表紙 身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブック ~補助犬使用者の受入拒否をなくし、障害者の自立を促す補助犬の使用を拡大するために自治体が果たすべき役割~ 令和2年3月31日 社会システム 株式会社 厚生労働省令和元年度障害者総合福祉推進事業『身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究』 目次 序章.このガイドブックを活用いただくにあたって 1ページ 1章.補助犬の使用について普及・啓発を進めるにあたって理解すべき理念 2ページ 2章.自治体の責任で受入拒否をなくし、法令遵守(コンプライアンス)を推進する 4ページ 3章.障害当事者の自立と社会参加を図る「補助犬の使用を拡大する普及活動」の実施は自治体の役割 9ページ 4章.自治体が中心となって「連携体制」を構築し、普及・啓発を推進する 13ページ 5章.普及・啓発活動に活用できるツール 17ページ 1ページ 序章 このガイドブックを活用いただくにあたって このガイドブックは、厚生労働省の「令和元年度障害者総合福祉推進事業」の採択により、事業主体である社会システム㈱がとりまとめたものです。 地方自治体の障害者支援の担当部局の皆さまが、身体障害者補助犬(以下、補助犬という)を使用する障害当事者(補助犬使用者)がいきいきと暮らせる社会づくりを実現していくために、効果的に普及・啓発を実施していただけるよう、留意点をまとめたものです。 ●補助犬使用者の実態などを踏まえてガイドブックを作成しました(作成の経緯) とりまとめにあたっては、学識経験者、補助犬使用者、自治体、受入事業者などからなる「身体障害者補助犬の普及・啓発のあり方に関する調査研究検討会」*を開催し、補助犬使用者の実態を調査するとともに、課題を明確にした上で、理解促進、補助犬の使用拡大のための効果的な普及・啓発活動のあり方を整理したところです。この視点をもとに、自治体の皆さまが普及・啓発活動を行う場合のポイントをまとめたガイドブックを作成しました。  *検討会委員名簿については、以下の報告書に記載しています。 ガイドブック作成の経緯については、以下の報告書を参考にしてください。  【報告書を掲載しているページのQRコードをつける】 ●補助犬使用者の受入拒否をなくし、障害者の自立を促す補助犬の使用を拡大するために、自治体が取組むべき、「普及・啓発のあり方」を示しています 以下に挙げるように、補助犬の使用について自治体が果たすべき役割について、普及・啓発の両面から、そのあり方や留意点を整理しています。 【自治体が果たすべき役割】 法令遵守の推進(受入拒否をなくす) 補助犬の使用についての理解促進のための取組みの実施 補助犬の使用拡大に向けての取組みの実施 関係者との連携による効果的な推進体制の構築 ●補助犬の担当部署だけでなく障害当事者の社会生活に関わるすべての部署で情報共有が必要です   補助犬の使用の普及・啓発の実施にあたっては、補助犬の担当部署だけでなく、障害福祉サービス等の担当部署、障害者差別解消の担当部署、飲食店・医療機関・公共交通機関等、法律上受入義務がある業の所管部署等、障害当事者の社会生活に関わる幅広い分野で、この情報を共有することが必要です。 ●効果的に実施されている普及・啓発の活動事例を掲載しました   自治体内の情報共有が必要である一方、自治体が中心となって、障害当事者、障害者団体、補助犬訓練事業者、医療機関、障害福祉サービス事業所、飲食店・医療機関・公共交通機関等の受入事業者、学校関係者など関係各者と「連携体制」をつくって進めていくことで効果的な普及・啓発を実施することができます。ガイドブックには、こうした連携体制による進め方など、普及・啓発の実施事例を掲載していますので、関係事業推進にお役立てください。 2ページ 1章 補助犬の使用について普及・啓発を進めるにあたって理解すべき理念 1.補助犬は、障害当事者の自立や社会生活を送るために重要な役割を果たしています 補助犬は、視覚障害者、肢体不自由者、聴覚障害者の自立と社会参加を促進するものです。 身体障害者補助犬とは?  補助犬は、盲導犬、介助犬、聴導犬の3犬種のことをいいます。身体障害者補助犬法に基づいて訓練・認定されている、障害者の自立や日常生活などをサポートする犬です。 盲導犬は、視覚障害のある人が街中を安全に歩けるようにサポートします 介助犬は、肢体不自由のある人の日常生活の動作をサポートします 聴導犬は、聴覚障害のある人の生活の中の必要な音を知らせ、音源まで誘導します 2.「身体障害者補助犬法」により、社会における補助犬使用者の受入が義務付けられています 良質な補助犬の育成と使用者の施設等の利用の円滑化を図り、障害者の自立及び社会参加の促進を図るために、平成14年に施行された法律です。 補助犬は、厚生労働大臣が指定した法人からの認定を受けている犬のことをいいます。 社会の受入の責務 ●公共施設、公共交通機関、不特定かつ多くの人が利用する施設では、補助犬を同伴する障害当事者の受入を拒否してはいけません ●一般市民も、補助犬使用者に対して、必要な協力をするよう努めなくてはなりません 補助犬使用者の管理の責務 ●補助犬使用者は、補助犬の衛生管理、排泄管理、行動管理に努め、公衆衛生上の危害を生じさせてはいけません 3.「障害者差別解消法」などにより、共生社会の実現が求められています 平成28年4月に施行された「障害者差別解消法」では、「障害の社会モデル」の考え方に基づき、行政機関等と事業者に障害者に対する「不当な差別的取扱いの禁止」が規定され、また、「合理的な配慮の提供」を行政には義務を、民間事業者には努力義務を求めています。 「障害の社会モデル」とは、障害のある人が日常生活等で受ける制限は、機能障害(心や体の障害)のみによって生じているのではなく、社会におけるさまざまなバリア(社会的障壁)との相互作用によって生じるものであり、社会の側が積極的にバリア(社会的障壁)を解消していくべきであるとの考え方です。 3ページ 4.補助犬使用者が生き生きと暮らせるよう、自治体は普及・啓発に努めていく義務があります 障害者差別解消法、身体障害者補助犬法(以下、補助犬法という)の理念に基づき、社会において補助犬使用者の受入を促進するための啓発活動を、自治体が積極的に行う義務があります。 また、社会で自立した生活を送るための選択肢として確立するために、社会で活躍する障害当事者を増やさなければなりません。そのための選択肢のひとつである補助犬の使用の普及活動を自治体が先頭に立って行う義務があります。 障害者総合支援法に定める地域生活支援促進事業のメニューのひとつである「身体障害者補助犬育成促進事業」では、①補助犬の育成、②育成計画、の作成のみならず、③理解促進、普及・啓発についても補助対象とされています。自治体が普及・啓発活動を行うにあたっては、こういった補助金の活用、各自治体単独事業の実施等が考えられます。 5.補助犬についての正しい理解を! ●「補助犬」って可哀そう?は誤解です 補助犬は、「四六時中働いている」「ストレスが大きい」「寿命が短い」といった誤った情報から、「可哀そうなんじゃない?」と補助犬の使用に反対の声をあげている人もいます。 しかし、補助犬は障害当事者のパートナーとしての訓練がなされ、使用者の責任のもと、衛生管理、排泄管理、行動管理がされています。四六時中働いているのではなく、多くの時間をリラックスして過ごしており、喜んで障害当事者のサポートを行っています。    また、適性のない犬を無理に補助犬として訓練しているのではなく、喜んで障害当事者のサポートのできる適性を持つ犬が補助犬となっています。 補助犬の平均寿命は盲導犬12.9歳、介助犬12.7歳と飼い犬(純血種)の平均寿命12.8歳と同程度*です。  *盲導犬と介助犬は、ほとんどがラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーであるため、純血種の飼い犬と比較しています。 ●補助犬使用者は管理責任を負って補助犬を使用しています 補助犬を受け入れるためには、特別な場所を準備したり、設備を準備したりという必要はありません。使用者の責任のもと、衛生管理、排泄管理、行動管理がされています。補助犬は基本的に使用者の足元や車椅子の横にいて、サポートが必要なときに仕事をします。ウロウロしたり、吠えたりすることはありません。 4ページ 2章 自治体の責任で受入拒否をなくし、法令遵守(コンプライアンス)を推進する 1.補助犬使用者の受入拒否は法令遵守上問題であることを理解させる 公共施設、公共交通機関、店舗などの不特定多数の人が利用する施設では、「補助犬を同伴する障害当事者の受入を拒否してはならない」ことが、補助犬法で義務付けられています。 企業はコンプライアンスを推進していく上で、「補助犬使用者の受入拒否をしてはならない」ことを、自治体の責任で理解させる啓発が必要です。 〇受入拒否を生まないよう、自治体の責任で法令遵守推進の啓発活動を実施しましょう 受入拒否を生まないためには、社会において、補助犬法や補助犬の使用について認識を深めてもらう必要があります。「クレームの起こらないよう受け入れてくださいね」ではなく、「受入拒否はできません」と補助犬法の遵守の必要性を理解できることとなるよう、自治体による積極的な啓発活動が必要です。 〇受入事業者はもちろん、顧客である一般市民にも理解を得ていくことが必要です 受入側である施設や店舗などの運営企業に「補助犬使用者の受入は法律で義務付けされている」ことを理解させていくことが必要ですが、あわせて施設や店舗などを利用している顧客、即ち、一般市民が理解していなければ、拒否はなくなりません。 実際、店舗の従業員が一般客と補助犬使用者の間に挟まれて、受入拒否をしてしまっている例もあります。受入事業者はもちろん、一般市民にも、補助犬使用者の受入は法律上義務付けがされていることを理解させる啓発活動を自治体の責任で実施していくことが必要です。 〇受入拒否についての相談ができる窓口を設置していますか? 自治体は、障害者に対する差別の事案として、受入拒否の実態を把握する必要があります。受入拒否の実態を把握するとともに、受入事業者に対する理解を広げることで、法令遵守を推進することができ、障害当事者の社会参加を広げ、共生社会の実現を図っていくものとなります。なお、補助犬訓練事業者は、こうした受入拒否の事案を自治体に報告することが必要です。 ※不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供などの相談 障害者差別解消法では、「不当な差別的取扱いの禁止」や「合理的配慮の提供」を求めていますが、国や地域、支援団体などで相談窓口を設置して対応にあたっています。補助犬使用者の受入拒否についても、この窓口などを活用して、受入拒否などの差別的取扱いに対する相談に応じ、実態を把握することが必要です。 5ページ 2.受入事業者には、具体的な「補助犬使用者の受入の必要性やあり方」のわかる啓発活動の実施が必要 受入事業者は、「補助犬使用者の受入が法律上義務付けられている」ことへの理解が不十分であり、また、具体的な受入における対応についての不安などがあることから、受入拒否を起こしてしまっている実態があります。 補助犬法による義務付けの内容や、補助犬使用者を具体的に受け入れるにあたってどんな配慮が必要かなど、自治体は、具体的に受入の必要性が理解できる啓発活動を実施していくことが必要です。 ○効果的な機会を捉えた啓発の実施が必要 受入事業者は、「補助犬」については認識があるものの、その知識を得る機会が少なく、研修なども実施されていないのが実情です。しかし、各業態ともに不可欠な研修(例えば飲食業であれば食品衛生責任者講習など)などの効果的な機会を捉え、補助犬使用者の受入についての理解を得ていくことができます。 【事例】 所管部署職員による指導(横浜市) 「衛生上受け入れることはできません」「アレルギーの方がいらっしゃるかもしれないので受け入れられません」といった受入拒否をした事業者に対して、障害福祉課だけでなく、所管部署である食品衛生課の担当とともに、補助犬法などについての説明に出向いている。所管部署が出向くことにより、「衛生上」などの問題は生じないことが理解できる。 ○「直接対応するスタッフ」に向けた啓発活動の実施 研修の受講や、啓発事項の理解等は、管理職や管理部門においては比較的認識がされているものの、実際に補助犬使用者に相対するのは、現場で直接対応するスタッフです。業態によってはアルバイト店員がそれにあたる場合もあります。 管理者が補助犬使用者の受入について認識しておくことはもちろん重要ですが、こうした「直接対応するスタッフ」にも認識を深めていただける工夫を行った啓発活動が必要です。 ※例えば、ほじょ犬マークのステッカーの貼付時に、スタッフに対する周知や対応方法についての説明をツール*を用いて行うなど。 *巻末のリーフレット等をご活用ください。 6ページ 【事例】受入事業者に対する説明の実施 ●差別解消法の周知と合わせた個別訪問活動(千葉県) 障害者差別解消法の周知とともに、補助犬使用者の受入や補助犬法に対する理解を得るため、広域専門指導員が店舗等を個別訪問して周知活動を実施している。 ●事業者の集まる研修や会合での啓発活動 食品衛生責任者(石川県)、食品衛生指導員(神奈川県)、温泉旅館(石川県)、医療従事者(兵庫県)等 ●受入拒否のあった店舗に対する研修の実施(名古屋市) 受入拒否のあった飲食店街の全店舗に対して、補助犬使用者の受入に関する研修を実施している。 【提言】 ①具体的かつ簡潔なツールや汎用的な手段などの活用 研修の時間や予算がとれない店舗が多いなか、効果的な啓発となる具体的で簡潔なツールの配布、業界紙やマスメディアなどの汎用的な手段の活用など、効果的な啓発を実施していくことが、直接対応するスタッフに知っていただくためにも必要です。 ②受入事業者が集まる場での啓発 商工会会議、食品衛生責任者講習、各業態の協会会議、業界イベントなど、受入事業者が集まる場を活用してツール配布や研修実施をしていくことが必要です。 ※参考:他の客とのトラブルに対応するために 「犬アレルギーだから犬がいるのは困る」「犬が吠えたりしたら怖い」など、補助犬使用者と他の客とのトラブルに、受入事業者が困っている場合があります。 しかし、どちらも平等なお客様として対応することを受入事業者に理解させる必要があります。 例えば、先に補助犬使用者が入店していて、後から入店した犬アレルギーの客のクレームがあった場合には、「補助犬使用者の受入は法律で義務付けられていますので、離れたお席などはいかがでしょうか?また、補助犬は使用者の管理のもと、毛を飛ばしたり、吠えたりすることはありません。」といった対応などが必要です。 逆に、先に犬アレルギーの客が入店していて、後から入店した補助犬使用者に対してクレームを言った場合には、補助犬使用者に対して、「犬アレルギーのお客様がいますので、離れた席に移動していただけますか?」と促し、アレルギーの客に対しては、先の対応と同様、法律上の義務付けや管理責任について説明することが必要であるなど、客の間でのトラブルの対応などについても具体的な啓発を実施していくことが重要です。 【参考】 受け入れマニュアル等:https://www.jsdrc.jp/documents/doc_manual/ 7ページ 3章 一般市民には、「補助犬の使用に対する正しい理解」や「障害理解」を進める啓発活動の実施が必要 施設や店舗などの客が、「犬が吠えたり、毛を飛び散らせたりしたら困る」などと、受入拒否を促すといった実例もあるなど、一般市民が「補助犬の使用の受入が法律で義務付けられていること」「補助犬使用者は、補助犬の衛生管理、排泄管理、行動管理等に対する責務があること」などを理解していないために、受入拒否が生じています。一方、補助犬使用者の受入は、「障害理解」を進めることであり、一般市民の理解は「共生社会の実現」につながります。 自治体は、受入事業者と合わせ、一般市民が補助犬の使用に対する理解を深める啓発活動を実施していくことが必要です。 ●●障害当事者の社会参画において「補助犬の使用」が必要であり、認められていることの理解を促す啓発内容とする ●補助犬の使用に対する正しい理解を広める 補助犬の役割、補助犬の使用における管理責任、補助犬の使用による障害当事者の社会参加の拡大効果など、補助犬の使用に対する正しい理解を広めることが必要です。 ●補助犬使用者の受入が「平等な社会参加」のために必要であることに対する理解を得る 平等な社会参加を実現していくには、障害当事者にとって必要な生活行動を社会が受入れ、ともに生きていくことが大切です。 こうした切り口を視点に、「障害者が可哀そうだから」補助犬使用者を受け入れるのではなく、「補助犬を使用している人と平等に社会サービスを享受することが当たり前となる社会をつくることへの理解」を得ていくことが必要です。 ●障害理解に基づく補助犬使用者の受入は市民の一人ひとりの責務であることの理解を得る 補助犬使用者の受入についての理解は、「店舗や施設に入ることのできる補助犬という犬がいる」ことを知っていただくだけでは「なぜ受入れるのか?」が伝わりません。障害者が社会生活を送るにあたって必要であり、受入拒否は差別のひとつとなることを市民の一人ひとりに理解させる啓発活動が必要です。 ●障害当事者にとって大切なパートナーであることの理解を得る 補助犬使用者の受入に対する理解とともに、補助犬使用者である視覚障害者、肢体不自由者、聴覚障害者にとって補助犬がどのようなサポートをし、大切なパートナーとしての役割を果たしていることも併せて理解を得ることが重要です。 【事例】 ①一般市民が多く集まる場所での啓発イベントの実施(厚生労働省事業) 厚生労働省では、一般市民を対象にショッピングセンターなど一般市民の集まる場所で啓発イベントを実施しています。平成27年から、阪急うめだ本店で3種の補助犬のデモンストレーションと補助犬使用者のトークショーを実施し、多くの皆さんに補助犬の使用について知っていただく機会となっています。 8ページ ②障害理解のためのイベントでの啓発活動の実施(広島県、横浜市、宝塚市など) 人権週間など、障害理解を理念としたイベントにおいて、補助犬の使用について知ってもらう啓発活動を実施することで、補助犬が障害者の社会生活で欠かせないものとなっていることを理解してもらう機会となっている。 【提言】 障害理解イベントにおける補助犬使用者の受入に係る啓発の展開 障害者差別解消法の理解、UD2020行動計画の心のバリアフリーの理念など、障害理解と合わせて補助犬の使用の受入や補助犬法について理解をしていただくことで、国民ひとりひとりが共生社会を目指すために、障害理解や差別の解消のひとつとして、補助犬使用者を受け入れなくてはならないことの理解を得ていくことが重要である。 ●●広く周知を図れる手法による啓発が望ましい 障害理解も含めた補助犬使用者の受入を一過性の理解としないためには、広く、繰り返して啓発を図っていくことが重要です。自治体が実施する情報発信や、各種媒体と連携した情報発信などにより、広く周知できることが期待できます。 【事例】 ①厚生労働省による補助犬についての情報発信 厚生労働省では、補助犬使用者の受入等について補助犬情報サイトで各種の情報を提供するとともに、FacebookなどのSNSでも情報を発信している。 補助犬情報サイト: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hojoken/index.html ②テレビ、ラジオ等での啓発の実施(埼玉県、青森県、和歌山県、徳島県、日本盲導犬協会など) 広く市民に補助犬の使用について知ってもらうために、テレビやラジオなどのメディアを活用し、啓発活動を実施している。 ③SNSを活用しての啓発活動の実施(広島県など) 啓発イベントの告知やほじょ犬の日について周知を図るため、TwitterやFacebookなどのSNSを通じて広く市民に啓発活動を実施している。 ●●将来を担う子どもに理解を広げるための啓発活動が必要 広く周知することに加えて、将来を担う子どもに理解を広げることが重要です。自治体が実施している「心のバリアフリー」などの授業において、障害理解のひとつとして補助犬使用者の社会参加に対する理解を広めていくことで、共生社会実現の基礎を作ることが期待できます。 【事例】 ①小中学校の「道徳」で補助犬について学ぶ(宝塚市) 将来を担う子どもたちに補助犬の使用について知ってもらうことが重要であるとして、道徳の副読本で補助犬について説明している。この子ども達が大人になって受入側として適切な対応を実施できるといった効果が期待できます。 ②学校における「出前講座」の実施(広島県、兵庫県、宇都宮市など) 補助犬使用者の講話、補助犬の使用のデモンストレーションなど、学校への出前講座を実施し、子どもたちが補助犬の使用について体感し、理解を広める活動を実施している。 9ページ 3章 障害当事者の自立と社会参加を図る「補助犬の使用を拡大する普及活動」の実施は自治体の役割 1.「補助犬の使用」は、障害当事者の自立と社会参加の選択肢のひとつ ○補助犬使用者を増やすことの意味 補助犬を使用することで、自立した生活が確立され、社会参加の幅が広がっている人がいます。しかし、一方で補助犬の使用についての社会の理解が進んでいないために、受入拒否などの問題も生じています。 自治体が積極的に補助犬使用者を増やしていくことは、自立する障害当事者を増やしていくだけでなく、社会的認知が進んでいくことにつながり、障害当事者にとってより暮らしやすい社会が形成されることが期待できます。 ○障害当事者の自立と社会参加の選択肢を増やすことは自治体の役割 障害当事者の自立と社会参加を促すことは自治体の役割であり、「補助犬の使用」を障害当事者に知ってもらう機会を拡大していくことが必要です。 2.障害当事者が自立のあり方を考えるタイミングにおける普及活動の展開 ○障害当事者に自立生活のあり方を考えるタイミングに情報提供を行う 自立生活のあり方を考えるタイミングは、障害当事者によって異なることもありますが、主にリハビリ時、生活相談時などが考えられます。 自治体は、こうしたタイミングで補助犬の使用の選択を考える機会を得られるよう、情報提供を行っていくことが必要です。 (表) ●受傷後など初期段階(医療機関等が情報提供できる準備を) 視覚障害者 眼科医、障害福祉課窓口など 肢体不自由者 整形外科医、障害福祉課窓口など 聴覚障害者 耳鼻科医、障害福祉課窓口など ●リハビリ段階(自立支援の実施段階において情報提供できる準備を) 視覚障害者 リハビリテーションセンター、障害福祉課窓口など 肢体不自由者 リハビリテーションセンター、障害福祉課窓口など 聴覚障害者 障害福祉課窓口など ●在宅段階(生活支援の実施段階において情報提供できる準備を) 視覚障害者 視覚障害者福祉協会、日本点字図書館、スマートサイト、障害福祉課窓口など 肢体不自由者 身体障害者福祉協会、自立生活訓練センター、障害福祉課窓口など 聴覚障害者 聴覚障害者福祉センター、障害福祉課窓口など 10ページ ●●イベント(体験)型の情報提供 情報提供のひとつの手法として、前述のような自立を考えるタイミングにおいて、イベント(体験)型の普及活動を実施することで、補助犬を使用することによって社会参加ができるという選択肢を提供できます。 【自治体の役割】 ・自治体は、医療機関や支援団体等関係者との連携により、普及活動を展開するイベント(体験)の場をつくることができます。 ・補助犬使用者や補助犬訓練事業者への参画を促すことで、障害当事者のニーズに即した情報提供を図ることができます。 【事例】 ①リハビリテーションセンターでの普及活動の実施(国立障害者リハビリテーションセンター) 当事業の試行として実施したイベントであるが、当事業主体、国立障害者リハビリテーションセンター、補助犬使用者、補助犬訓練事業者が連携し、リハビリ入所者及び通所者を対象に、補助犬の使用にかかる具体的な内容(サポート内容、費用、入手の流れなど)の説明や体験を行うイベントを実施した。この試行では当事業主体が自治体の役割を果たしたが、こうした連携体制での情報提供をきっかけとして、実際に「補助犬を使うことを考えてみたい」という障害当事者があり、訓練事業者とのつながりを持つきっかけとなった。 ②視覚障害者を対象とした研修時における体験歩行の実施 視覚障害者に対する情報提供や生活相談を実施している日本点字図書館、盲学校、視覚障害者協会、眼鏡取扱店などにおいて、訓練事業者による盲導犬使用についての説明と体験歩行を実施している。自治体は関与していないが、自治体が連携体制の先頭に立つことで、関係主体間のつながりがより強化されることが期待される。 (公財)日本盲導犬協会が実施している日本点字図書館での体験イベントでは、進行の初期段階という弱視者にとっても「補助犬の使用を考えるよい機会となった」との評価を得ていた。 ③既往の連携イベントにおける普及活動の実施 サイトワールド、耳カレッジ、福祉機器展など、自治体や関連事業者、支援団体等が連携して実施している障害当事者が集まるイベントでは、対象者が多く集まるという特性から、体験歩行会やデモンストレーション、補助犬の使用についての説明会などが開催され、障害当事者が補助犬の使用について知る機会となっている。 11ページ ●●障害当事者を支援する人も、「補助犬の使用」について知る機会をつくる 障害当事者に自立のためのひとつの選択肢であることを知ってもらうには、自立を支援する人も同様に「補助犬の使用」について知っておくことが必要です。 自治体の職員、医療関係者(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等)、相談支援専門員、障害者支援団体、障害者団体など、障害当事者を支援する職にある人・団体が、補助犬使用者の生活や社会参加の状況についての知識を習得し、当事者の「自立支援と社会参加のためひとつの選択肢」として勧めることのできるような体制や機会を作ることが重要です。 【事例】 ①医療機関でのデモンストレーションの実施(北里大学病院) 病院への来院者、医療関係者を対象に、3種の補助犬の使用についてデモンストレーションを実施し、補助犬使用者の対話などを内容としたイベントを実施したことで、医療関係者の補助犬についての認識・理解が深まる効果を得た。 ②自治体職員向け研修の実施(埼玉県、横浜市、前橋市、浜松市など) 職員向けに補助犬の使用についての研修が自治体で実施されている。 市町村担当者向けに説明(埼玉県、前橋市)、管理職に対する人権研修(横浜市)、市内各区役所の社会福祉専門職に対する研修(横浜市) 【提言】 ①基幹相談支援センター等相談機関へのアドバイザーの配置など 相談支援専門員も障害当事者の自立に向けた支援相談に対応する役割となっているが、さまざまな相談に対応するために補助犬の使用を勧めるには至っていない現状にある。こうしたことから、基幹相談支援センター等相談機関に補助犬使用者の生活や社会参加に関する助言ができるアドバイザーを配置したり、外部委託したりするなど、補助犬の使用に関する知識や情報を補完できる体制をつくっていくことが望ましい。 ➁受入事業者と連携したイベント等の開催 商業施設などの受入事業者と連携し、「補助犬との暮らし」を体験できるなどのイベントを開催することで、障害当事者にとっては補助犬の使用について考えることができ、一方で受入事業者にとっては補助犬使用者の受入をシミュレーションできる機会となる。 ●●その他の手法による情報提供 現状では、受入事業者等を対象に啓発に係る情報提供はされているものの、障害のある人に対しての補助犬の使用普及の観点での情報提供は未だ遅れている状況にあります。 自治体は、障害当事者が社会参加の選択肢のひとつである補助犬の使用を考えるための情報(補助犬の入手の流れ、費用、受入準備、補助犬との生活等)を各種の媒体で提供をしていくことが重要です。 12ページ 3.補助犬使用者参加型の普及活動の期待される効果 障害当事者が「補助犬の使用で、どのように社会参加ができるのか」を知ることで、補助犬を使用することによる可能性に触れることができます。どのような社会参加をしているのかは、実際の補助犬使用者が語っていくことが効果的です。 補助犬使用者が参加できる形での普及活動のあり方を、補助犬使用者とともに考え、実施していくことで、参加者は、使用者の生の声を聞くことができ、生活や体験について聞きたいなどのニーズに応えることができます。 ●●補助犬使用者とともに普及活動をするには? 自治体が補助犬使用者とともに「補助犬の使用についての普及活動」を実施していくことの意義は大きく、ご本人の意向をよく確認しながら実現していくことが望まれます。 ※補助犬使用者との連携についてはp.15に整理しています。 ●●どのような内容の普及活動が望ましい? 障害当事者が補助犬の使用を希望しても、すべての人が補助犬の使用に適しているではありません。どのような自立生活を目指すのか、生活環境、家族の理解など、既に補助犬を使用している人がどんな経緯で補助犬を使用するに至ったのか、メリットだけでなくデメリットとの遭遇、その際の解決方法などについても、使用を希望する障害当事者にとっては知りたいところです。 こうした「生の声」を届けることのできる普及活動としていくことが重要であり、適切かつ実態に即した情報を伝えていくことが重要です。 ・補助犬使用者自身が具体的な社会生活を語る 補助犬の使用がもたらす社会参加の広がり、社会生活における具体的な支援の効果、パートナーとしての安心感など、補助犬の使用によってもたらされるメリットを具体的に語り、また現実的な課題も併せて語ることで、障害当事者はリアルな補助犬との生活をイメージできます。 ・補助犬を使用するための具体的な情報を提供する 補助犬訓練事業者等と連携して、費用、入手の流れ、事前準備、飼育代、補助犬との生活などについて具体的な情報を提供していくことも必要です。デモンストレーションや歩行誘導など補助犬のサポート体験を実施すると具体的なイメージができます。 【事例】 補助犬訓練事業者と補助犬使用者との連携による普及活動の実施(国立障害者リハビリテーションセンター) リハビリ入所者及び通所者を対象に、補助犬の使用にかかる具体的な内容(サポート内容、費用、入手の流れなど)の説明会を実施したが、基本的に補助犬使用者自身が補助犬の使用条件、メリット、デメリットなどについて語り、これを育成事業者がサポートして普及に努めた。 13ページ 4章 自治体が中心となって「連携体制」を構築し、普及・啓発を推進する 補助犬の理解促進、使用の拡大のための普及・啓発を実施していくためには、自治体が先頭に立って、関係各者との連携体制をつくることが必要です。特に、課題認識を持つ障害当事者(補助犬使用者)の参加が重要であり、また、地域の実情に即した普及・啓発を展開していくには、市町村の声を都道府県が拾える体制をつくることが必要です。 1.普及・啓発活動の実施体制は、関係各者との連携が必要 自治体が普及・啓発を効率的、効果的に実施していくにあたっては、自治体内の関係各課、都道府県と市町村の連携に加え、障害当事者(障害者団体、補助犬使用者団体等)、補助犬訓練事業者、支援機関(医療機関、自立支援協議会、基幹相談支援センター、地域包括支援センター、社会福祉協議会等)、受入事業者(飲食店、小売店、宿泊事業者、公共交通事業者等)、学校など障害当事者の社会生活に係る多様な関係者との連携体制を構築していくことが必要です。 【事例】 自治体主催のイベントでの啓発活動の実施(広島県、横浜市など) 自治体が主催する障害理解を理念としたイベントなどにおいて、支援機関の共催により、補助犬使用者団体、補助犬訓練事業者等とも連携した啓発イベントを実施している。多様な主体との連携によりイベント集客も広くなり、啓発の効果は大きい。 ・広島県主催の「ヒューマンフェスタ」は、人権週間に実施されている啓発イベントであり、障害理解のひとつとして、補助犬の使用について一般市民、企業、障害当事者が理解を深めるものとなっている。 ・横浜市では、市と包括連携協定をしている商業施設でのイベントで補助犬の使用についてのデモンストレーションを実施しており、多くの一般市民が理解を深められるイベントとなっている。 14ページ 2.自治体における連携体制の強化(自治体内や都道府県と市町村の連携) 補助犬の使用の普及・啓発活動を実施していくには、関係各者との連携とともに、自治体における連携体制の強化も図っていく必要があります。 ●●自治体内の体制構築 自治体においては、障害福祉に係る部署が補助犬の使用にかかる普及・啓発の担当となっている場合が多くみられますが、受入事業者の所管部署や子どもの教育に係る部署、その他障害者支援に関わる部署などと連携し、効果的な普及・啓発を実施していくことが重要です。 【事例】 庁内における横断的な取組みとして「補助犬の使用への理解」を推進(宝塚市) 宝塚市では平成11年、「介助犬支援プロジェクトチーム」(当時)を立ち上げ、すべての人に優しいまちづくりの実現をめざし、各部署が協力して介助犬の普及・啓発のための施策を展開している。また、市内在住・在勤の補助犬使用候補者が候補犬を同伴しての合同訓練を行う際にも、市立の施設で受け入れる制度を導入したことで、自治体職員だけでなく、来訪者にも補助犬の使用についての認識、理解が広がっている。 ●●都道府県と市町村の連携 厚生労働省が実施している地域生活促進事業のメニューのひとつである「身体障害者補助犬育成促進事業」は、都道府県を対象に補助金の交付を行っています。都道府県は障害当事者と市町村の声を聞き、事業を積極的に実施していくことが望まれます。 都道府県はこのような連携体制をつくることにより、管内市町村の実情を踏まえた普及・啓発活動を実施でき、さらには受入拒否等の情報も共有できるものとなります。 15ページ 3.障害当事者(補助犬使用者)とのパイプをつくる 補助犬の使用にかかる普及・啓発活動の実施にあたっては、その実態を把握し、ニーズを有している「障害当事者(補助犬使用者)」との連携体制を作っていくことが効率的で効果的です。まずは、障害当事者とのパイプをつくるところから始めましょう! ●●障害当事者の生活実態を把握する 補助犬使用者の実態を知るには、そもそも、自治体管内の障害当事者の生活実態(居住環境、補装具使用の実態など)を把握しておくことが必要です。障害当事者の生活実態を知ることで、補助犬を使用することが社会参加の方策のひとつであることへの理解が深まります。 ●●「補助犬使用者」とはどうコンタクトをとったら良い? 補助犬の貸与や補助犬使用者に対する助成等を実施している自治体では、補助犬使用者とのパイプが既にあり、連携を図っていくことができるでしょう。一方、補助犬使用者がいない自治体では、普及・啓発の実施の必要性が未だ薄いのが現状でしょう。しかし、そういう自治体でも補助犬使用者は訪れる可能性は大いにあります。 したがって、補助犬使用者の有無にかかわらず、障害当事者の社会参加を促していくためには、補助犬の使用拡大や受入促進の面から普及・啓発活動の展開が必要です。 (フロー図) ①⇒③、②⇒③の図 ①補助犬使用者が管内にいる場合 ■補助犬使用者団体(管内、近隣地域、全国規模)や訓練事業者があるか確認 ■上記が見られない場合には、障害当事者団体を通じて補助犬使用者について確認 ■各種手続き時における確認 ②補助犬使用者が管内にいない場合 ■全国規模の補助犬使用者団体へのアクセス ■近隣地域における補助犬使用者団体や訓練事業者の確認 ③自治体が障害当事者(補助犬使用者)とのパイプをつくる ■対象者の生活実態の把握による補助犬の使用についての認識拡大 ■補助犬の使用に係る課題やニーズの把握 ■普及・啓発活動実施における連携体制の確立(補助犬訓練事業者も含めて) 【事例】 手続き時における補助犬使用者とのコンタクト(横浜市、宝塚市など) 自治体が助成している補助犬医療費の助成を一元管理することで、助成サービスを活用する補助犬使用者とのコンタクトがとれている。 *全国規模の補助犬使用者団体  全日本盲導犬使用者の会:http://guidedog-jp.net/  日本介助犬使用者の会:http://cynthia.life.coocan.jp/wp/jsdua/  日本聴導犬パートナーの会:http://jhdpa.net/ 16ページ ●●「補助犬使用者」と連携して普及・啓発を行う効果とは? 補助犬の使用を広め、受入への啓発を進めるには、この実態を身をもって体験している当事者である補助犬使用者との連携・活用をしていくことで、実態に即した内容で展開することができます。 【提言】 補助犬使用者との連携による普及・啓発活動のあり方 ■意見交換会などの開催による課題やニーズの把握 受入拒否等の問題や、補助犬の希望相談などについて、さらに具体的実態を把握するために、補助犬使用者との意見交換会などを開催し、普及・啓発にあたっての「連携体制」の素地づくりをしていくことから始めてみましょう。 ■情報共有体制の構築による課題の共有 補助犬の使用に係るさまざまな情報を、自治体、補助犬使用者、さらには関係者が共有する体制づくり(定例会議の開催、メーリングリストによる情報共有など)を進めることで、課題を共有することができ、効果的な普及・啓発の方向性をともに見出していくことが可能となります。 ■普及・啓発活動の協働運営ができる体制づくり 普及・啓発の両面において、当事者である補助犬使用者自らが語っていくことで実態に即した活動を展開することができます。当事者や支援者による組織をつくることにより、自治体とともに普及・啓発活動を協働運営できる体制となることが期待できます。参画する地域の補助犬使用者や支援者は、効果を上げていくために、建設的な方法で、効果的な内容の普及・啓発を実施していくことが求められます。 【事例】 ①「補助犬インフォメーションデスク」の設置(静岡県) 平成19年に静岡県の相談支援事業所指定を受けて設立されたNPO法人静岡県補助犬支援センターでは、出前講習会、広報啓発活動などの普及・啓発にかかる事業を県から受託して運営している。 ②支援団体に対する育成事業の委託(広島県) 広島県では、身体障害者補助犬育成事業を補助犬使用者支援団体である「広島ハーネスの会」に委託し、補助犬の使用の普及を図っているほか、受入拒否等の苦情相談を県、市(広島市、呉市、福山市)等と情報共有するとともに、啓発活動も自治体との連携で実施している。 17ページ 5章 普及・啓発活動に活用できるツール 補助犬の使用にかかる普及・啓発活動に活用できる、補助犬の使用の可能性のある障害当事者向け、受入事業者向けのツールを、本事業で作成しました。 自治体の皆さまには、ぜひご活用いただければ幸いです。 ① 補助犬の使用の可能性のある障害当事者を対象とした普及チラシ【補助犬と暮らそう!】 ほじょけんとくらそう! 補助犬は、使用者である障害者の目となり、耳となり、手足となって使用者の自立と社会参加をサポートします。 ひとりでも多くの障害のある人が、自立と社会参加をする意欲を持てるよう、補助犬について学びませんか? 補助犬は3種類 盲導犬は、視覚障害者の安全な歩行をサポート 聴導犬は、聴覚障害者に代わって音を聞き、知らせる 介助犬は、肢体不自由者の日常生活動作をサポート 補助犬を希望してから、認定を受けるまで 身体障害者手帳を取得する必要があります まずは、育成補助事業を行っているお住まいの都道府県(政令市)に相談してみましょう。 1.相談 障害福祉課に「補助犬を使用したい」と相談 2.申請 申請と審査 3.自宅訪問 訓練事業者が日常生活を確認 4.準備 適正な犬が見つかるまでの準備期間 5.合同訓練 実際に生活をともにし、歩行の基本や動作が適切に行えるよう学ぶ 6.認定審査 指定法人による認定審査 7.認定 補助犬使用のポイントは裏面へ 補助犬と暮らすこと 犬の世話はどうする? 基本的に世話はできる限り自分で行いましょう!ただし、負担となる場合には援助を依頼しても構いません。お世話の仕方は、訓練事業者がしっかりと教えてくれるので、安心してください。 排泄物の処理はどうする? 犬は、うんちを1日に1~2回、おしっこを3~6回くらいします。指示された時間と場所でするよう訓練されていますので、タイミングをみて排泄させます。 自分の犬を補助犬にできる? 補助犬には適性があるため、一般的にはご自分の犬を補助犬にすることはできません。しかし、聴導犬の場合には訓練事業者によっては対応が違いますので問い合わせて確認してみましょう。 訓練や飼育にかかる費用はどのくらいかかるの? 訓練費用は、1頭当たり250~300万円程度かかります。ほとんどの都道府県で補助があり、基本的に訓練事業者から無償貸与となります。ただし、飼育費用や獣医医療費などは自己負担です。 補助犬にかかる費用の目安 ●訓練費用 約250~300万円/頭  基本的に自己負担はなし。  ※殆どの都道府県の補助があり、また、訓練事業者から無償貸与となることが多い。 ●自己負担費用 ・訓練時費用 宿泊費、交通費など(訓練事業費によって負担が異なる) ・飼育費用 約20万円/年  エサ代(大型犬の場合)、ペットシーツ代、その他(シャンプー、首輪、リード、おやつ、おもちゃなど) ・獣医医療費 約6万円/年  狂犬病予防接種、混合ワクチン、フィラリア予防薬、ノミダニ予防薬、定期健康診断 ② 受入事業者(飲食店等)を対象とした啓発チラシ【補助犬ってお店に入れなきゃいけないの?】 補助犬って、お店にいれなきゃいけないの? ※補助犬とは、盲導犬・聴導犬・介助犬のことで、厚生労働大臣が指定した法人からの認定を受けている犬のことです。 受け入れるのは不安・・・ 毛が飛び散るんじゃ?(毛を飛び散らしている犬のイラスト) 排泄はどうしているの?(排泄をしている犬のイラスト) 吠えるんじゃないの?(吠えている犬のイラスト) しかし、補助犬の同伴は「補助犬法」により、拒んではいけないと規定されています。 ※補助犬法(身体障害者補助犬法)については、裏ページへ 裏ページへ 補助犬ユーザーには使用管理の責任が義務付けられています。 ★補助犬ユーザーは「認定証」を携帯しています。 衛生管理をしています(ピカピカにしていて、ケープをつけている犬のイラスト) 日々のブラッシングや、ケープ(マント)の着用などで衛生予防をしています。 排泄管理をしています(排泄用の袋をつけている犬のイラスト) 日々のブラッシングや、ケープ(マント)の着用などで衛生予防をしています。 行動管理をしています(足元でおとなしくしている犬のイラスト) 日々のブラッシングや、ケープ(マント)の着用などで衛生予防をしています。 安心して、補助犬ユーザーを受け入れてください! 補助犬とは、盲導犬・聴導犬・介助犬のことで、厚生労働大臣が指定した法人からの認定を受けている犬のことです。 補助犬法(身体障害者補助犬法)は、良質な補助犬の育成と使用者の施設などの利用の円滑化により、障害者の自立及び社会参加の促進を図るための法律です。 補助犬使用者が、国や地方自治体、公共交通事業者、不特定多数の方々が利用する施設を利用する場合、補助犬の同伴を拒否してはいけません。また、補助犬使用者は、他人に迷惑を及ぼさないよう、犬の行動管理を十分に行うことが義務付けられています。 詳しくは、「厚生労働省 補助犬情報サイト」で検索! 発行:「身体障害者補助犬の普及啓発のあり方に関する調査研究」(厚生労働省障害者総合推進事業)事務局社会システム㈱、特定非営利活動法人日本補助犬情報センター(制作協力)