進んでいると思っております。最初に手帳給付をするときには、色々な制度があるためそのご案内はハンドブックでさせていただいている。この中で、少しであるが補助犬の貸し付けというような内容も入れてはいるが、悲しいかな今の時点ではボリュームある内容の中でさーっと流して説明する感じになっている。障害当事者からお尋ねがあれば説明をするが、現状では通り一遍の形で説明している状況。 ハーネスなどの日常生活用具、生活予防接種など補助犬の健康面での助成などをしている。また、市民に向けては「シンシアの町宝塚」ということで啓発をしてきているが、しかし現在、介助犬使用者が1人、盲導犬使用者が1人の2人しかおらず、増えていかないという状況にある。普及を図っていくということであれば、特定相談とか一般相談の中で、その方の暮らしと補助犬が合うような方向性があれば、提案をした方がいいというようなケースがあればいいとは思う。しかし、サービスをも使いたいという希望者が多く、相談窓口が数がこなせない状況にあり、相談支援専門員が補助犬使用についての知識を深度化できるかというと難しい状況にあるかと思う。 木村委員 相談専門員、飲食店の衛生管理責任者等の研修で補助犬使用についての説明をする、パンフレットを配布することはいいと思うが、その「説明をする人」たちを教える講師については研修をするよ 104ページ うな機会はないのか。教える側が補助犬のことを理解してなければ、きちんと伝わらない。こうした人たちに対する研修がまず必要だと思う。 厚生労働省秋山氏 相談支援専門員の研修については、国で養成研修を実施しており、さらに都道府県で研修を行うようなスキームとなっている。カリキュラムが多いため、補助犬についてどのくらいの時間をかけるかというのは、正直厳しいが、私も補装具の話をさせてくれといってさせてもらったりしており、少しでもそこに盛り込む可能性はあるのかなというところ。 他分野への要請については、どこまで踏み込めるかというと、正直厳しい。 深谷委員 骨子案に「必要に応じて人材育成やこうした人材に対するアドバイスなどのできる人材を配置する」とある。人材とは、実際には例えば育成団体の方や専門職の人たちがそこに入っていくことが一番いい形での繋ぎになるかと思うが、そういう意味において例として病院やリハセンターでの啓発事業の実施啓発イベントの実施を載せているのかと思う。 本当にユーザーの立場、補助犬使用者の立場に近い人材をそういう場合に送り込んでいくっていうようなことが必要であるという表現にした方が良い。 また、「ユーザー会の補助犬使用者と自治体などの普及活動主体が連携体制を確立することにより、効果的な普及を実施できる」とあるが、これは実際に広島市、岡山市、新潟県、長野県などでユーザーの会と自治体が密になって活動しているところはある。実動数と自治体との関連性を結び付ければよいのではないか。 秋田委員 「アドバイスできる人材の配置」としては、育成団体+ユーザーさんの声が非常に大事かと思う。補助犬を使用してこう生活が変わったなど、効果についてのエビデンスが希望する可能性のある人に伝わるといい。2本立てでこうした人材の配置を考え下さい。 木村委員 盲導犬は使用者が1000人ぐらいいるが、介助犬と聴導犬は合わせて60人ぐらいしかいない。その中で話のできる人となると限られてくる。使用者が希望者にピアカンファレンスのような形で話をするのが一番いいとは思うが、いかんせん対応できる人が少ないということも考慮していただきたい。介助犬は、使用者と密接に関わっている訓練事業者が詳しい話をしているので、一緒に組み入れた普及活動とすると、補助犬使用者の数の少なさをカバーできるのではないか。 川内委員 このガイドブックは、どういう場で、誰が見るのか。 事務局 自治体の補助犬担当者に向けてであり、厚労省、社会システム、日本補助犬情報センターのホームページに掲載する予定。関係者にも見ていただき、それぞれの立場で見ていただきたい。 川内委員 一番懸念するのは、できたものが本棚に並んでいるだけという状態になること。そうすると、誰に向けてということをはっきりさせなければ、ぼんやりしてしまい、誰も見ないような気がする。 また、「人材を配置する」ということについても、その対象は自治体の各部署に散らばっている。だから、自治体といっても関係各部署の手の届くところになければならない。ということは、誰に向かって言っているということをはっきりさせるべき。 105ページ 橋爪委員 ガイドブックは、それぞれの立場の方々が共有をしていただきたい。当事者が自治体の方と話をするときにこの情報を頭に入れて話し合いができると、今まで温度差が埋まらなかった部分などがスムーズに行く一助になるのかなと考えている。自治体向けにはつくるけれども、これをしっかりとユーザーの会の皆さんであったり訓練関係者の皆さんだったり、きちんと共有するという活動が必要なのかなと思う。 深谷委員 ガイドブックはどのような情報が公開されるのか。印刷物も準備するのか。その費用はあるのか。 事務局 印刷の予算は形状していないが、視覚障害者の方への情報提供のあり方は厚労省と相談して進める。 三重県・森岡委員 この検討会を受けて、行政指導的な通知などは出る予定であるのか? 厚生労働省秋山氏 あくまでも、この事業は補助金を出しての事業であるため、まとまりましたという情報提供のみ。 三重県・森岡委員 骨子案にある「心のバリアフリーの理念にある・・・」という記述があるが、障害者差別解消法についてもここに入れていただきたい。 秋田委員 厚労省から各自治体に通知を出して、このガイドブックに則ってしかるべき普及・啓発活動を実施してほしい、またアドバイスのできる人材の配置についても厚労省として指導をしていただきたいが、この事業の位置付けは了解した。この後の予定はどのようにお考えか。 厚生労働省秋山氏 地域生活支援事業の補助金を使って実施するということに限って回答すると、都道府県の裁量に基づいているため、どこまで義務付けができるかは正直難しい。ただし、実施要綱の中で普及・啓発を進めてほしい、参考としてこういった観点で・・・といった留意事項を示す事は可能性がある。あくまで地域生活支援事業でやっているというハードルはあることはご理解いただきたい。 秋田委員 補装具について厚労省で通達を出している。補助犬も生きた補装具という観点から、同じように考えていただきたいと考えている。 厚生労働省秋山氏 現在別の検討会で補助犬法に基づく対応を議論しているところに「子供向け」という記述がない。自分が講演会にいったことで、大人になって補助犬使用に配慮してくれたという例もある。補助犬法が施行して18年が経ち、理解度が下がってきているので、先行投資として、子供に教えておけば、彼らが大人になったときにもっと理解が進むと思う。そういう観点の話も入れて欲しい。 また、自治体アンケートというのは中核都市以上であったので、宝塚市の取り組みっていうのは出ないのか。でも、今回の委員になってきている。20年前から補助犬シンポジウムをずっとやってて、今年から初めて子供向けのイベントに変え、子供だけでなくそのお母さんとかお父さんが一緒についてきてくれる。また、道徳の授業の副読本にもちゃんと介助犬、盲導犬、聴導犬の話を載せていれている。さらに、補助犬シンポも僕と市役所宝塚と毎日新聞で連携をして実施している。イベントだけでなく、どうすれば普及できるかということで、公用車に補助犬シールを貼って、みた 106ページ 人に補助犬を知ってもらうなども実施しているので、そのような宝塚の例もガイドブックの事例として取り上げていただきたい。 岩佐委員 ガイドブックについては、その前文にどういう目的で、誰に対してということが明確に明記することがまず必要。また、ガイドブックのタイトルは資料4のタイトルと合わせるべき。 ターゲットが地方自治体というのはわかるが、一般市民や受入事業者などでも使えるよう、ベストプラクティスのようなものを少し入れていただければ、参考にでき、利用価値があるのではないか。 中野座長 グッドプラクティスはそれぞれの項目の「事例」と書いてあるところに入れ込むという計画であるということ、また、川内先生のご指摘のように、自治体向けであることを明確にし、自治体にこういうことを実施してくださいねということが明確に伝わるというところは、その重要なところだと思う。 三重県・森岡委員 ガイドブックという名称がよいのか、この検討会の報告書という方がよいのか。 事務局 これまでの経緯も含めた内容を「報告書」とし、別冊でガイドブックとなる。 三重県・森岡委員 例えば、このガイドブックができましたっていうことは厚労省から通知として発出されるのか。 厚生労働省秋山氏 お約束できるわけではないが、担当者としては事務連絡として発出したいと考えている。 木村委員 参考資料のホテルのアンケートについてであるが、研修を実施していないというホテルがたくさんあったが、実際には問題は起きてないという実態であるのか。 岩佐委員 回答者にはかなり真面目にお答えいただいたのではと思っている。私どもの会員ホテルの40数%の回収ができたのであるが、私も驚いたのはあまり教育研修をしてないという回答が多い。ただあまりお客様とのトラブルが生じてない。例えば法律ができたとか、補助犬の受け入れ方などについてはセミナーなどをホテル協会自体もやっている。会員に対してもいろいろ周知しているので、そういうもので情報を得て教育というものではないかもしれないが、従業員に対して周知はしているのかなというふうに感じている。 2件のトラブルが挙げられているが、1件は数年前、もう1件は6年前。ロビー周りにいる従業員がアルバイトの方であった(地方のホテルであった)ことから、どうも教育ができておらず、補助犬だと言う認識ができなかったということでお客様との間で受入れについて時間がかかり、上席の人を呼んでそれはお受けするんだよっていうことで受けいれたということであった。 ですので、もう少し積極的に教育の機会や、わかりやすい解説の本、チラシの配布(先ほど配られたチラシをもう少しレベルを上げたようなものがあればいい)などを活用し、誰でもこう呼んでわかるような形のものを会員に配っていき、私どもも積極的に関与をしていきたいとは感じたところ。 秋田委員 今日配られた資料は、参考資料として報告書にどこまで入ってなどどこまで盛り込まれるのか。 事務局 107ページ 今までの実態調査、課題などの整理から、ガイドブックを作りました、ガイドブックはこういうものですというのが報告書となる。また、ガイドブックの部分だけ切り離して、別冊になるというイメージ。 秋田委員 ガイドブックだけ浮いてしまうのではなく、これまでの検討結果から、このようなガイドブックをつくったという関係性がわかるものとしてほしい。 事務局 ガイドブックのイントロにも経緯を説明する。 中野座長 イントロにURLなどをつけて、報告書に飛ぶ形とするのがよいのではないか。 木村委員 自治体の調査結果の中の個別意中に、「補助犬シールが足りなかったので、貼るのをやめた」という意見があった。宝塚市では、宝塚市役所などの公立施設が全て入っており、近隣の民間の施設も入るようにしっかりお願いしてもらっている。せめて自治体の公立施設には補助犬シールはあってほしい。別に補助犬シールは同伴かを示しているわけではなくて補助犬法があって、盲導犬、聴導犬、介助犬を受け入れるということを一般市民の人に知ってもらうために貼っていると思っている。 厚労省には、足りなければ追加してシールを配布してもらえるのか。 厚生労働省秋山氏 毎年、数万単位で増刷を繰り返しており、自治体さんからご要望があればご要望がある数だけ発送している。ご安心いただければと思う。ただし、うちの方からどうしても義務付けるっていうのはなかなか難しい。最近増えている印象はある。 事務局 今の木村委員の意見は、参考資料2の6ページの表の一番下のところの補助犬シールを全ての商工会議所に早くし配布しようとしたが足りなかったという回答。自治体が商工会議所など市内の各所に配布しようとして足りなくなって配りきれなかったということ。しかし、この自治体は追加発注ができることを知らなかったと考えられ、情報提供が必要である。 中野座長 様々なご意見を出していただいたが、重要なところは「法律を重視するっていうことが非常に重要」という視点でガイドブックは自治体に向けてつくるということ。自治体はその法令遵守を主導していくとても重要な役割であり、障害者権利条約、差別解消法も含めて「自治体にある店舗等にコンプライアンスとして法令遵守をしなければならない」と普及・啓発していくことが責務であるということまとめることが必要。この法令遵守ということが明確に伝わるような書き方とすることがすごく重要なんじゃないかなと思っている。 それから、グッドプラクティスを選ぶ際には、非常に優れたグッドプラクティスもちろんいいが、それだけでは「すごいことやってるね、でもうちはやらないよ」と言って終わってしまうというものが多い。例えば宝塚市のように、ユーザーと一緒になって実施しているというようなものをグッドプラクティスとして挙げていただき、こうすれば自分ところの自治体も同じようなことができるかもしれないというふうなグッドプラクティスというものを挙げていただきたい。今後ワーキングを作られるということなので、議論していただきながら選んでいただけると非常に良いかなと思う。 108ページ ■第4回検討会議事録 第4回検討会はコロナウイルスの感染のリスクがあったため、メール審議とした。メール審議は2回にわたり実施した。 ①第1回メール審議 検討委員からのご意見 〇ガイドブックについて ・全体 木村 ガイドブックだけでなく、報告書目次、報告書概要も合わせて、いずれかに統一して下さい。 ・全体 木村 「補助犬使用者」は別にして、「補助犬の使用」と「補助犬使用」が混在しています。ガイドブックだけでなく、報告書目次、報告書概要も合わせて、「補助犬の使用」に統一してはどうですか? ・全体 木村 「普及・啓発」「普及・啓発」「普及・啓発」が混在しています。ガイドブックだけでなく、報告書目次、報告書概要も合わせて、「普及・啓発」に統一してはどうですか? ・全体 木村 「障害者」と「障害当事者」が混在しています。ガイドブックだけでなく、報告書目次、報告書概要も合わせて、「障害当事者」に統一してはどうですか? ・表紙 川内 「身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大」理解促進は「補助犬使用者に対する」か「補助犬に対する」だろうし、「使用者の利用拡大」は意味不明。補助犬の利用の拡大のことか、補助犬使用者の社会活動(あるいは社会参加)の拡大のことか。 ・表紙 木村  「身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大のための利用拡大のための」とありますが、「利用拡大のための」が、分かり難いです。「補助犬使用者の人数の拡大」だと思うので、「身体障害者補助犬使用者の理解促進、補助犬の使用拡大のための」としてはどうでしょう? ・p.1 川内 【4行目】「・・効果的に普及・啓発を実施・・・」このガイドブックを最後まで読んで、自治体に対して、普及・啓発で何を訴えてほしいのかが伝わらないと感じる。ここが伝わらないと、自治体は何をやればいいのかがわからないのでは? ・p.1 秋田 【下から8行目】障碍者差別解消法 → 障害者差別解消法 (この箇所だけ「碍」) ・p.1 木村 【3行目】身体障害者補助犬(以下、補助犬という)を使用する「補助犬使用者」が⇒身体障害者補助犬(以下、補助犬という)を使用する障害当事者(補助犬使用者)が ※「補助犬を使用する補助犬使用者」は、重言のようで気になります 109ページ ・p.1 木村 「●補助犬使用者の実態・・・を作成しました(作成の経緯)」における3行目 「理解促進、利用拡大のための効果的」→「理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的」 ・p.1 木村 「●補助犬の担当部署だけで・・・署で情報共有が必要です」における1行目「に自治体の皆さまが補助犬の普及・啓発の実施」⇒「に自治体の皆さまが補助犬の使用の普及・啓発の実施」 ・p.1 木村 「●補助犬の担当部署だけ・・・の部署で情報共有が必要です」の3行目「障碍者差別の解消」→「障害者差別の解消」ここだけ、「障碍者差別の解消」となっています。 ・p.1 木村 「●効果的に実施されている普及・啓発の活動事例を掲載しました」の1行目「補助犬の普及・啓発」→「補助犬の使用の普及・啓発」 ・p.2 秋田 【上の囲み内2行目】3種 → 3犬種 が良いかと ・p.2 木村 I-1の「身体障害者補助犬とは?」の1~2行目「身体障害者の自立や社会生活などをサポートなどをする犬です。」⇒「身体障害者の自立や日常生活などをサポートする犬です。」 ・p.2 木村 「2.「身体障害者補助犬法」により、・・・の受入れが規定されています」の0行目「規定されています」→「義務づけられています」※「規定」では、受け入れなければならないことが伝わりません。厚労省の補助犬BOOKでも「受け入れる施設側には、法律に基づき、ほじょ犬の同伴を受け入れる義務があります。」と表記されています。 ・p.2 木村 「2.「身体障害者補助犬法」により・・・います」の第1項目平成14 年に施行された、良質な補助犬の育成と使用者の施設等の利用の円滑化を図り、障害者の自立及び社会参加の促進を図るための法律です。⇒良質な補助犬の育成と使用者の施設等の利用の円滑化を図り、障害者の自立及び社会参加の促進を図るために、平成14年に施行された法律です。※分かり難いので、語順を上記のように変えて下さい。 ・p.3 川内 【1行目】「・・・必要があります」 法的には努力義務だから、必要があるのではなく義務があるのでは? 110ページ ・p.3 川内 【17行目】「・・・飼い犬のように・・」 削除。補助犬だって飼い犬。 ・p.3 川内 【下から2行目】「・・補助犬用のトイレ・・」 補助犬トイレは作り方によっては使われず、むしろ普通の木の陰や草むらがいいとわかってきています。こういった書き方だと、それ用の設備がいるとの誤解を招きませんか?・・補助犬がトイレのできる場所をご案内いただくことは・・といった感じでは? ・p.3 木村 「●補助犬使用者は管理責任を負って補助犬を使用しています」の2~3行目「補助犬犬は基本使用者の足元にいて」⇒「補助犬は基本的に使用者の足元や車椅子の横にいて」 ・p.4 村上 自治体を中心とした連携体制は重要です。  ⇒役所の職員の意識向上も重要ですが、受け入れ先を管轄する団体(商工会議所、商工会、社旗福祉協議会等も)も対象に加え、担当部局と両面から進めてはいかがでしょうか。(縦割り行政にならない横連携の重要性)  ⇒自治体を対象としたガイドブックという前提はわかりますが、啓蒙のポイントは受け入れ事業者と一般市民をいかにして引き込むかだと思います。  ⇒特に、自治体と受け入れ事業者の一方通行でない双方向の連携の構築が重要だと感じます ・p.4 木村 連携についての文章や図において、自治体が連携する団体に、訓練事業者が含まれていません。他のページでは、訓練事業者との連携についても触れられています。連携団体の文言に、「訓練事業者」を追加して下さい。また、図において、訓練事業者との連携は、補助犬使用者団体を通じたもののような表現になっていますが、「補助犬訓練事業者」との直接の連携を表現する矢印も加えて下さい。 ・p.5 川内 【3行目】「・・・その実態やニーズなどを持っている・・・」日本語としておかしい。 ・p.5 川内 【12~14行目】「補助犬の貸与や・・・が現状でしょう。」補助犬使用者のいない自治体が啓発活動を行う動機付けが弱いと感じる。・・たとえその自治体に補助犬使用者がいないとしても、補助犬使用者は自分の町以外のところも訪れています。とか。 ・p.5 村上 自治体と障害当事者とのパイプ作りができていないというところから話を始めるのか、という驚きを感じます。  ⇒それは、事業者との関係と同様に、自治体職員の「仕事」になっていて、本当に心の通った福祉行政になっていなのではないか、という素朴な疑問を感じます ← 自治体職員の心のバリアフリー教育こそ重要では?  ⇒啓発活動は、自治体、利用者側、受け入れ側中心に関係者で頑張ってもなかなか理解は深まらないのではないか  ⇒啓発活動は一般市民を巻き込んだ取り組みが重要 111ページ ・p.5 秋田 【一番下の囲み】 HPの記載だけでよいか? 電話、FAXなどは必要ないか? ・p.5 木村 「2.障害当事者(補助犬使用者)とのパイプをつくる」の1行目「補助犬の利用拡大」→「補助犬の使用拡大」 ・p.5 木村 「2.障害当事者(補助犬使用者)とのパイプをつくる」の2行目「その実態やニーズを持っている障害当事者・・・」⇒「その実態を把握しニーズを有している障害当事者・・・」 ・p.5 木村 「〇「補助犬使用者」とはどうコンタクトをとったら良い?」の4行目「補助犬の利用拡大」→「補助犬の使用拡大」 ・p.6 村上 補助犬利用者の意見・体験を聞くことは取り組みの基本であり、非常に重要である。その内容を開示し改善に役立てるサイクルの構築が重要(それぞれの立場で一方通行な要望にならないような進め方に留意すべき) ・p.6 秋田 事例①2007年 → 平成19年 (本文の元号表記に合わせる) ・p.7 村上 自治体内や都道府県と市町村の連携は、行政として当然行われているという認識。ただし、自治体により意識や取り組みに対する温度差があるのではないかと懸念。→受け入れ側である、商業施設においても、自治体からの要請や共同の取り組みなどについて、地域においてずいぶん力の入れ方が違うという話を聞いている。この際の国の役割はどのようになるのか? ・p.7 秋田 囲み内 1999年 → 平成11年 ・p.8 秋田 二つ目○2行目 : 医師、看護士、PT、OT、ST→ 医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 ・p.8 木村 「〇「補助犬使用者」とはどうコンタクトをとったら良い?」の4行目「補助犬の利用拡大」→「補助犬の使用拡大」 ・p.8 木村 「○補助犬使用者を増やすことの意味」の2行目「一方で補助犬について」 →「一方で補助犬の使用について」 ・p.8 木村 囲みの中の「提言」の4行目「補助犬の知識や情報」→「補助犬使用の知識や情報」 ・p.8,11 村上 補助犬使用者を増やすための施策としては、入り口として医療機関、障碍者向け施設でのPRは重要だが、利用者に実社会の現場での活用についての理解を実例で見てもらうことで不安を取り除くことも重要。商業施設と連携した、店舗内での利用体験のようなイベントの実施などはPR効果が大きいのではないか。(PRコーナーを設け、一般市民に啓蒙を行うことだけでなく、実際に障害者が店舗内等で体験・活用してもらい、障害者、一般市民双方の理解を深めることなども考えられる) 112ページ ・p.9 木村 「○障害当事者に自立生活のあり方を考えるタイミングに情報提供を行う」の3行目「タイミングで補助犬使用者の選択肢を考える」 → 「タイミングで補助犬の使用の選択を考える」 ・p.9 木村 「肢体不自由」→「肢体不自由者」 ・p.9 木村 表の「在宅段階」の3セルにおいて、「障害福祉課窓口」を追加。※在宅段階においても、多くの障害当事者が、市町村の障害福祉課へ生活支援の相談に行くため。 ・p.9 木村 表の「肢体不自由者」-「在宅段階」のセルにおいて「自立生活センター協議会」の記載がありますが、WGで当方がお話ししたのは、「自立生活訓練センター」で、当方は「自立生活センター協議会」についてはよく分かりません。 ・p.9 木村 「○イベント(体験)型の情報提供」の2~3行「補助犬使用者として社会参加ができるという選択肢を」⇒「補助犬を使用することによって社会参加ができるという選択肢を」※補助犬使用者になることが目的ではなく、社会参加が目的で補助犬使用は手段であるため。 ・p.9 木村 【自治体の役割】の第2項 情報定期用→情報提供 ・p.9 木村 表の「在宅段階」の3セルにおいて、「障害福祉課窓口」を追加。※在宅段階においても、多くの障害当事者が、市町村の障害福祉課へ生活支援の相談に行くため。 ・p.11 秋田 囲み内 2018年 → 平成30年 ・p.11 木村 「3.補助犬使用者参加型の普及活動の効果」の1~2行目「補助犬使用者としての可能性に」→「補助犬を使用することによる可能性に」 ・p.11 木村 「〇どのような内容の普及活動が望ましい?」の1行目「対象障害のある人が」 → 「補助犬の対象となる障害のある人が」 ・p.11 木村 「〇どのような内容の普及活動が望ましい?」の2~3行目「デメリットの遭遇」 → 「デメリットとの遭遇」 ・p.11 木村 「●補助犬使用者自身が具体的な社会生活を語る」の3行目「リアルな補助犬との暮らし」→「リアルな補助犬との生活」 113ページ ・p.11 木村 「●補助犬を使用するための具体的な情報を提供する」の2~3行目「デモンストレーションや歩行体験など⇒「デモンストレーションや歩行誘導などの補助犬のサポート体験など」 ・p.11 木村 囲みの中の事例の0行目 「育成事業者」→「補助犬訓練事業者」 「補助犬使用当事者」→「補助犬使用者」 ・p.11 木村 「補助犬使用当事者が補助犬の・・」→「補助犬使用者自身が補助犬に・・」 ・p.12 川内 【下から5行目】「アレルギーの方がいらっしゃるかもしれない・・」基本的な質問で申し訳ありませんが、実際にアレルギーの方がいる場合は、補助犬法の「拒否してはならない」という規定と、どちらが有効なのでしょうか。また同様に、アレルギーではないけれど犬が入ってきたら私は帰るという客がいたら、店としてはどう対応すべきなのでしょうか。 ・p.12 木村 大きな余白があるので、補助犬使用者が受入拒否に遭遇しているイラストを入れて欲しい。文字だけより、同伴拒否に遭遇している使用者の悲しそうな表情を見れば、問題の深刻さを実感してもらえると思う。 ・p.12 木村 「〇受入拒否は法令遵守だけでな・・・責任(CSR)の問われる問題です」の0行目 〇受入拒否は法令遵守だけでなく社会的責任(CSR)の問われる問題です⇒○受入拒否は、企業の社会的責任(CSR)を問われるだけでなく、法令に違反する行為です。※原文の文言では、「法令遵守しないこと」より、「社会的責任を果たさないこと」の方が問題であることになります。コンプライアンスは「法令を遵守する」ことに加え、「社会的責任を果たす」ことが含まれます。社会的責任も重要ですが、法令違反はさらに問題です。 ・p.12 木村 「〇受入拒否は法令遵守だけでな・・・責任(CSR)の問われる問題です」の4行目受入拒否は企業にとって法令遵守上問題があるだけでなく、社会的責任も問われる問題です。⇒受入拒否は企業にとって社会的責任を問われるだけでなく、法令に違反する行為です。 ・p.13 村上 受け入れ事業者の啓発活動には、そもそものコンプライアンスの問題のほかに、利用者と一般客との間に挟まれて苦慮する従業員スタッフの問題が大きい。商業施設の管理者、店舗の店長への啓蒙、要請も重要であるが、現場スタッフ(売り場担当者、飲食店接客担当者など)が補助犬を連れたお客様への対応と合わせて、そのお客様を受け入れる際のほかのお客様への対応や接客について、通り一遍な形式的なマニュアルではなく、具体的な声掛け、話し方、案内の仕方など実践的に現場ですぐ使えるようなリーフレットを作ってもらいたい。(可能であれば、漫画などでリアルに応対場面がわかるとより使いやすい)受け入れ拒否の理由には、店舗スタッフがどう対応してよいかわからないという心理的な理由が相当部分を占めているのではないかと思われる。一般市民の理解を得るためには、実社会の中で実際に補助犬利用者に触れる機会を増やし、誤解を払拭することが重要。そのためには、店頭でPR活動を行うのも有効だが、前述したように地域の商業施設等と協力し、モデル店舗的に利用者に活用してもらい、一般市民に普通の景色として補助犬を見てもらうことが重要だと思う。今までの啓発活動は、特別なものとしての理解をしてもらうことに重点が置かれているような感じを受ける。最後に、心のバリアフリーは、やはり教育が一番重要であると思う。それも小中学校の情操教育の段階から養われるものだと考えます。本件の、啓発・啓蒙については、教育との連携も非常に重要な課題だと考えます。なお、今回のガイドブックは、自治体向けの普及・啓発活動を行う場合のものですが、一般市民向け、受け入れ事業者等向けのガイドブックの作成をぜひお願いしたいと思います。 114ページ ・p.13 木村 「○「直接対応するスタッフ」に向けた啓発活動の実施」の4ページ「の受入についての認識をしておくことは」→「の受入について認識しておくことは」 ・p.13 木村 囲みの中の「提言2」の1行目 「衛生管理責任者講習」→「食品衛生責任者講習」 ・p.14 木村 「3.受入拒否を無くすためには、一般市民の理解も得ていくことが必要」の4行目「補助犬を使用することが法律で認められていることを知らず」⇒「施設に補助犬使用者の受入が法律で義務づけられていることを知らず」 ・p.14 木村 「●補助犬の使用が「平等な社会参加」・・・ることに対する理解を得る」の0行目「●補助犬の使用が「平等な社会参加」の」⇒「●補助犬使用者の受入が「平等な社会参加」の」 115ページ ・p.14 木村 「●障害当事者にとって大切なパートナーであることの理解を得る」の1行目「肢体不自由」→「肢体不自由者」 ・p.14 木村 「●障害当事者にとって大切なパートナーであることの理解を得る」の2行目 「どのような支援」→「どのようなサポート」 ・p.14 木村 囲みの「事例①」の4行目 「2018年には」 → 「2015年から」 ・p.14 木村 囲みの下段「提言」の3行目 「補助犬使用者の受入をしなくてはならない」→「補助犬使用者を受け入れなくてはならない」 ・p.15 秋山 【1行目】「不特定多数に広く周知していく手法による啓発が望ましい」誤解を招くのではないでしょうか。飲食店、医療従事者等、ターゲットを絞って周知することも、違った意味で効果が期待できるはずです。そういう、ターゲット限定型の啓発を否定しているように見えます。 ・p.15 秋田 下の囲み3行目 盲導犬や介助犬 → 補助犬 ・p.15 木村 1つめの囲み「〇不特定多数に広く周知していく手法による啓発が望ましい」の1行目「補助犬使用者の受入理解を一過性の理解と」→ 「補助犬使用者の受入を一過性の理解と」 ・p.15 木村 2つめの囲み「事例①」の2行目「・・や介助犬についての説明をしている。」→ 「・・や介助犬について説明している」 〇概要版について ・木村 ●「取組み」「取組」「取り組み」が混在しています。●「補助犬使用者」は別にして、「補助犬の使用」と「補助犬使用」が混在しています。●「普及・啓発」「普及・啓発」「普及・啓発」が混在しています。●「障害者」と「障害当事者」が混在しています。※ガイドブックと同様に、統一してはどうですか? ・p.1 木村 「1.調査目的」の5行目「身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大のための利用拡大のための」⇒「身体障害者補助犬使用者の理解促進、補助犬の使用拡大のための」 ・p.2 秋田 2ページ目左囲み内 2018年 → 平成30年 (同様。他にも例があればチェックが必要!) 116ページ ・p.2 木村 「① 自治体等による取組みの実態」の2行目「取組身」→「取組み」の誤字ですが、統一の表記に修正して下さい。 ・p.2 木村 「【自治体アンケート結果概要】」の9行目「生活衛生協同組合」 →「生活衛生同業組合」 ・p.2 木村 「【自治体ヒアリングで収集した主なグッドプラクティス】の4行目「補助犬の訓練を自治体施設で実施することなど」⇒「補助犬の訓練実施を、自治体施設で受け入れることなど」※原文では、自治体自身が訓練するように誤解します。 ・p.3 木村 右側「(4) 補助犬使用者受入れのポイントを効果的に示す)の1行目「補助犬使用者の受入が補助犬法に規定されていることのみでは、」⇒「補助犬法で、補助犬使用者の受入が義務づけられていることのみでは、 ・p.3 木村 受入れ側アンケートで、「盲導犬が多い」「来店頻度は多くない」「不定期の来店である」という回答が多かったです。この結果だけでは、「ほとんど来店がないのであれば、補助犬の研修会をしても意味がない」と捕らえられかねません。そのため、「補助犬使用者は、不定期かついつ来店されるかわかりませんので周知が必要です。」というような補足説明を入れてもらいたいです。 ・p.4 木村 左側「(3) 情報提供窓口や専門家の補助犬使用に対する知識の深度化」の3行目「・・パートナーとして」として勧める」→「・・パートナーとして」勧める」 ・p.4 木村 左側「(4) 普及活動の担い手と自治体の連携の必要性」2行目 ユーザー自身による →使用者自身による3行目 ユーザーと使用希望 →使用者と使用希望 ・p.5 木村 「4.身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大のため・・・り方ガイドブック」の0行目「身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大のための利用拡大のための」⇒「身体障害者補助犬使用者の理解促進、補助犬の使用拡大のための」 ・p.5 木村 囲み内「Ⅰ.補助犬使用について普及・啓発・・・」の第2項目「規定されています」→「義務づけられています」※「規定」では、受け入れなければならないことが伝わりません。厚労省の補助犬BOOKでも「受け入れる施設側には、法律に基づき、ほじょ犬の同伴を受け入れる義務があります。」と表記されています。 ・p.5 木村 囲み内「身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大のため・・・ガイドブック」の0行目「身体障害者補助犬使用者の理解促進、利用拡大のための利用拡大のための」⇒「身体障害者補助犬使用者の理解促進、補助犬の使用拡大のための」 117ページ ・p.5 木村 囲み「Ⅱ.効果的な普及・啓発活動を・・・携体制」をつくることが重要」の第1項目  「関係各者」 → 「関係各所」 2.ワーキングの開催 ガイドブックの作成にあたり、委員のうち補助犬使用者及び補助犬使用者の支援団体の4名及び事務局によりワーキングを開催した。 実施概要及び議事概要は以下のとおりである。 (1) 実施概要 実施日時:令和2年2月15日(土)13:00~15:30 場  所:宝塚市商工会議所会議室 出席者 :深谷委員、木村委員、安藤委員、橋爪委員、事務局(社会システム㈱高光、牧村) (2)議事概要 ① 普及・啓発活動の連携体制のあり方 ⇒ ユーザーとよいパイプをつくることからはじめる ・補助犬使用者当事者と自治体が連携して進めていくことが必要であるが、ユーザー団体のない地域もある。その場合には訓練事業者等と連携して地域のユーザーとつながっていくことが必要。  ⇒【事例】静岡県のインフォメーションセンター、広島県の広島ハーネスの会、大分盲導犬協会などが自治体と連携して活動している。  ⇒【事例】横浜市では、医療費補助をしているため、その対象者であるユーザーとつながることができる。 ・自治体も都道府県と市町村が連携し、情報を共有していくことが必要。  ⇒【事例】広島県では、県と広島市、呉市、福山市が連携して情報共有をしている。 ・ユーザー団体は障害者団体とともに自治体と連携していくべき。 ② 啓発活動のあり方 ・自治体職員も補助犬使用についての理解が進んでいない場合もある。  ⇒【事例】宝塚市では、補助犬訓練を市の施設で実施していることで自治体職員への理解が生まれている。 ・「かも」では受入拒否はできないことを理解してもらうべき(「犬アレルギーの人がいるかもしれないので、入店いただけません」ではだめ。アレルギーの主張があった場合にどう対応すべきかを理解してもらうことが重要)  ⇒【事例】横浜市では、衛生管理の所管部署の担当者とともに同伴拒否の問題があった店舗等に訪問している。 ・コンプライアンスという視点で同伴拒否をしてはいけないことを啓発すべき。 118ページ ・障害理解を含んだ啓発内容とすべき。 ・取り組んだことの効果を事例として挙げる。 ・ホテルのようなホスピタリティを提供する事業者にならって補助犬使用者を受け入れることは、社会的な評価につながることを強調すべきか。 ③ その他 ・今回の検討の内容を、どのように「市町村」まで周知していくか。 ★6.成果の公表計画 本調査研究の報告書、及び「身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブック」については、実施主体である社会システム㈱及び、特定非営利活動法人日本補助犬情報センターのホームページに掲載し公表する。 以上、報告書終わり。